2月26日川崎「エンプレス杯」。ジーナフォンテンが素晴らしい瞬発力で差し切った。好枠からビーポジティブがじわりと先手をとり、1000m通過65秒4の超スロー。ベルモントオリーブ、キミモールが少しカカリ気味に追走し、ネームヴァリューも向正面早々と進出を開始する。ジーナフォンテンはその後ろ、3〜4コーナー外目からスパート。直線あと1ハロン、前2頭を豪快にねじ伏せた。並ぶところがない圧巻の切れ味。レース上がり37秒7だから、ジーナ自身は37秒ソコソコの脚を使ったことになる。前走牡馬G1「川崎記念」3着と同じ川崎コース2100m。内田博騎手がテン乗りながら(張田騎手騎乗停止)、沈着かつ自信にあふれたレースをした。人も馬も、いま勢いがみなぎっているということだろう。ジーナフォンテンは昨夏「スパーキングレディカップ」に続き統一G2勝目。同時に平成7年このレース創設以来(前年までキヨフジ記念として実施)、地方側初の優勝馬となった。

エンプレス杯(サラ4歳以上牝馬、別定、統一G2、2000m)

◎(1)ジーナフォンテン　　(55・内田博)　2分16秒3
▲(2)ビーポジティブ　　　(54・武豊)　　2
○(3)ネームヴァリュー　　(55・佐藤隆)　首
△(4)ニシノハナグルマ　　(54・左海)　　3
　(5)キミモール　　　　　(55・木幡)　　11/2
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△(7)オンワードセイント　(55・勝浦)
△(10)アオバコリン　　　 (54・森下)

単740円　馬複840円　馬単2100円
3連複230円　3連単3320円

　「急きょ依頼があり、ビデオをみてイメージを作りました。スローで少し不安だったけど最後は凄い脚で伸びてくれた。走る馬です…」と内田博騎手。イメージより若干位置取りが後ろだったようだが、とにかく今の彼は“追わせて日本一”の言葉が似合う。事実、先日の中山「共同通信杯」も、ゴール際まさに鬼気迫る追い込みだった。馬に生命力を吹き込む−そんな感じか。ジーナ自身の能力とコース適性はもちろん、今日の勝利は鞍上の快プレーも大きいだろう。ジーナフォンテンは上山時代を通じダート[11-2-3-1]。父ベストタイアップは金杯、中山記念など芝中距離で活躍したが、アンバーシャダイ→ノーザンテーストと遡れば、そのダート適性もうなずける。強靭な末脚と勝負根性に特長。次走は3月26日、地元船橋「ダイオライト記念」を予定。2400mの距離は不安ないが、大仕事の後だけに状態を見つつひと息入れる可能性もある。

　ビーポジティブは前走「TCK女王盃」同様一分のスキもないレースをしながら、結果相手にそれ以上の脚を使われた。それでも折り合って先行できた、その意味では鞍上がめざす通り精神面で成長している。姉にトゥザヴィクトリー、弟にサイレントディール。歯がゆいと思われてしまうのは良血の辛いところか。ネームヴァリューは昨暮れから重賞4戦3勝、東京大賞典4着。さすがに少し疲れが出たかもしれない。3〜4コーナー、反応が鈍いのはいつものことだが、最後ビーポジティブに差し返されたのは意外だった。登録した中山「マーチS」はひとまず白紙で、地元「ダイオライト記念」も含め、戦略を練り直すと聞いた。

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金盃(大井、3月5日、サラ4歳以上ハンデ、2000m)

◎エスプリシーズ　　　(55・森下)
○ベルモントアクター　(55.5・石崎隆)
▲バンケーティング　　(56・的場文)
△クールアイバー　　　(53・御神本)
△オンユアマーク　　　(56・鷹見)
△スプリングシオン　　(55・左海)
△コアレスハンター　　(55.5・内田博)

　エスプリシーズは、今季統一Gの主役を担う馬と期待している。川崎デビュー4戦4勝。以後深刻なソエに悩まされながら、大井・雲取賞を勝ち、クラシックもソコソコの善戦だった。昨暮れ東京湾カップ圧勝はまさしく次代のスターを予感させるレースぶりで、ヒミツヘイキに惜敗した前走も、自身1800m1分49秒8だからテンションはまったく落ちない。心身とも充実した今なら、正攻法で押し切れるはず。前2走をみる限り、パドックも返し馬も、以前とは別馬のような堂々たる気配を感じた。

　ベルモントアクターは大賞典5着。初めて胸を与える立場になった。中間捻挫で一頓挫。いきなりエスプリとの対戦は厳しいが、自身過去不可能を可能にしてきた経緯もある。G1南部杯2着・バンケーティングにはひとまず敬意を払いたいが、人気になると馬券的に妙味が薄い。コアレスハンターの逃げは今回マークがきつくなるか。充実度でクールアイバー、底力でスプリングシオン、オンユアマーク。