【今月の参加ジョッキー】
・国分優作騎手、川須栄彦騎手、高倉稜騎手
■初勝利の馬は忘れられない！

高倉　僕、自厩舎のパープルスターっていう馬で初勝利を挙げたんですけど、ゴールした瞬間、“あ〜、俺、騎手になったんだ…”ってすごく感動したんです。たぶん、あの瞬間は一生忘れられません。

優作　感動かぁ…。勝ったときって、感動するっていうより、ホッとしてることのほうが多いな。

川須　僕も初勝利は感動しました。メイショウクレモナっていう馬だったんですけど、ゴールして向こう正面まで流して行って、厩務員さんのところに戻るまで、ずっと余韻に浸ってました。

優作　“俺、今ターフビジョンに映ってるよ、映ってるよ！”みたいな（笑）。

川須　いや、そういうんじゃなくて（笑）。ただひたすら感動に浸ってましたよ。先輩のみなさんにも、“おめでとう”って言っていただいて。

優作　最初のころは、勝つたびにみなさん、“おめでとう”って言ってくださるんだよね。でも、だんだん言われなくなる（笑）。当たり前だけど。

川須　たしかに（笑）。

優作　“おめでとう！”って言われる前に、自分から“すみません！”って謝ることのほうが多かったりして…。

高倉　あ、そうかも…（笑）。勝った馬はどの馬も覚えてますけど、やっぱり自厩舎の馬には、特別な思い入れがあります。ケガをしたりとか、スムーズに調整できなかったりとか、自厩舎の馬って間近で見てるじゃないですか。だから、そういう馬を自分の手で勝たせることができたときが、ホントにうれしいです。何より、先生に恩返しできるっていうのが、一番うれしい。先生がいなかったら、今の自分もいないので。


■いつでも気になる……競走馬は家族のようなもの!?

優作　そうだね。周りの方にはもちろん、馬にもすごく感謝してるよ。競走馬って、すごく一生懸命走ってくれる。冗談ではなく、ときには鼻血を出してまで、必死に走ってくれる。人間には絶対にできないことだと思うから。そういう頑張っている姿を、もっと間近でファンの人に観てほしいな。

高倉　ホントですね。でも、競走馬って、こう言ってしまってはなんですが、もともといた品種ではなく、人間の都合で作られた生き物ですよね。だから、ある意味、芸術品だと思うんですよ。とくに走っている姿は、ジョッキーの僕でもキレイだなって思うし。頑張っている姿を観てほしいのはもちろんですけど、そういう…なんていうか、美しさっていうか、そういう面ももっとファンの人に感じてほしいと思いますね。

川須　僕もそう思う。でも、半面、ファンにとっては競馬はやっぱりギャンブルで、そういう意味では、いつ走るかわからないっていうのも競走馬の魅力のひとつだと思う。乗ってる僕ですら、わからないから。誰にも読めないよね。そういう意外性も、魅力のひとつですよね。ずっと2ケタ着順が続いているような馬でも、なにかがハマった瞬間、勝ったりしますからね。

優作　たしかに意外性はあるね。調子の良し悪しだったり、ダート・芝替わりとか、展開とか、ハマる瞬間がある。

川須　ずっと長い距離を使っていてもうひとつだった馬が、短いところを試したら強かったみたいな。乗っているこっちがビックリするくらい、意外性のある馬がいますよ。だから、一体なにがハマったのか、わからない場合もあります。

高倉　そういう馬って、人気がない場合が多いけど、人気のない馬で勝つのも気持ちいいよね。人気の馬で勝つのとは、全然違う。

優作　俺は、単勝オッズはけっこうチェックしてるんだけど、ファンはけっこうわかってるんだなって思うことのほうが多いな。

高倉　むしろ、ファンのほうがわかってるんじゃないですかね。

優作　かもしれない。自分が期待している馬でも、いざオッズを見ると人気がなかったり。でも、そういう場合って、たいてい人気通りになっちゃったりするしね。

高倉　まぁ、人気になる馬もならない馬も、僕にとって競走馬って、もう家族の一員みたいなものだからなぁ。

川須　それは言いすぎじゃない（笑）？

高倉　そうかなぁ。だって、休みの日でもテレビで競馬の番組をやってたら観るでしょ？

川須　観るよ。

高倉　たとえば、街中で競馬の写真があったら、つい見てしまうでしょ？

川須　うん、見る。

高倉　いつでも気になるっていうのは、ちょっと違うかもしれないけど、家族に近い感覚だと思うんだけどなぁ。

優作　俺たち、競走馬がいなかったら、ただの小柄な男の人だもんね〜（笑）。

川須・高倉　たしかに〜！

優作　でも、俺たち、今はまだ競走馬について語れることが少ないよね…。

川須　そうですね。いつかは新馬戦から乗って、重賞を勝って、GIに挑戦して…みたいな馬に出会いたい。池添さんとオルフェーヴルみたいな！

高倉　そうだよね。そうしたら僕たちも、もっと競走馬の魅力を語れるようになると思う。早くそうなりたいな。