いよいよ、“ほろ酔いトーク”も今回が最終回。調教師を目指す赤木元騎手、このまま終わるわけにはいかない上村騎手、そして、橋口厩舎の管理馬でのダービー制覇を目指す小牧騎手──それぞれに、プロとしての矜持、そして未来の野望を語ってくれました。
■上村くんには、俺の乗り馬を取るくらいの気持ちで…
小牧 今年の目標は“1日1勝”だったんやけど、2週目で早くもひとつも勝てんと、終わってしまったわ(笑)。1日1勝すると、年間で96勝できるねんな。
上村 それを言うなら、僕なんてしょっぱなから躓きましたからね(中山金杯に1番人気アドマイヤコスモスで出走も、レース中に故障を発症)。
小牧 ああ、金杯か。
赤木 あれは残念やったね…。
上村 ホンマにへこみましたわ…。立ち直るのに時間がかかりました。
小牧 たしかに、あれだけの馬にはなかなか出会えへんからね。
ほろ酔いトークも佳境に
上村 そうなんです。だから、ああいう形で終わらせてしまったのは、本当に悔しくて。あそこ(金杯)で勝ったら、いよいよオルフェーヴルに挑戦や! っていうくらい、期待してましたからね。
小牧 まぁ、落ち込んだときは、勝つことが一番の薬やから。俺もね、楽しく乗れればいいやと思いつつ、やっぱり勝ちたいねん。
上村 そうですね。でも、切り替えが難しい。パーッと(お酒を)飲んで切り替えられるかといったら、逆効果やし(笑)。
小牧 与えられた馬でコツコツと頑張っていれば、上村くんは絶対に大丈夫や。俺自身、そうやったから。
赤木 小牧さんは天才ですから!
小牧 そうや、俺は天才(笑)。ホンマにね、上村くんほどの技術があれば、絶対に大丈夫。
赤木 身内でもあるけど、ライバルでもある小牧さんの言葉だから、説得力あるよね。
小牧 たしかに上村くんはライバルや。でも最近ね、ちょっと感覚が変わってきた。
上村 えっ? どういうことですか?
小牧 この前、嫁さんにね、上村くんに限らずなんやけど『あんた、みんなライバルなんやから、いろいろ教えたらアカンやん』って言われてね。でもよく考えたら、上村くんはライバル以前に、もう友達以上やんか、と思って。
赤木 友達以上恋人未満、みたいな(笑)。
まだ現役でと上村騎手
小牧 お前、うるさいねん(笑)! たとえばやけど、橋口厩舎でいえば、上村くんには俺の乗り馬を取るくらいの気持ちで、頑張ってもらいたいなって思ってるよ。上村くん以外のジョッキーに乗られるのは嫌や。
上村 わかります。僕も小牧さんが乗っていた馬に、別のジョッキーが乗っていると嫌ですもん。
赤木 身内ならではやねぇ。
──赤木さんは、これから助手として経験を積みながら、調教師を目指されるんですよね?
赤木 そうですね。小牧さんとうえちんも、将来のこととか考える?
上村 考えないことはないですけど、僕はまだまだジョッキーでいたい。
小牧 最終的には、調教師になりたい?
上村 ん〜、調教師になるならない以前に、使われる側ではなくて、独立したいなって思いますね。
小牧 俺は、橋口厩舎の馬でダービーを勝ったら、調教師を目指そうかな、と思ってんねんけど。ん〜、実際にそうなったら…どうやろね。とりあえず俺は、あと10年は乗るわ。赤木くんは、きっとうるさい調教師になるぞ! 『運動は2時間やれ』『お前ら、馬から下りるな!』みたいな(笑)。
上村 調教師になったら、みなさん変わるって言いますからねぇ(笑)。
赤木 本人がどう思っているか以前に、変わらざるを得ないんだよ、きっと。
小牧 今の時代、情を持たんようにせなアカンな。
赤木 そうですよねぇ。
上村 でも、そういう意味では、橋口先生はめっちゃ懐が広いですよね。
小牧 そうそう。橋口先生はそこがスゴイ。人間として、器が大きいねん。
赤木 ホンマやねぇ。でも、これからの厩舎経営は厳しいよね。スタッフの数も減らされてしまったし。EXILEはどんどん増えてるっていうのに(笑)。
橋口厩舎の馬がダービーを勝つまでは現役続行
小牧・上村 アハハハ!
赤木 まぁ、受かってからいろいろ考えますわ。言うたら会社を興すわけやからね。相当覚悟がいるけどね。
小牧 馬に合わせた調教ができる、調教師になってもらいたいな。この馬はこう、って決めずに、臨機応変に対応できる調教師になってもらいたい。あとね、調教だけじゃなくて、営業も頑張ってもらいたいね。これからは、それが大事やから。
上村 僕は、一方では鬼になっても、どこかで情を忘れない、そんな調教師になってほしいですね。
赤木 うえちんの言うとおりやね。それができる人はすごいと思う。俺はなれるんかな…。それ以前に、受かるんかな…。
小牧 赤木くんやったら受かる。こう見えて、やるときはやる男やからね。上村くんは、なにか目標とかあるの?
上村 僕は自分自身、怠けていたことを自覚しているので、これからはもっと、自分を律していきたいですね。もっと上を目指そうと思ったら、このへんで精神的にも肉体的にも変わりたいなって思ってます。やるべきことは、たくさんあるはずだから。
小牧 やることやったら、気持ちも強くなるもんだよ。
上村 そうですよね。やるだけやってダメだったら、あきらめがつきますからね。僕はまだ、そこまでやってない。そのことは自覚してます。
小牧 俺も、目標っていうわけじゃないけど、ジョッキーでいるからには、強い気持ちを持ち続けたいって思ってる。体もつねに仕上げておきたい。
上村 いい馬にめぐり合えたときに、ちゃんとチャンスを生かせる自分でいたいですよね。
名門厩舎のすべてを学び取る
赤木 俺の目標は、まずはトリプルアクセルを成功させること!
小牧 真面目に言えや(笑)!
赤木 はいはい(笑)。俺は今、幸いにも橋口厩舎という名門で働かせてもらってる。だから、すべてを吸収したい。今、すごく楽しくてね。だって、俺が担当している馬を、小牧さんとかうえちんが乗ってくれるわけやから。
小牧 俺も居心地がいいよ。赤木くんは、ジョッキーだっただけあって、わかってくれるし。あ! そういえば、橋口先生が俺に『ありがとうね。いい人(赤木元騎手)を紹介してくれて』って言うんやけど。
赤木 えー! 小牧さんの手柄になってるの? 違うのにー(笑)。
小牧 俺だって『いえいえ…』って感じで、肯定はしてへんよ。でも、なぜか俺が紹介したことになってんだよね(笑)。赤木くんに、『人が足りへんねん』って言ったのは、たしかに俺やけど…。
赤木 小牧さんからそう聞いて、俺から先生にアピールしたんだよ! 紹介してもらってませんからねー(笑)。
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