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JRA移籍後『最も衝撃を受けた馬』小牧騎手一人ほろ酔いトーク(2)

  • 2012年07月10日(火) 18時00分
『デビュー前にもっとも将来性を感じた馬』や『若駒の馬体の注目点』など、今回は2歳馬をテーマに太論を展開。また、今年もゆかりの血統馬が続々入厩予定の橋口厩舎について、改めてその思いを語ってくれました。

■橋口先生には恩返しせな…

──2歳馬が続々とデビューしていますが、ユーザーから「その後の活躍を問わず、デビュー前にもっとも将来性を感じた馬は?」という質問がきています。

小牧 中央に来て、一番最初に衝撃を受けたのはリーチザクラウンやね。生まれて初めてこんなにいい馬に乗ったな、って思った。デビュー前からずーっと乗ってましたからね。新馬戦で乗せてもらったんやけど、その後はまぁ、乗れなくて。ずっと乗せてもらえていたら、僕の人生も変わったかもしれない(笑)。なんせ、背中が良かった。今でも覚えてるよ。

──デビュー前から、トレセンでも評判の1頭でしたものね。

小牧 そうそう、めっちゃ良かった。乗りやすいし、乗り味はいいしで。新馬戦は中団より後ろから行って、2着に負けてしまってね。2戦目からは、逃げて結果を出すようになったけど。


リーチザクラウンの衝撃

リーチザクラウンの衝撃

──そのあたり、ジョッキーにとってジレンマではありませんか? 行かせれば勝てるかもしれない、でも、ここでは控える競馬を教えておきたい…とか。

小牧 うん、そういうのはある。でも、なにより勝たなアカンからね。そのあたりが難しいところやねん。自分で絶対に走ると思った馬がいて、その後もずっと乗せてもらえるっていうことがわかっていれば、そりゃあいろいろ教えたいけどね。

──あと、衝撃を受けられたのは、以前にもおっしゃっていたローズキングダムですよね。

小牧 あの馬も良かったねぇ。素晴らしいと思った。そういう馬の背中を知ってしまうと、どうしても2歳馬の評価が辛口になってしまうね。でも、最近ではマキハタテノールも、2歳のときにいい馬やなぁと思った。

──ここにきて2連勝しましたね。

小牧 最初はねぇ、思ったより走らなくて。芝でもダートでも止まってしまってね。正直“あれ?”って感じやったんだけど、ここにきて勝ってくれてね。乗り味がいいと思った馬は、やっぱり走ってくれるもんやなって改めて思った。これまでは人間側も手探り状態やから、条件が合わなかったのかもしれないね。

──芝の長めで頭角を現したとなると、3歳馬ですし、秋が楽しみですね。

小牧 そうね。順調に行ってくれれば、菊花賞も視野に入ってくるからね。

──ちなみに、デビュー前の1歳馬や2歳馬を見るとき、馬体のどのあたりに注目しますか?

小牧 トモやね。横からとか後ろからとか、まずはトモの張りを見ます。プリッとしてる馬がいい。でもまぁ、ブエナビスタみたいに見栄えがあまり良くなくても、走る馬は走るしね。いまだにわからんね。でも僕は、トモがプリッとしている馬がタイプです。

──成長過程で「トモがパンとしてきた」とか、よく言いますものね。やはり競走馬にとって重要なんですね。

小牧 そうやね。トモと心臓は、いわばエンジンやから。

──最近、騎乗されている馬のなかで、好みの馬はいますか?

小牧 2歳馬ではないけど、この前勝ったシゲルカリン(6月17日・阪神2R)。レースのあと、写真撮りますやん。そのときに馬主の森中さんが隣にいらして、思わず「この馬、いい馬ですね!」って言いましたわ。トモがプリンッとしててね。いい体してるなぁって。

──橋口厩舎には、まだそれほど2歳馬は入ってないようですが、入厩している馬については騎乗されましたか?

小牧 今日初めて、スリープレスナイトの仔に跨ったわ。動き自体は、まだ速いところをやってないからあれやけど、いい馬体してるね。赤木くんがずっと乗っていて、『すごくいい』って言ってるらしいから、どんな風に成長してくれるか楽しみやね。

──ほかにもツィンクルブライドの仔やローズ一族など、今年も橋口厩舎ゆかりの血統馬がスタンバイしていますよね。

小牧 そうですね、みんな順調に行ってくれれば。走ってもらいたいねぇ。今年の春はね、もうひとつ順調さを欠いて、結果を出せなかった馬もいるから。

──2歳戦に限らず、橋口厩舎と小牧さんのコンビはすごく注目度が高くて、毎月のように、橋口厩舎、あるいは橋口先生に関する質問が寄せられています。今回も「改めて橋口先生に対する思いを教えてください」というユーザーの声が届いています。

小牧 僕はもう、先生に付いていくだけやから。先生はつねに試行錯誤して、いろんな挑戦をしているからね。橋口厩舎に関しては、勝たなアカンっていう気持ちが大きい。逆に、緊張しすぎて空回りしてしまうこともあるけど。

──その緊張というのは、曾和先生に通じるものですね。

小牧 そうですね。たくさん勝たせてもらっているのはもちろん、やっぱり大事にしてもらってるんでね。

──橋口厩舎の存在は、小牧さんの騎手人生を変えたといっても過言ではない。

小牧 そうですね。拾ってもらったんでね。地方で3000勝しとったジョッキーが、中央に移籍して思ったように勝てんようになって。最初は焦りっていうか、このままじゃアカンわ…って、本当に思ったもんね。けっこう落ち込んだわ。そんなときに、声を掛けてくれたのが橋口先生やから。恩返しせな、っていう気持ちが強いですね。

【次回の太論は?】
ユーザーからの鐙の長さに関する質問を皮切りに、話は小牧騎手の騎乗スタイルに…。独特の騎乗フォームを分析するなかで、これまで語られることがなかった小牧騎手の“こだわり”が明らかに!
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太論 / 小牧太
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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