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変わり身あり、レッドブレイゾンは将来性大

  • 2012年03月20日(火) 18時00分
ともに初戦は敗れたけれど、2戦目、3戦目で順調に勝ち上がったローゼンケーニッヒとレッドブレイゾン。2頭とも、一度叩いたことで、馬に変化があったようです。今回は、この時期の3歳馬の成長について、“太論”をお聞きしました。

■普通やなぁ…と思っていた馬がガラッと変わる!?

──前回はローゼンケーニッヒについてお話を伺いましたが、橋口厩舎の3歳馬では、もう1頭、レッドブレイゾンが年明けに勝ち上がりましたね(すみれSを予定するも、のちに馬房で左トモを寝違えて、いったん放牧に)。ワールドエースの2着にきた新馬戦では、「かわせるかも…と思った」とおっしゃっていたくらいですから、期待も大きいのでは?

小牧 そうやね。レッドは長いところで良さそうやね。新馬では、ホンマに“(ワールドエースを)かわせるんちゃうか”と思ったけどなぁ。


初戦では“もしや”の可能性も

初戦では“もしや”の可能性も

──初戦は追い込んで2着でしたが、2戦目でレースぶりがガラリと変わりましたよね。

小牧 そうそう。あの馬は、思ったより行くね。ゲートを出てからの気持ちが前向き。初戦は全然行けなかったのに、2走目からは、自分から行くようになったわ。行かしてないのに(笑)。

──初勝利(3戦目)は逃げ切りですものね。使うたびに、走る気が出てきている印象ですか?

小牧 うん。ただ、馬がまだ緩いんでね。もう少ししっかりしてきたら、もっともっと走ってくれると思うわ。ただ、そんな状態でも、あれだけ走るんやから。素質があるんでしょうね。

──馬体も520キロ前後と雄大ですし、大跳びで、スケールの大きい走りをしますよね。東京コースあたり、合いそうな気が…。

小牧 跳びは本当にデカイ。だから、たしかに東京は乗りやすそうやね。好位差しあたりでね。あとは、もうちょっと体がしっかりしてくれば。

──ちなみに、行きっぷりの悪い馬を前向きにさせるには、調教などでどのような工夫をするんでしょうか。

小牧 調教でどうこうより、性格が大きいんちゃうかな。性格的に気のいい馬は調教でも前向きやけど、反対に、全然行かん馬もいるからね。たしかにそういう馬の場合、調教でもしっかり追ってきますよ。

──それまで馬なり中心だった馬を一度一杯に追うと、やはり馬は変わってくるものですか?

小牧 いや、調教よりも、レースを1回使うと変わるよ。レッドブレイゾンなんて、ホントにいい例。

──道中の行きっぷりに限らず、少し前のディープスカイや、昨年のオルフェーヴルのように、この時期の3歳馬は、急激に成長したり、変わってきたりすることがありますよね。どういったことがきっかけになるのでしょうか。


逃げに徹して3戦目で初勝利

逃げに徹して3戦目で初勝利

小牧 精神的に成長する場合もあれば、体が変わってくることもあるね。たとえば、まだ体調が万全ではない馬が、2、3回レースを使われていくうちに万全になってきたり、精神的にもレース慣れしてきたりして、ガラッと変わってくることがある。オルフェーヴルは、気性が難しい馬でしょ。デビューしてしばらくは、力はあるんやけど出し切れなかった。でも、スタッフや池添くんが教え込んで、馬自身も慣れてきて、マジメに走るようになったから、三冠を獲れたんやろうし。精神的に成長したタイプやね。

──小牧さんご自身も、そういった馬の成長を何度も目の当たりにしてこられたと思うんですが、この時期は、やはりそういう急激な変化があり得るんですね。

小牧 あるよ。この馬、普通やなぁ…と思っていた馬が、ひとつ勝ったのをきっかけに、イメージがガラッと変わってくることがある。おもしろいよね。

──なるほど。3歳牡馬戦線には、順調なら…と思わせる素質馬がそろっていますね。現時点で騎乗馬は流動的ですが、春に向けて意気込みを。

小牧 意気込みと言っても……、僕自身はいつもと一緒やね(笑)。まぁローゼンケーニッヒは、いい馬場でどれだけ切れるのか、楽しみはあるね。あとは、クラレントがもうちょっと走ってくれなアカンなぁ。重賞ウイナーなんやし、走ってもらわんと一番困る馬やね(笑)。

【ユーザーからの質問コーナー】
■ 地方と中央と両方経験されている小牧さんですが、1勝の重みやうれしさなど、それぞれで違うものでしょうか。

小牧 どこも一緒です。ただ桜花賞は、GIをなかなか勝てなくて、半分あきらめかけてたところで勝てたレースだったから、やっぱり格別やったね。

■ 奥様とはどんなふうに知り合ったのですか? 小牧さんから口説いたのでしょうか?

小牧 キャバクラで働いててね……って、ウソです(笑)。友達の紹介です。最初にデートに誘ったのは僕で、映画を観に行きました。今でも忘れない、ホラー映画でした。もちろん、“キャーッ”って抱きついてくれるのを狙ってね(笑)。若かったなぁ。それがもう、結婚して20年やからね。

【次回の太論は?】
マカニビスティーで、ドバイゴールドCに参戦することが決まった小牧騎手。以前「海外の競馬にはあまり興味がないなぁ」とおっしゃっていた小牧騎手ですが、参戦が決まった今は、きっと燃えているはず! 次回は、パートナーのマカニビスティーについて、そしてドバイでの勝算に迫ります!
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太論 / 小牧太
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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