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ステイヤーの真価

  • 2003年03月24日(月) 15時07分
ダイオライト記念(船橋、3月26日、サラ4歳以上、定量、統一G2、2400m)

◎リージェントブラフ  (55・吉田豊)
○カネツフルーヴ    (55・松永幹)
▲ネームヴァリュー   (54・佐藤隆)
△ベルモントアクター  (55・石崎隆)
△ゴールドマイニング  (55・今野)

 ゴールドアリュール、エアピエールが回避、直前にハギノハイグレイドも自重して何とも寂しい顔ぶれになった。ドバイ遠征の保険に登録したゴールドアリュールはともかく、現在「長距離路線」が嫌われている、チャンピオンロードの主流から遠ざかった、趨勢は止められないということか。ともあれこうなると「馬単」「3連単」の存在はありがたい。絞って的中なら冥利に尽きる。

 良馬場の2400m、このコンセプトならリージェントブラフだ。一昨年豪快な追い込みでインテリパワーを一蹴、以後川崎記念、帝王賞、東京大賞典、パワー優先の中〜長距離では常に期待通りの競馬をしてきた。昨年は水の浮く不良馬場。トーシンブリザードとともに沈没したもの。7歳馬ながらパークリージェント×グッドリー、兄ラシアンゴールドというきわめて重厚なダート血統。お膳立ての整ったここで再び爆発をイメージした。

 カネツフルーヴは今季川崎記念を渾身の逃げで制し、続くフェブラリーSも強敵相手の4着とリズムがいい。ただ母ロジータと較べるといかにも気性面で甘く、条件がそろいすぎたことにむしろ不安がないでもない。松永幹騎手がどう乗るか。暴走すると終い1Fに破綻。

 ネームヴァリューは前走エンプレス杯3着で、ハリ詰めていたものが崩れないかどうか。追い切り豪快、陣営のコメントは相変わらず力強いが、やはりこのパターンは過信できない。ベルモントアクターは不敗神話から解放され、もう一段ステップアップをめざすが、前走金盃8着、年明け捻挫の影響か正直ふがいないレースだった。ゴールドマイニングは昨年3着、続く大井記念を制しステイヤーの本領をみせたが、今回7か月のブランク。元よりズブいだけに追走が厳しいだろう。

       ☆     ☆     ☆

 19日大井「フロンティアスプリント盃」。ハタノアドニスは目を見張る強さだった。好スタートから問答無用の逃げ。終わってみればスプリンターの面目躍如としか言葉がない。4コーナー、直後1馬身に迫り、さあこれからというラヴァリーフリッグが、逆にグイグイ引き離される。最後は独走に近い3馬身差。1190mは暫定距離でレコードにならないが(参考タイムとして記録)、現実に、昨秋東京盃・アインアインをコンマ1凌ぐ1分10秒6。しかも鞍上はフィニッシュでポーズを決める余裕があった。

フロンティアスプリント盃(サラ3歳上、別定、南関東G3、1190m不良)

○(1)ハタノアドニス    (57・内田博) 1分10秒6
◎(2)ラヴァリーフリッグ  (55・石崎隆) 3
△(3)ダイワボンバー    (55・戸崎)  5
 (4)ナイキアフリート   (55・鈴木啓) 鼻
△(5)ロイヤルエンデバー  (55・森下)  1.1/2
…………………………………………………………
▲(9)コアレスフィールド  (57・張田)
△(14)メイショウアーム   (55・早田)

単180円 馬複230円 馬単400円
3連複1430円 3連単3950円

 目を見張る強さと書いたが、同馬の評価を“半信半疑”としていた記者個人には、むしろ目を疑う強さ…の方が正直だろう。テンから別格のダッシュ力。内ロイヤルエンデバー、キングセイバー、外コアレスフィールド、イエローパワー、同型をまるで問題にしなかった。「スタートだけ気合をつけてあとは馬まかせ。後ろからくる馬(ラヴァリー)を待ってから追い出した」と内田博騎手。もちろんジョッキーの勢いも特筆だが、今日のところは馬自身の快走をほめるべき。ハタノアドニス。ごく素直に戦歴を振り返れば右ダート[5-1-1-2]。あのサウスヴィグラスを完封した記録もある。前走東京シティ盃と見比べると、距離は短ければ短いほどよさそうだ。同厩舎コアレスハンターとの兼ね合いで、4月27日「マイルグランプリ」はスキップ、6月4日船橋「かしわ記念」が次の目標となる模様。この日7キロ増、およそ7歳馬と思えない馬体のハリなど、さすがに川島正行と並ぶ高橋三郎スタッフの手腕だが、やはりハードルはもう一段高くなる。

 ラヴァリーフリッグは結果的にスプリンターではなかった。絶好の1番枠、道中相手をぴたり射程圏に入れて完敗だから、今回記者の読みが的外れ。ただ馬自身には地力がある。できれば今季は牡馬マイル路線を進み、その可能性を探ってほしい。ダイワボンバーは若手の戸崎J鞍上で健闘できたことが大きな収穫。父サクラチトセオー、2歳時から好馬体と瞬発力は光っていた。コアレスフィールドは9歳馬で、そろそろ忙しい競馬が苦しくなったか。メイショウアームはどうやらラチを頼って走る傾向。出遅れて外々を回っては持ち味が出ない。

       ☆     ☆     ☆

 17日、3歳馬の準重賞「雲取賞」が行われた。今年は次開催にオープン級の適鞍がなく、ここがクラシック最終TRという位置付け。しかし羽田盃は5月14日で2か月後。注目のブラックミラージュは、レース間隔を考慮して4月16日川崎「クラウンカップ」で始動する。京浜盃を勝ったナイキアディライトは羽田盃直行。それでも結果、最終予選らしいレースにはなった。

2003雲取賞(サラ3歳、別定、1590m不良)

○(1)シャコーオープン   (55・早田)  1分40秒7
△(2)カセギガシラ     (56・的場文) 1/2
◎(3)ベルモントソレイユ  (57・内田博) 2

 シャコーオープンは父ジェイドロバリー。母系にミヤシロブルボン、キングハイセイコーらが並ぶ典型的な馬力型。この日は向正面から一気に仕掛けて逃げるカセギガシラと並び、直線息の長い末脚で競り勝った。いささか強引な競馬だが、鞍上早田騎手はかつてダイコウガルダン、オリオンザサンクスら癖馬を乗りこなし、このタイプとぴたり波長が合っている。いずれにせよシャコーオープンのパワーは特筆もの。羽田盃1800m。東京ダービー2000m。今後の期待はきわめて大きい。カセギガシラはマイペースで逃げただけに、距離延長となると情勢が厳しくなった。ベルモントソレイユは今回外枠と57キロの不利もあったか。もまれる展開で最後バテず3着ならそれなりの前進といえる。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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