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クラレント、ダービーでは“ひょっとしたらの場面も”

  • 2012年06月05日(火) 18時00分
今年のダービーは、“道中は死んだふり作戦”から一転、好スタートから3番手で競馬を進めた小牧騎手&クラレント。はたして小牧騎手の道中の心境とは……。ダービーの裏側に迫ります。

■向正面でスマイルジャックを思い出したわ

──ダービーは、残念な結果に終わりました(15着)。

小牧 残念やったねぇ。なんだかねぇ…でもまぁ、力は出し切った感じはありました。

──てっきり後方から行くものだと思っていました。

小牧 そのつもりやったんだけど、スタートが良すぎたからね。あえて下げんでもと思って。

馬の状態は良好だった

馬の状態は良好だった

──中間は、またゲート練習をされたんですか?

小牧 うん、一回ね。ダービーはたまたまポンと出たけど、ゲートのなかは、まだまだ悪くてね。できれば、ゆったり出して乗ってきたかったな。

──NHKマイルCで好走したあと、『それまでと行きっぷりが変わった』とおっしゃってましたが、ダービーもマイルC同様、すごく行きっぷりがいいように見えました。

小牧 そうそう。馬の状態がいいだけにね。向正面では“あれ? これはひょっとしたら…”って思いました。折り合いは付いていたし、あの位置でも気持ちよく走っていたからね。ふと、スマイルジャック(08年2着)を思い出しましたわ。

──4コーナーを回ったあたりで、手応えがあやしくなったように見えました。

小牧 手応えがなくなったというより、4コーナーで勝ち馬に前に出られたでしょ? ああなると、もうアカンね。ずっとすぐ後ろにいるのはわかってたんやけど。4コーナーから舌を出していたし、やっぱり苦しかったんかなぁ。

──レース後は、橋口先生とどんなお話をされたんですか?

小牧 まずは僕から『“ひょっとしたら”と思ったんですけど…』って、話しかけました。そしたら先生も『そやな…』って。そうはいってもダービーは、勝たなあかんレースやからね。でもまぁ、僕なりにいい競馬はできました。秋はマイル路線に行くっていう話ですわ。

ダービーはあこがれのタイトル

ダービーはあこがれのタイトル

──改めて、小牧さんにとって、ダービーとはどんな存在ですか?

小牧 年々と勝ちたい気持ちが強くなるレースやね。今年は、同じ園田出身の岩田くんが勝ったからねぇ…。本当にうらやましいと思った。それと同時にね、改めて、まだまだ頑張るぞ!って思いましたわ。

──ちなみに、ダービーのあとは11Rの富嶽賞に騎乗されましたが(8着マジックアロー)、小牧さんのお嫌いな“混雑”は避けて帰れましたか?

小牧 うん。いつも通り、国分寺駅までタクシーで行ってね。スムーズに東京駅まで行けました。新幹線のなかでバレットの子と、ダービーの話なんかしながら、ワインやらビールやら飲み過ぎましたわ(笑)。京都に着くころには、すっかり酔っ払ってしまった(笑)。

──たしか翌日はゴルフのご予定でしたよね? しかも、ノースヒルズ(クラレントの生産者)の…。

小牧 そうそう。ゴルフの成績はなかなか良かったですよ(笑)。オーナーには前の日に、『すみませんでした』って電話してね。『4コーナーでは、もう手応えなかったんか?』って聞かれたので、『(隣にいた)勝ち馬のほうが、一枚上でしたわ』と。昔からお世話になってるオーナーやからね…、ここで結果を出せたら最高やったんだけど。でもまぁ、さっきも言ったけど、僕なりにはいい競馬ができたと思ってるし、改めて、勝ちたいっていう気持ちを強くしてくれたダービーやったね。

【ユーザーからの質問コーナー】
■ 「調教では走らないけど、本番は走る」タイプの馬がいますが、人間に置き換えてみると、「練習では遅いのに、本番だけ速く走る」というケースはまずないと思います。なぜ馬は、そういうタイプがいるのでしょうか?

小牧 どうなんやろうね(笑)。でも、馬はレースに行くと気分が乗るからね。感情が高ぶっているからこそ、速く走れる馬もいるよ。あと、レースは集団で走るでしょ? そうなってやっと、競争心が芽生える馬もいるだろうしね。逆に、調教では普通に速い時計を出すのに、本番になると気持ちが高ぶりすぎて、力を出し切れない馬もいるしね。いずれにしても、精神的な影響が大きいと思うよ。

【次回の太論は?】
 1番人気で負けた心境や、調教でわかる競走馬の能力、そして岩田騎手の豪快な追いっぷりについてなど、次回はユーザーからのディープな質問をもとに、太論を展開します。
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太論 / 小牧太
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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