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きさらぎ賞・ワールドエースはただ者じゃない!

  • 2012年03月06日(火) 18時00分
2月5日のきさらぎ賞では、春の主役候補の1頭、ワールドエースとのコンビで、圧巻の競馬を披露した小牧騎手。このほかにも、ローゼンケーニッヒやレッドブレイゾン、クラレントなど、可能性を秘めた相棒たちが、春へ向けてスタンバイしています。今回は、これら1頭1頭について、小牧騎手に現時点での“感触”をうかがいました。まずは、小牧騎手も驚いたという、きさらぎ賞の回顧から!

■見ての通り、ただもんじゃない!

──今月は、きさらぎ賞でコンビを組んだワールドエースについて、ユーザーの方からたくさんの質問が届いています。まず、「ワールドエースが勝った新馬戦で、小牧さんはレッドブレイゾンに騎乗して2着。そのときのワールドエースについては、どんな印象でしたか?」という質問です。

小牧 (ワールドエースに騎乗していた)祐一くんが、ちょいちょい後ろを見ていてね。それだけ余裕を持って乗ってたんやろうけど、僕自身は、かわせるんちゃうかなと思った。そのあと話題になったけど、そこまですごい馬かなぁって。いざ、きさらぎ賞で乗るっていうことになったときも、その前で負けていたし(若駒S2着)、言うほど大したことないんじゃないかな…って、内心は思ってたりもしたんやけどね。

──2月1日に、初めて坂路で騎乗されましたよね。調教での感触は、いかがでしたか?

小牧 うん、そのときも、まぁこんなもんかな…くらいで。なんというか、普通やったね。それなら、ローズキングダムとかのほうが、“おっ、これは!”っていう衝撃はあった。

──そうでしたか。福永騎手いわく、調教では力むところがあるそうですが、その点ではいかがでしたか?

小牧 ずっとCコースで乗ってたみたいだけど、僕は中1週で跨ったから、坂路だったんでね。だからかな、乗りやすかったですよ。抑えが利かんような感じもなかったし。

──レース前は、どんなレースをイメージされたんですか?

小牧 とにかく、ポツンと置かれんようにと。中団くらいで折り合いをつけられたらいいなと思ってました。

──新聞の報道でも、“新コンビ”としてかなり話題になりましたが、小牧さんご自身は、いつも通りプレッシャーを感じることもなく?

小牧 そうやね。負けたら負けたで、そんなもんやなと(笑)。ただね、折り合い云々は言われていたから、その点がどんなもんかなと。まぁ、1800mっていうこともあって、うまく乗れたね。

──前走で負けているぶん、春本番へ向けて負けられない一戦でもありましたよね。

小牧 周りはそう思うかもしれんけど、僕自身は、初めて乗ったわけやし。次も乗れる保証もなかったしね。負けたら余計に“次”はないやろうけど、勝ったら、ひょっとしたらまたチャンスが巡ってくるかな…っていうふうには思ってたけどね。まぁ、そんなもんですわ(笑)。

──さて、レースですが、ユーザーも「小牧さんが感じたワールドエースの強さ」が一番知りたいようです。率直な感想をお願いします。

小牧 もう、見ての通りやね。ただもんじゃないなと。実戦に行って、初めて“スゴイ!”と思った。馬力というか、パワーがあるんだよね。初めて乗ったから、どういう反応をするのかわからなくて、4コーナーでステッキをポンと入れたら、予想以上の反応でね。あそこまでの脚を使うとは思わなかったもんやから、“早く抜け出しすぎた!”と思いながら、思わずキョロキョロしてしまったわ(笑)。

──抜け出すときの脚が速かったですものね。

小牧 速かった! あれはホンマに速かったなぁ。鞭を入れたのも、4コーナーで一発と直線で抜け出してから1発。抜け出してから、ちょっとフワフワしてたんでね。かわされたらアカンから、気合いだけ入れて。

──通った位置などを考えても、相当に強い競馬だったと思います。

小牧 強い、強いね。でも、まだ競馬が粗削りや。だから、皐月賞に向けては、もうちょっと競馬が上手にならんとね。皐月賞のコースを考えると、付け入る隙がありそうだから。そう考えると、この前乗せてもらって、勝てて良かったわ。ダービーやったら…、ぜひ乗りたいねぇ(笑)。

またぜひ乗りたいね(笑)

またぜび乗りたいね(笑)

──ダービーとなると、距離が2400mになるわけですが、距離延長については、どんな印象ですか?

小牧 大丈夫じゃないかな。折り合いには、ある程度課題はあるやろうけど、辛抱できると思う。

──ちなみに、池江先生は1頭1頭、ジョッキーを慎重に選択されると聞いたことがありますが、どういった経緯で今回の騎乗依頼が来たんですか?

小牧 なんでやろ? 単に、あのレースに僕の乗り馬がいなかったからちゃう? 

──最初から、“きさらぎ賞だけ”という依頼だったんですか?

小牧 いや、そういうわけじゃないけど。あれほどの馬やから、(これからも)乗りたいには乗りたいけど、回ってきたこと自体うれしいことやし、しかも勝つことができてホンマに良かったわ。

【質問コーナー】
■お正月は、必ず川西の多田神社に行かれるそうですが、それはなぜですか?

小牧 曾和先生が必ず行くからです。僕が15歳で九州から出てきたときも、多田神社に連れて行かれて。それからずっとやから。そもそも曾和先生が、尼崎の出身やからね。

■今後、中央で兵庫の馬に乗ることはあるのでしょうか? 小牧毅厩舎から、中央のGIを狙えるような馬が出たら、ぜひ乗ってほしい!

小牧 それくらいの馬やったら、地元のリーディングジョッキーが乗らなアカンやろ。ぜひ乗って! と言われたら乗るけど(笑)。僕としては、中央のGIで通用するくらいの馬やったら、ぜひ地元の騎手と一緒に来てもらいたいね。

【次回の太論は?】
新馬戦でワールドエースの2着に入ったレッドブレイゾン。小牧騎手が“かわせるんじゃないか…”と思ったほどの、決め手を披露しました。1月21日の未勝利戦では、しぶとく逃げ粘って、待望の初勝利。次回は同馬について、小牧騎手の手応えをお聞きします。
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太論 / 小牧太
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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