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G1レース優勝馬祝賀会

  • 2003年03月03日(月) 12時45分
 去る2月17日と24日の月曜日、浦河でG1レース優勝馬の祝賀会が開催された。17日は、ダンツフレーム(宝塚記念)、ショウナンカンプ(高松宮記念)の二頭。そして24日は、ヒシミラクル(菊花賞)、トウカイポイント(マイルCS)の二頭である。

 こうした優勝祝賀会は、各軽種馬生産振興会(各町ごとにある生産牧場の親睦団体)が主催し、優勝馬の関係者を始め、業界の多くの人々を集めて盛大に行われる。参加人数はざっと300人くらいにもなろうか。

 ダンツフレームとショウナンカンプは浦河、ヒシミラクルとトウカイポイントはお隣の三石と、それぞれ主催団体が異なるために一週ずれた日程となった。

 普通、春のG1は夏に、そして秋から冬にかけてのG1レースはこの時期(翌年1月から2月)に祝賀会を開催することが多い(浦河の祝賀会がなぜ夏に開催されなかったのかは不明だが)。しかも、中央競馬の日程に合わせて厩舎関係者の休日となる月曜日に設定される。

 祝賀会の形式は、結婚式とよく似ている。新郎新婦入場とキャンドルサービス、お色直しがないくらいであとはそれほど差がない。北海道ならではの会費制という点も同じだ。

 以前は、優勝馬の関係者が、新郎新婦のようにマーチと共に厳かに入場するところからスタートしたものだが、最近は、最前列のテーブルに予め着席していて、祝賀会が始まるとそこで改めて紹介を受けてひな壇に進む形式に変ってきた。

 関係者が一通りひな壇に並び、そこでお偉方の祝辞や、記念品贈呈、祝電披露などが行われるのは結婚式とほとんど同じ。樽酒を用意しての鏡開きが行われた後、参集した人々が全員起立して乾杯となる。

 祝宴が始まると、座は一気に騒がしくなる。その間を縫って、生産牧場のご一行が各テーブルに挨拶回りをして歩く。今回は、ショウナンカンプの大柳さんやトウカイポイントの竹内さんなど、初々しい顔の生産牧場があり、とても新鮮に感じた。

 共に初のG1制覇である。同じ家族経営の生産牧場として、G1レースに優勝することの重みがどれほどのものかはよく分かるだけに、何よりの喜ばしい出来事だと改めて思った。

 以前、テイエムオペラオーの生産者、杵臼牧場の場主・鎌田信一さんがしんみりと「(オペラオーでたくさんのG1を勝たせてもらったけれど)やっぱり、何と言っても初めての時(皐月賞)が一番嬉しかったなぁ」と語っていたのを思い出す。

 祝宴の時には、会場の壁面にプロジェクターでレースのVTRが流れる。ゴールした瞬間には会場から大きな拍手が巻き起こる。司会者が騎手にマイクを持って近づき、レースの時の裏話などをインタビューする場面もあって、面白い。とりわけ、浦河のダンツフレームとショウナンカンプは共に藤田伸二騎手が騎乗し優勝するという偶然だった。

 余興として、サイン色紙やその他様々なグッズがプレゼントされる場面も大きな楽しみである。浦河の方は、祝賀会のしおりに印刷された番号を抽選で選び出す方法。三石は配布された馬券に「予想」(馬番単勝)を書き込んで、模擬レース(カード合わせのような)の結果、的中者を決定するという方法が取られた。こんな趣向もまた盛り上がるものだ。

 万歳三唱を最後に約2時間程度で祝賀会は終了し、散会となった。

 ところで、先週(3月2日)、偶然にもショウナンカンプとトウカイポイントが、それぞれ阪急杯と中山記念に出走した。共に人気を集めたが、ショウナンカンプは圧勝し、トウカイポイントは4コーナーで競走中止。現役引退を余儀なくされる見通しとのことである。先日、祝賀会で今後の活躍を祈念し祝杯を上げたばかりだというのに、何とも対照的な結果となってしまった。こんなこともあるのが競馬なのだろうが…。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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