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ダービー馬の天皇賞・春制覇

  • 2012年04月28日(土) 12時00分
 今週は春の天皇賞。史上7頭目の三冠馬オルフェーヴルが、さらなるG1タイトルの獲得を目指して出走します。

 日本ダービー馬が天皇賞・春を制したのは過去8回。それを古い順に並べてみました。
1939年(昭和14年)スゲヌマ
1949年(昭和24年)ミハルオー
1974年(昭和49年)タケホープ
1981年(昭和56年)カツラノハイセイコ
1985年(昭和60年)シンボリルドルフ
1999年(平成11年)スペシャルウィーク
2006年(平成18年)ディープインパクト
2007年(平成19年)メイショウサムソン

 ミハルオーとタケホープの間が四半世紀も開いていますが、当時は秋の天皇賞も3200mでした。長距離得意の馬にとって、春に勝てなくても秋があった時代です。この25年の間に限れば、ハクチカラとシンザンが日本ダービーと天皇賞・秋制覇を果たしています。

 そうは言っても、長い歴史を誇る日本ダービーと天皇賞・春をともに制した馬は8頭しかいません。オルフェーヴルが勝てば、三冠制覇と同じくらいの快挙となるわけです。

 ところで、ご存知のとおり、3200mを超える距離のG1というのは世界でも希な存在です。代表例は、ロイヤルアスコット競馬のルーツにもなっているゴールドカップ(20F)と凱旋門賞ウィークのロンシャン競馬場で行われるカドラン賞(4000m)、それにオーストラリア競馬最大のイベント・メルボルンカップ(3200m)でしょうか。

 これらのレース、とくにゴールドカップとカドラン賞は、近年、ダービーとはほとんど関係のないレースになっています。イギリスやアイルランド、フランスのダービーを制した馬が出てくることは皆無といっていいくらい。ハッキリ言って“非主流派”のステイヤーばかりが集まるレースです。

 当然ながら、そこで活躍するのが長距離のスペシャリスト。ゴールドカップではYeatsという馬が06年から09年まで4連覇を達成したほか、01、02年にはRoyal Rebelが連覇、98、2000年にはKayf Taraが2度の優勝を果たしています。また、03、04年にカドラン賞を連覇したWesternerは05年にアスコット競馬場改修のためヨークで開催されたゴールドカップも制覇。とにかくそういう名うてのステイヤーが繰り返し優勝するケースが目立ちます。

 一方、天皇賞・春を連覇した馬は(一度勝った馬が出られるようになったのは81年から)、メジロマックイーン(91、92年)とテイエムオペラオー(01、02年)の2頭だけ。おととしのマイネルキッツは惜しくも快挙を逃した、ってことです。

 でも、きわめて短絡的ではありますが、このレースはゴールドカップやカドラン賞のような“ステイヤー御用達”ではなく、まだまだ日本ダービーの延長線上にあるレースと言っていいでしょう。そういう意味では、オルフェーヴルの頭は堅そうなんですが…。

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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