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空中写真タイムトラベルで過去の競馬場を見る

  • 2012年02月25日(土) 12時00分
 実は今、マイブームになっていることがあります。それは、空中写真を使ってのタイムトラベルです。

 国土地理院の「国土変遷アーカイブ空中写真閲覧システム」というサイトを開くと、1936年以降に日本各地の上空から撮影された膨大な数の空中写真を閲覧できます。古い写真に写っているのは、今では見られなくなってしまった“懐かしの風景”。これを利用して、自分にとってのゆかりの土地や場所を“空”から眺めているんです。

 このサイトに出会ったのは、金沢競馬場が来年のJBC開催地に決まった、というニュースを受けて、あれこれ調べていた時のこと。おなじみの「Wikipedia」の中に、旧金沢競馬場があった場所に関する記述の「出典・脚注」として、同サイトが載っていました。そこで、さっそくアクセスしてみたんです。

 昔の空中写真の検索にはちょっとしたコツが必要でした。でもそれさえつかめれば、あとは簡単。旧金沢競馬場が写っている写真はすぐに見つかりました。だったら、ということで、手当たり次第に昔の写真を検索してみたところ、次々に出てきましたよ、おもしろい写真が。

例えば、1941年に陸軍が撮影した東京競馬場付近の空中写真には、当時の同競馬場にあった“十字タスキ”と3〜4コーナーにかけての“S字”の障害コースがクッキリ写っています。さらに、1960年代の大井、川崎、名古屋競馬場や、1975年の春木競馬場(前年の1974年に廃止。大阪府岸和田市にあった。園田・姫路競馬の吉田勝彦アナウンサーが、50年以上前に実況の仕事を始めた競馬場)の写真にも障害コースが写っていて、地方競馬でも障害戦が行われていたことがわかります。

 また、1948年に米軍が札幌市上空から撮影した写真を見ると、今と同じ場所に札幌競馬場があります。ところが、そのコースには、1コーナーと3コーナーの入り口の先にいわゆる“ポケット”が伸びているんです。これは、昔の同競馬場が左回りだったことの証し。今の福島競馬場を逆回りにしたような形状だったわけです。

 関屋記念の由来となった旧新潟(関屋)や、かしわ記念、戸塚記念にその名を残す柏、戸塚の競馬場が写っている写真もありましたし、羽田空港国際線ターミナルのあたりにあった羽田競馬場のコースがわかる写真も見つかりました。そうそう、今はなき東京スタジアム(東京都荒川区南千住にあったロッテオリオンズの本拠地。私が初めてナマでプロ野球を観戦した野球場)や後楽園球場の写真も。とにかく、一度見始めたら、しばらくやめられなくなっちゃいました。

 昔の地方競馬場のコースには、風変わりな形状のものがたくさんあって、それを眺めているだけでけっこう楽しめます。空中写真タイムトラベル、みなさんも試してみてはいかがでしょう?

◎国土地理院「国土変遷アーカイブ空中写真閲覧システム」のアドレス=http://archive.gsi.go.jp/airphoto/(空中写真は閲覧のみ可能。個人のホームページへの転載などは不可)

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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