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ラヴァリーの強襲

  • 2003年03月17日(月) 16時16分
 先々週末、ようやく「平成15年度南関東重賞日程」が発表され、いくつか変更点があった。いうまでもなくこの状況下、前向きな材料はほぼ皆無で、2つの重賞が休止、廃止となり、現存重賞も大井記念、東京記念、さらに東京ダービーなど、おおむね長距離戦をターゲットにその賞金が減額された。唯一明るい材料といえば、「かしわ記念=船橋1600m」の南関グレードがG2→G1と昇格したこと。そして細かいことだが、従来「ハンデ」で行われてきた5重賞が、今回「別定」と改正された。もともと南関は妙にハンデ重賞が多く、そのハンデ自体、はなはだ便宜的(格付けで上下するだけ)なものだったから、これはひとまず前進といえるだろう。ただでさえ層の薄いオープン馬、あえて使おうという一流どころに極量を課せば、なおさら顔ぶれとレースの中身が貧弱になる。

フロンティアスプリント盃出走予定馬
(3月19日大井、サラ3歳以上、別定、南関東G3、1190m)

◎ラヴァリーフリッグ (石崎隆)
○カコ         (今野)
▲ハタノアドニス   (内田博)
△ナイスキングオー
△コアレスフィールド (張田)
△メイショウアーム  (早田秀)
△キングリファール  (佐藤隆)

 この「フロンティア…」は今年限りで廃止が決まった。わずか4年の歴史ながら、キャニオンロマン、オリオンザサンクス、サプライズパワー、フレアリングマズルとスターホースが勝ち、前後の「東京シティ盃」「マイルグランプリ」とともに、主催者のイメージする“大井・春の短距離ロード”、その役割りは十分に果たしていた。とりわけ昨年“三冠”を達成したフレアリングマズルは文字通りフロンティア。ただ南関東馬限定ではやはりレベルに限界があり、その観点からはここで廃止もやむをえまい。代わりに8月「アフター5スター賞」が、1790m→1190mに変更、翌月の統一G「東京盃」トライアルと位置づけられた。いずれにせよ今秋は、「JBC・スプリント」が再び大井で開催される。そこへ向けて整備の意味が大きいだろう。

 ハタノアドニスの勝った「東京シティ盃」をどうみるか。個人的には枠順と展開、さらに先行有利の馬場が明暗を分けたとして、今回違う評価をする。◎ラヴァリーフリッグ。大外枠で前半モタつき、競馬をしたのは直線だけ。ゴール前の脚色からは、抱いていたイメージ通り、短〜マイル向きの差し馬と改めて納得した。昨シーズン、牝馬クラシックロードをタフに走り抜き、桜花賞はじめ4重賞を勝ってきた。今年のレベルなら純粋なスプリンター適性は問われないだろう。TCK女王盃回避(捻挫)も、ある意味で予定の行動、少なくとも結果オーライになるとみた。

 カコは久々ながら短距離適性が色濃くみえ、しかも大井実績がある。コアレスフィールドは実績から走られて納得だが、人気になって買いたくない典型とでもいうべき馬。ひと息入れたキングリファールも本質的に逃げ一手。案外面白いのは、JDダービー2着、腕を上げた鞍上が無欲で乗るメイショウアームか。格下から挑戦のナイスキングオーも前走の時計からは特注。

       ☆     ☆     ☆

しらさぎ賞
(3月12日浦和、サラ3歳、別定、南関東G3、1600m良)

○(1)ウツミジョーダン  (55・佐藤隆) 1分43秒2
△(2)ティーケートロット (54・酒井)  1
△(3)パームスプリング  (54・今野)  1/2
◎(4)ウィンブロー    (54・石崎隆) 11/2
△(5)キタノアロー    (54・山田信) 2
………………………………………………………………
△(6)グリンゼファー   (56・内田博)
▲(7)ペイトリオティック (54・張田)

単340円 馬複3430円
馬単4830円 3連複33600円 3連単123590円

 ウツミジョーダンは道中3番手で手応えよし。ウィンブローが迫ってきた四角手前で思い切りよく外に出し、直線鋭く伸びきった。同日古馬B3が42秒台だからレベルとすると微妙だが、ともあれ今日は完勝だった。「先頭に立つとソラを使うのでぎりぎりまで追い出しを我慢した。瞬発力がありますね」と佐藤隆騎手。いつもながら、彼の持つ勝負勘、追っての技術は素晴らしい。タイプは安藤勝己に似ているだろうか。石崎隆、的場文、内田博、…仮にJRA参戦なら互角以上の期待を賭けたい。ジョーダン自身はこの勝利でクラシック出走権確定だが、陣営によると「左回りがいいようなのでしばらく白紙」。切れ味は認めても、現状パワーひと息のきらいがある。

 終わってみればトロットサンダー産駒のワンツーで、ティーケートロットが後方から直線鋭く差し込み波乱となった。馬体、走法だけの比較ならむしろ勝ち馬を凌ぐ柔軟さ。こちらも今後は未定だが、レースぶりに幅が出た今、臆せず大井クラシックロードへ切り込んでほしい。あえておさらいすれば、トロットサンダーは浦和出身、圧倒的な瞬発力で「マイルCS」「安田記念」、JRA・G1を2勝した馬。種牡馬としてひと息不遇と聞くが、現実に産駒はそれなりにいい味を出している。その父・皐月賞馬ダイナコスモス。本来多彩な可能性を秘めるはずだ。◎ウィンブローは、道中ずっと頭が高く口を割りながらの追走。直線も自ら狭いところに入った印象で、不利うんぬんというより馬が幼い。グリンゼファーは、どうやらここで終了の感触。いったん充電させ馬体が増えてこないと、成長株相手に厳しいだろう。ペイトリオティックは、スローの逃げを打ったものの並ばれてバッタリきた。良血ながら逆にひ弱いイメージが拭えない。3着パームスプリングは鞍上が強気の先行。ゴール際までしぶとく粘った。さらにレベルが上がって微妙だが、前々走はJRA交流勝ち。父スキャン、馬鹿にできない勢いがある。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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