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魔法の芝で行われる新装福島

  • 2012年03月30日(金) 12時00分
 新装中京芝コースは、オーバーシードの洋芝を長めに設定したこと、毎週末のように降った雨、ゴール前の坂などの影響により、時計のかかる馬場で終始行われました。今後、同じような傾向が続くとは思えない部分もありますが、前開催の中京芝は「独自色の強い競馬場」として存在感を示したのではないでしょうか。

 そして、来週から再開する福島も、中京芝とは異なる「独自色の強い」競馬場になりそうです。福島の芝は(ほぼ)全面が「エクイターフ」で行われるからです。エクイターフは、JRAが品種改良により作り出した、新しい種類の野芝です。従来野芝よりも生育が早く、耐久性も高い特色があります。

 東京競馬場の芝レースの走破時計が、ここ2年ぐらいで一段と速くなる傾向にあるのも、直線部分にエクイターフが用いられている効果も出ているようです。GIレースは開催後半に行われることがほとんどですが、エクイターフは耐久性が高いために、良好な芝コンディションを保てるからです。

 また、最近は開催が進んだり、雨で馬場が少し痛んだ状態の方が馬場の内側が伸びるバイアスが発生する現象が見られます。これも、エクイターフが影響を与えているケースがあるのです。

 エクイターフの上に洋芝がオーバーシードされている場合、競走馬が多く走る内側部分からオーバーシードされている洋芝が剥がれます。よって、内側部分はエクイターフが剥き出しになります。さらに、耐久性が高いため競走馬に踏まれても走りやすい状況を維持し続けます。そのため、内有利のバイアスが発生するのです。

 なお、新装福島は、ほぼ全面がエクイターフで行われますが、洋芝がオーバーシードされます。オーバーシードの洋芝が長ければ、馬力が要求されることも考えれられますが、福島は中京よりも洋芝が育ち難い環境にあります。よって、中京ほど芝丈が長くない可能性の方が高いでしょう。そうなれば、中京芝とは異なり、軽快な馬場で行われることになります。小回りで起伏の少ないコース形態のため、積極的に動いてもスピードを持続しやすいコースになりそうです。

 こうした開催する競馬場ごとに異なる特性は、馬券戦術にも活用することができます。前開催の中京芝は、タフな馬場で行われたため、先行馬や近走先行経験馬に不利なタフな馬場でした。

 一方、福島の芝が、中京芝に比べ軽いレースになった場合、先行して持続力を活かすことができます。そのため、福島芝は、前開催の中京芝で先行力を活かせなかったタイプの巻き返しも多々見られることでしょう。

 昨年の今頃は「なぜ、中京も福島もないんだ」と嘆いていました。しかし、今年は中京芝、福島芝と特色のある競馬場が続きます。「中京芝ならでは」の穴馬を買うことで得た資金を「福島の芝でこそ」激走する(はずの)穴馬に投入できるのが今から楽しみです。

※なお、福島の馬場情報は、現地にも取材に行った小島友実さん(競馬ブック、グリーンチャンネルで活躍中)に教えていただきました。


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血統馬券予想理論『血統ビーム』の提唱者で、『ブラッドバイアス』『大系統』『小系統』などの血統予想用語、概念の作者。血統ビームの革新性は20世紀末の競馬予想界に衝撃を与え、現在は競馬ファン、競馬評論家に多大な影響を与え続けている。また『競馬予想TV!』『競馬血統研究所』(ともにCS放送フジテレビONE)に出演するなど活躍中。Twitterはコチラ。
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