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3連単・日本新記録の誕生

  • 2012年08月11日(土) 12時00分
 4日(土)の新潟競馬第5レースで、3連単2983万2950円の超特大万馬券が飛び出しました。これまでの記録は、2010年4月6日の大井競馬第7レースで出た2488万720円。これを500万ほど上回りました。JRAだけだなく、地方競馬や競輪、競艇、オートレースをひっくるめて、3連単では史上最高配当。日本新記録の誕生です。

 ただ今回は、1着8番、2、3着が6番と14番の同着で、8→6→14番の的中が1票、8→14→6番の的中が2票あり、1票だけ売れていたほうが史上最高配当になった、というところが“ミソ”。2、3着が同着にならず、8→6→14番の順で決着していたら、これを当てた人は5966万5980円もの払戻金を手にできていたわけです。

 この馬券を買っていた人の気持ち、聞いてみたくなりませんか?もちろん、なんでそういう馬券を買っていたのかも気になりますが、2着が同着になったせいで、3000万円も“取り分”が少なくなっちゃったんですから。

「馬複より枠複のほうがついた」なんていうこと、地方競馬ではけっこうありますよね。そんなときに馬複を当てちゃうと、なんだかずいぶん損をした気分になるのは、私だけでしょうか?「それと同じ」とは言えませんが、同着で2通りの的中票が出たのに、そのうちの一方しか持っていなかった、っていうときも、ちょっとガッカリしちゃいます。今回の場合、その“ガッカリ度”がハンパじゃないような気がして…。

「3000万円近い馬券が当たったのにガッカリなんてとんでもない。これで十分ですよ」。今回の馬券を当てた人がそう言ったら、カッコよすぎますね。「スリット半分でいいから“差”がついてほしかった」と思っているのではないでしょうか。

 でも、私の回りには、「同着で救われたのかも。スリット半分でも“逆の差”がついていたらハズレだったんだから」と、実に冷静に分析していた人もいました。それもそうなんです。8→6→14番は中山競馬場で、8→14→6番はウインズ渋谷と電話投票で購入されていました。中山で8→6→14番を買った人が電話投票で8→14→6番を買っていた人と同一人物でなければ(たぶん、同一人物ではない可能性のほうが高いでしょう)、8→6→14番を買っていた人は、2着が逆だったら“史上最高の悔しい思い”をしていた、とも考えられます。

 そして、もし今回、8→6→14番だけが的中となって5966万5980円の配当が出ていたら、次にこの記録を更新することが相当難しくなっていたでしょうね。今回は80万8482票中の1票。そこから想定すると、それ以上の売り上げがあるレースで的中1票だけ、というくらいの状況にならなければ、6000万近くの記録は塗り替えられないわけです。

 とりあえず、次に日本新記録の高配当3連単を当てる人は、私ではないと思います。

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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