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誰にも言わなかった秋後半のケガ

  • 2012年01月10日(火) 18時00分
 今年最初の太論は、2011年の回顧から。競馬からプライベートまで、じっくりと振り返ってもらいました。数字(成績)に関すること、今だから明かせる“痛い話”などなど、今年も初っぱなからぶっちゃけトーク全開です!

■1年間で“戒告2回”は、われながらスゴイ!

──明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。さっそくですが、2011年は小牧さんにとって、どんな1年でしたか?

小牧 大きなケガがなかったのと、1日も休まずにレースに乗れたっていうことが、年齢的に収穫やったね。それにしても、1年経つのが早いなぁ。ついこの前、京都金杯を勝って(2011年シルポート)喜んでたと思ったら、もう金杯やもんね(笑)。時間の流れがどんどん早くなっていくなぁ。

──競馬に携わっていると、四季の移り変わりを強く感じますからね。余計に時間の流れが早く感じられるのかもしれません。それにしても、ケガがなかったのはなによりです。

小牧 でも、誰にも言わなかったんだけど、秋の後半に、たぶん肋(あばら)にヒビが入ってた時期があって…。

──えっ? いつですか?

小牧 マイルCSの3週前だったかな。最終レースで、ゲートが開いてすぐ躓いて、落ちたんですよ。最初はそれほど痛みを感じなかったんだけど、だんだん痛くなってきてね。2週間くらいは、もう痛くて痛くてたまらなかった。ずっと我慢してましたわ。マイルCSのころには、もう痛みが取れてたから大丈夫だったんやけどね。

ずっと我慢してました

──そうでしたか。お仕事柄、ケガは付き物ですが、みなさん、ホントに回復が早いですよね。

小牧 早いっていうか、我慢してるんだと思うよ。肋のヒビは、だいたい3週間くらいで痛みが取れるってみんな言うけどね。でも、ケガらしいケガといえば、それだけやったね。毎年、落馬で打撲とかしてたんやけど、去年は1年間、元気に乗れたね。

──制裁も少なかったように思うのですが。

小牧 そうそう、戒告が2回あっただけ。われながら、スゴイです、これは。過怠金もなかったしね。

──それは意識されてのものですか?

小牧 年初から、フェアプレー賞はもちろん、無制裁を狙ってたんですわ。残念ながら、秋に入ってから1日に二度も戒告をもらってしまったんやけど。それまでは、毎年2回は騎乗停止になってたからね。

──フェアプレーを意識して、実現しつつ、70勝近く挙げるというのは、想像以上にすごいことだと思います。それだけ勝負に行ってるということですからね。

小牧 僕もそれは思います。でもまぁ、真っ直ぐ乗ることは大事なことなんでね。

──無制裁を心がけるというのは、具体的にどういったことに注意を払いながら騎乗されるんですか? 相手があることなので、すごく難しいことだと思うんですが。

小牧 とにかく“集中する”ことでしょうね。集中すれば、周りもよく見えるし。その積み重ねだと思いますけどね。

──キャリアと技術のなせる技ですね。

小牧 今年もまた、無制裁を意識しながら頑張りたいですね。

──昨年は、中央に移籍されて以降、勝率、連対率が過去最高でした。そういった数字は、ご自分で意識されてますか?

小牧 あ、そうなんですか? 全然意識してないです。勝ち鞍はそれなりに意識するけどね。騎乗数は少し減ってるでしょ?

──昨年よりは増えてますが、一昨年までの平均ベースと比較すると、少し減っていますね。

小牧 毎週毎週、満タン状態は…ね(笑)。年齢も年齢なので、あまり疲れないようにと思って。かといって、騎乗が1日3、4頭では寂しいし、10頭ではしんどいな…と思うこともあるし。まぁ、贅沢な悩みやね(笑)。

─以前、『ここにきて競馬が楽しく乗れるようになった』とおっしゃってましたが、それに加えて昨年は、大きなケガも制裁もなく、充実した1年だったのではないですか?

小牧 そうやね。勝つべきところは、きっちり勝てたかな、とは思います。ただ、後半はね、リズムがちょっと…。GIレースがもうひとつ、うまくいかんかったね。

【質問コーナー】
■ 『小牧さんにとって、馬とはどんな存在ですか?』
小牧 ん〜、どういう存在なんやろ…。まぁ、レース中でも厩舎でも、僕は馬とよう喋ってますわ。「頑張れよ〜」とか、しれっとね(笑)。どういう存在かと言われれば、戦友でしょうね。

■ 『奥様はどんな方ですか?』
小牧 しっかりしてるよ。僕は怒られてばっかりです(笑)。たぶん、彼女にとって、僕は“息子”ですね。子供が3人いるようなもんやろね。僕はわがままで自己中心的な人間やから(笑)。でも、僕の言うことは、たいてい聞いてくれます。僕は家でよう喋るんでね、夫婦の会話はすごく多いと思う。

【次回の太論は?】
昨年、残念ながらGIは未勝利に終わった小牧騎手ですが、重賞で4勝を挙げたほか、NHKマイルCをコティリオンで2着するなど、年間を通して大活躍。次回は、小牧騎手自身が『印象に残っている』というレースを振り返りつつ、お手馬たちの今後の展望をお聞きします。
質問募集
太論 / 小牧太
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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