フランスにおける競馬統括団体『FRANCE−GALOP』の会長職にあったジャン・ルク・ラガルデル氏が、3月14日(金曜日)、入院先のパリ・ラリボワジエール病院で、ウィルス性の敗血症のため死亡した。享年75歳だった。
ラガルデル氏は2週間前、同病院で股関節の修復手術を受け、一度は退院するまでの回復を見せたものの、再び容体が悪化して入院。最初の治療の際に感染したと見られる敗血症と診断され、帰らぬ人となった。
1952年に航空機部品製造会社「ダソルト社」のエンジニアとして社会人のキャリアをスタートさせたラガルデル氏。1962年にミサイル製造を社業とする「マトラ社」に引き抜かれて以降、社内でメキメキ頭角を現し、1977年にマトラ社の社長に就任。以後、自動車業界、金融業界にも進出し、いくつかのメディアも傘下に収めるなど、近年のフランスにおける実業界でも指折りの成功を収めるにいたった。
競馬の世界には、1965年に参画。3年後の1968年にノルマンディー地方に牧場を持って生産活動に乗り出し、凱旋門賞馬サガミックス、仏2000ギニー優勝馬リナミックスをはじめとしたG1馬を生産・所有。リーディングブリーダーの座に8回も輝くなど、ホースマンとしても比類なき活躍を見せた。
1995年5月、FRANCE−GALOP会長に就任。とかく個人主義に走りがちなフランスにおいて、業界をよく束ね、フランス競馬界の発展に貢献した。就任当時のラガルデル氏は67歳。FRANCE−GALOPの内規では定年が72歳と定められていたため、ラガルデル氏も1期4年で会長職から退く予定だったが、「余人をもって代えがたい」との理由で、FRANCE−GALOPは内規を変更。ラガルデル政権は2期めに突入していたのである。なおかつ、今年度末でその2期めが終了した後も、更に4年の続投が確実視されていたのであった。
それだけに、今後のフランス競馬界の行く末が案じられているのだ。新会長の選出までには様々な紆余曲折が避けられそうも無く、誰が新たなリーダーになるにしても、困難な舵取りを迫られることになりそうだ。