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うるう年

  • 2012年02月11日(土) 12時00分
 今年はうるう年。4年に1度巡って来る、2月が29日まである年です。

 地球の公転周期は365.2422日。つまり365日と約6時間で太陽の周りを1周しています。暦を1年365日のままにしておくと、毎年約6時間ずつ、公転周期と暦がずれていきます。するとどうなるか。120年ほどで暦のほうが1カ月ほど先行し、約720年後には春夏秋冬がまるっきり逆になってしまいます。これではいけません。そこで、4年に1度、1年を366日にして、そのズレを調整しているわけです。

 ただし、先に書いたように、公転周期が365日と6時間ピッタリではありません。それより若干短いんです。そこで、さらなる微調整が必要になります。そのために設けられたルールが「西暦年数で4の倍数となる年のうち、100の倍数であって400で割り切れない年はうるう年としない」というもの。したがって、12年前の西暦2000年は400で割り切れるのでうるう年でしたが、2100年は400で割り切れないためうるう年ではなくなります。言い換えれば、400年に3回は4で割り切れるのにうるう年ではない年がはさまることになります。

 それではあらためて計算してみましょう。1年が365日のままで400年たつと、経過日数は146000日。ところが、地球が太陽の周りを400年400回まわるには、146096.7日必要です。その差96.7日分を調整しなければなりません。400年に100回巡って来るはずのうるう年を3回少なくすると97日。400年で約0.3日=約7時間のズレに修正できます。お見事!こういうことを考えた人ってスゴイですよね。

 ちなみに、日本の法律では、うるう年を西暦ではなく皇紀(初代天皇の神武天皇が即位したとされる年=紀元前660年を元年とするもの)をもとに計算して設けることとされているそうです。明治時代に制定された法律が、今でもそのまま使われているんですね。そして、「皇紀年数から660を引いた数が100で割り切れて4で割り切れない年はうるう年としない」という規則を付け加えているとのこと。これで西暦のルールに合わせているわけですが、計算に使う数字をちょっと変えて、日本独自のルールを作ろうとした当時の人たちのこだわりを感じさせてくれます。

 さて、当然ながら4年に1日しかない2月29日生まれの競走馬もいます。当サイトのデータベースでは生年月日による競走馬検索ができないので、検索サイトで「2月29日生まれ、競走馬」といった文言を入力して調べてみました。すると、JRAのマルブツビアン、イングリッド、メデタシ(つい先頃登録を抹消されました)、佐賀のヒカルシンセイ、川崎のハンプトンコート、名古屋のミューオンといった馬が引っかかってきました(いずれも2008年生まれ)。もちろん、しっかり探せばもっといるはずです。興味があったら探してみてください。

 今年の2月29日に生まれて、3年後のクラシックを賑わす馬は出てくるでしょうか?

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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