このG2が少頭数ではなく、こういう多頭数で行われるのは、いったい何年ぶりかというと、83年シンブラウンの年の14頭、遠く74年クリオンワードの年の17頭、そして創設された1953年、コウランという馬が勝った年の16頭立てに続く多頭数になる。
阪神大賞典といえば、もう決まって少頭数で有力馬が限られるから、JRA重賞の中では最も堅いレースとして知られる。連勝100円台、200円台などという悲惨な結果も珍しくなく、最近10年のうち7回まで、1、2番人気で決まっている。
しかし、多頭数で行われた年は、前出の3回を筆頭に、実はさすがの阪神大賞典も順当に収まったことがない。
今春、天皇賞にはなにが出走し、どの馬が人気になるかというと、ほとんどが今回の人気馬と、あとは次週の日経賞2500m組になるが、そうそう3200mのG1で信用できそうな馬はいない。また、ここもかなり人気は片寄っているが、パターンからすると、阪神大賞典の多頭数は荒れて不思議はない。
波乱を考えるなら、菊花賞2着のファストタテヤマはちょっと怖い。この馬、時には人気になったりするが、もともとが自分で動くと止まる危ない差し馬。人気になって来たことがない馬ではあるが、過去6回の連対は、5、3、8、6、6、16番人気のとき。とても届きそうもなくダメそうなときにだけ、菊花賞のように突っ込んでくる、いかにも安田康騎手向きの馬なのである。今回、人気は(たぶん)ない。人気で買う馬ではないが、来そうもないとみんなが考えるときは、怖い。
ダイタクバートラムに乗る武豊は、このレースで1、2番人気馬に乗った時[4-4-0-1]。まず崩れないが、順当とされる阪神大賞典、ユタカとアンカツが飛ぶと大波乱がありえる。