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ホッカイドウ競馬能検スタート

  • 2003年03月17日(月) 16時37分
 3月12日から、門別競馬場で2歳馬の能力検査が始まった。今年度の道営ホッカイドウ競馬の開幕は4月9日。10月30日まで15開催84日間を予定している。

 現在の入厩馬は、全部で922頭(内アラブ22頭)、その内今年度デビュー予定の2歳馬は607頭(アラブ18頭)に達する。初日の12日には、計25頭の2歳馬がレース形式でゲートインからスタートし、800メートルの内走路を走り抜いた。基準タイムはサラブレッドが59秒、アラブが60秒以内と設定されている。初日は仕上がりの早い組が揃ったせいか、全馬が晴れて合格となった。

 初日の一番時計は、タイキシャーロック産駒のモリデンキング(新冠・森田芳男牧場)が出した50秒3。開幕直後から組まれるJRA認定競走を照準に入れた本番さながらの能力検定が今後も続けられる。

 さて、ホッカイドウ競馬は、累積赤字がついに170億円台にまで膨らみ、運営改善5ヶ年計画の3年目となる今年こそが「正念場」となる。折りからの北海道知事選挙には現在7人が立候補の名乗りを上げておりこのホッカイドウ競馬の去就も知事の政治的判断に委ねられる可能性が高い。すでに、ここ馬産地・日高からは前道議会議長の酒井芳秀氏が出馬の意思を表明し、早くも「私が当選したら道営競馬は絶対に廃止しない」と明言している。だが、他の6人の候補は、それぞれの立場や政策があり、決して酒井氏のように「道営競馬擁護論」の人ばかりではない。むしろ、全国的にも突出して赤字額の多い道営競馬を、財政論の面から切り捨てる政策を打ち出す候補もいるだろう。中津、新潟、三条、益田、市営宇都宮、足利と、ここ2年間に廃止の憂き目を見た競馬場の存在が視野に入ってくれば、果してどこまで「馬産地競馬」として、守り切れるか、予断を許さぬ状況である。

 今年度のホッカイドウ競馬の取り組みで注目されるのは、何と言っても「外厩制導入」だろう。馬場や発馬機、放牧場などの諸設備を持つ民間育成牧場を条件付きで「競馬場内厩舎に準ずる施設」として認定し、そこで調教管理された競走馬の当日輸送を認め、出走を許可する、というもの。ただし、この民間施設の認定は、道営所属調教師に限って申請できること、そして申請者が所有もしくは借り上げて、継続的に利用できる施設であること、及び、認定民間厩舎の有効期限が1年間であること、など、実質的に道営所属調教師の厩舎経営に与える影響を最小限に止めている形である。

 国内初のこの「外厩制導入」に関しては、馬主会と生産者が積極的に支持し、厩舎関係者は反対意見が多かったと聞く。生活(つまり収入)に直接跳ね返るこの制度は、調教師にとっては死活問題になりかねず、そのために初年度は、まず調教師の権限に全面的に配慮するところからのスタートとなるのである。

 いずれにせよ、この新制度のターゲットは、6月から始まるJRA北海道シリーズでの「特指レース」へ民間の育成牧場から当日輸送で出走させるところにある。従来の厩舎制度にどのくらいの一石を投じることができるか、注目したい。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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