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浦河神社騎馬参拝

  • 2003年01月06日(月) 17時07分
 あけましておめでとうございます。みなさま、どんなお正月を過ごされましたか。

 さて、毎年行われている元旦二日の浦河神社騎馬参拝。今年の元旦三が日はいずれも晴天に恵まれて、寒くはあるが騎馬参拝には好条件の天候だった。

 朝8時。気温は零下13度。この時期、日高地方は晴れていると放射冷却現象とやらで、気温が低い。娘と車で町の乗馬公園に赴く。そしてポニーの馬装を開始する。我がポニー少年団から騎馬参拝に参加するのは計7頭。準備が出来たところで馬たちを馬運車に積み込み、最初の集合場所である西舎(にしちゃ)神社に向かう。

 一方、JRA日高育成牧場からやってきた軽種などの乗用馬は計11頭。ここでまず合流し、それぞれ新年の挨拶を交わす。ポニーと合わせて20頭ほどに揃ったところで、最初の神社参拝を行う。この神社に石段はなく、あくまでウォーミングアップのようなものである。

 西舎神社からは二手に分かれ、ポニーは馬運車で一足早く浦河神社へ向けて出発する。一方の軽種などの乗用馬はここから人が騎乗したまま12キロほどの道のりを並足と速足で浦河神社へと向かう。所要時間は約1時間半程度だ。

 午前10時半。浦河神社には騎馬参拝を見るために約500人ほどの参拝客が集まっている。ポニーは近くの漁業協同組合の市場がある広場にて馬運車から降ろされ、小学生を乗せたまま、神社の鳥居のすぐ近くで待機する。山を越えて騎馬でやってきた乗用馬の到着をそこで待つのである。

 ようやく乗用馬軍団も到着したとの知らせが入り、ポニーを先頭に浦河神社の鳥居をくぐって境内へと入る。ポニーが最前列に並べられ、その後方に乗用馬たちが間隔を開けて待機する中、浦河町長や騎馬参拝実行委員会の「お偉方」が神主よりおはらいを受ける。沿道はロープが張られてあり、参拝客はそこから中に入れないように予めハンドマイクで厳重に注意される。神主による「儀式」が終了すると、すぐポニーたちの石段駆け上がりがスタートである。

 上がりはとにかく、勢いで何とかなるものだ。馬も人間もそれほど恐怖感に襲われることがない。101段の石段はかなりの急坂だが、一頭も落伍することなく無事に全馬が駆け上がった。

 上がり切ったところがすぐ社殿である。騎乗したまま子供たちは賽銭を投げ、柏手を打って参拝をする。その後、社殿の横の狭いスペースに移動して乗用馬が上がってくるのを待つ。

 乗用馬は11頭。これを二回に分けて上げる。社殿横の待機スペースが狭いので、乗用馬は最初の組が上がったら、参拝を済ませてすぐ石段を降りてくる。そして次の組がまた上がるという方法を取る。

 さすがにどの馬も躊躇することなく駆け上がるものの、やはり問題は「下り」だった。今年は、脚がすくんで降りたくないとだだをこねた馬が2〜3頭いて、やや危ない場面もあった。一般の参拝客は、心のどこかに、ほんのちょっぴりハプニングを期待しているところがないわけではない。人馬ともに重傷などということになっては大変だが、すんなりと上がって下りるだけではつまらない、などと不謹慎なことを言う知人もいる。しかし、実行委員会の面々にとっても事故だけは何を措いても避けなければならない。明治43年以来続いているこの行事は、幸いにしてこれまで無事故で経過しているのだ。何かあっては、即刻「中止」となる恐れもあるのである。

 社殿まで上がると、太平洋が眼下に見えるほどの眺望である。さすがに騎馬で下りるのは怖い。馬でなくとも脚がすくんでしまうところだ。

 私事ながら、今回選に漏れた我が娘(小4)は、来年「優先出走権」を獲得した。この一年はひたすら特訓に励まなければならない。来年の騎馬参拝は果してどんな展開になるものか、楽しみでもあり、不安でもあり……。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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