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小牧騎手×赤木元騎手×上村騎手 “ほろ酔い”トーク Part3

  • 2012年02月21日(火) 18時00分
小牧騎手×赤木元騎手×上村騎手による“ほろ酔い”トーク第3弾! 今回の話題は、「大先輩・安藤勝己騎手」と、近年活躍が目立つ「外国人騎手」について。赤木元騎手が真剣(?)に考えたという、外国人騎手への対抗策とは!?

■30代の安藤さんは、めっちゃ怖かった…

──安藤勝己騎手を皮切りに、地方の騎手が続々中央に参戦し、移籍してきた時期がありましたが、上村さんは当時、そういった現象をどう受け止めていらっしゃったんですか?

上村 危機感は感じてましたよ。でもまぁ、いいも悪いも、システムが変わっていったわけですから。小牧さんをはじめ、話をしたらみなさんいい人でね。ジョッキーとしては、刺激にもなりましたし。

小牧 来てもらいたくないって思ってた人も、たくさんおっただろうねぇ。最初、完全に俺らはよそもんやったもん。文句もいっぱい言われたわ(笑)。安藤さんですら、いろいろ言われとったらしいからね。

赤木 30代のころの安藤さんは、めっちゃ怖かったけど(笑)。中央に移籍したころは、すでに落ち着いた感じやったもんね。 
「30代の安藤さんはめちゃ怖」と赤木元騎手

「30代の安藤さんはめちゃ怖」と赤木元騎手

上村 僕は穏やかな安藤さんしか知らへんなぁ。ライデンリーダーのころも、やっぱり遠慮があったのか、中央ではたしかに落ち着いた印象でしたね。赤木さんは移籍当時、どんな感じでした?

赤木 僕は小牧さんのように、移籍前に乗りに来てないから、『なんで、みんなして移籍してくんねん! 誰やねん!』みたいな、そんな感じやったな。ただ、勝負の世界やし、こっちも向こうも遊びじゃないから、ある程度、仕方ないよね。

上村 まぁ、こっち(中央)はこっちで、ひがみがあった人もいると思いますよ。

赤木 それにしても、安藤さんはすごい人だよね。俺が中央にきてから、食堂とかで声を掛けてもらったりして、いろいろお話させてもらったけど、いい意味で欲が削げたというか、本気で楽しんで乗ってる感じで。

上村 だから、GIでも思い切った騎乗ができるんでしょうね。安藤さんにしかできませんよ。

赤木 ホントにすごい。あの年齢で、これだけGIを勝ってる騎手って、いまだかつていないでしょ。

小牧 ホンマやねぇ。すごい人だわ。俺にとっても目安になる。俺もあそこまで乗れるんかなぁとか思いながらも、励みになるね。
安藤さんの存在は「励みになる」

安藤さんの存在は「励みになる」

上村 安藤さんこそが第一人者ですものね。今の流れを作った人ですし、やっぱり腹のくくり方が違う。僕も、安藤さんのようになりたいなぁと思うけど…、絶対になれへん(笑)。

小牧 上村くんはまだまだ若いんやから。といっても、もう38(歳)? 若いと言っておきながらなんやけど、年取ったなぁ(笑)。40歳なんて、アッという間やで。

赤木 そうそう。40歳になると、さすがにいろいろ考えるよ。

上村 そうですよねぇ。でも僕は、やっぱりこのままでは終わりたくないですし、外国人ジョッキーにも負けたくない。

小牧 俺ももちろん負けたくはないけど、世界の一流ジョッキーが走る馬に乗るわけだから、そりゃあたくさん勝つよねぇ。

赤木 しれっと名前をカタカナに変えたらどう? K.フトーシみたいな(笑)。

一同爆笑!

赤木 いや、マジでマジで(笑)。俺ね、ちょっと考えたことがあるの。1、2か月海外に行ってさ、JRAに戻ってきたときに、登録名を野球選手みたいにカタカナに変えることってできるんかなって。そしたら、『なんや、新しい外国人ジョッキーがおるやんか』って、投票してくれるんちゃうかなって(笑)。

上村 もー、赤木さん……(苦笑)。

小牧 アホか(笑)。じゃあ俺、チャン・コマキとかにしよか?

上村 アジア系ですか(笑)。もう、小牧さんまで…。

小牧 まぁ、それは冗談として、相手はなにせ“世界”やからね。

赤木 対する小牧さんは“新世界”(笑)。あのね、俺は言いたいのは、今はそれくらい、外国人ジョッキーっていうだけで乗せるじゃないですか、っていうこと。

上村 時代の流れには逆らえませんからね…。でもこの流れを良しとしてしまうと、先々ジョッキーとして、自分を追い詰めるような気が…。あんまりいい傾向ではないですよね。

小牧 今は、一時期に短期免許は5人までっていう制限があるけど、それがなくなったら、どうなるんかなぁって思うよ。とにかく俺たちは、勝ち続けなきゃアカンわけで。勝っても乗り替わってしまう時代やからねぇ。

上村 厳しいですよねー!

小牧 気持ちじゃ負けへんけどね。今日、新聞に外国人ジョッキーのインタビューが載っていて、『日本は馬群がバラバラだから、どこでも入っていけるけど、制裁があるから…』とかなんとか書いてあって。悔しいよね! たしかに地方から来たばっかりのころは、今より縦長の競馬が多くて、楽やなって思ったけど、外国人ジョッキーがたくさんくるようになってから、競馬の流れがタイトになってるよね。

赤木 うん。変わった、変わった。

上村 たしかに、流れは変わったかもしれませんね。

赤木 外国の競馬は、馬体もぶつけてでも、こじ開けるからね。でも、日本ではアカンでしょ。確実に、戒告とかもらうもんね。

上村 制裁はないに越したことはないですけど、そればっかり気にしていたら、やってられませんからね。GIとか、多少馬体が当たる瞬間があっても、勝てる可能性があるなら…と思うのは、当然だと思うし。

小牧 上村くんは、海外には興味ないの? 俺はもう、いいかなぁって感じやけど。

上村 昔は海外にも野望がありましたけどねぇ。今はもう、家族もいるし、自分の立場を考えると、そう強気にはなれません。

小牧 ただ、上村くんは、ホンマにこのままじゃ終わらないと思うよ。だって、悔しいやん。若手がどんどん伸びてきてさ。俺も彼らに負けたら悔しいし、上村くんっていういいものを持っているジョッキーがそばにいるのに『なんでやねん!』っていう気持ちになることがある。ライバルだけど、友達でもあるからね。

「もっと上を目指して「頑張りたい」と上村騎手

もっと上を目指して「頑張りたい」と上村騎手

上村 僕ももちろん悔しいし、もっともっと頑張らなきゃいけないとは思ってます。

小牧 ジョッキーである以上、やっぱり負けたら悔しいやん。とことんやっていいんちゃうかなと思うけどね。俺も一生懸命頑張ってるんやけど、そんな上村くんを見たら、余計に頑張らなアカンと思うし。上村くんは、天性のものがあるからね。天性のものを持ってるヤツほど、努力せえへん(笑)。

上村 たしかに…、努力しなかった時期もありました。でも僕自身、悔しい気持ちはありますし、このままじゃ終わりたくないんです。

【次回の太論は?】
次回はいよいよ、ほろ酔い三者対談の最終回。調教師を目指す赤木元騎手、このまま終わるわけにはいかない上村騎手、そして、橋口厩舎の管理馬でのダービー制覇を目指す小牧騎手──それぞれに未来の野望を語ります。
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太論 / 小牧太
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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