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この夏、池江厩舎とのコンビで大暴れ“僕はやればできる子”

  • 2012年08月21日(火) 18時00分
今年の夏は、池江厩舎とのコンビで、馬券を賑わせている小牧騎手。今回は、ダノンウィスラー、ダノンバラード、タイキプレミアムでの勝利を振り返りながら、それぞれのレースについて、ジョッキーの心理を語ってくれました。

■人間側が欲を出したらアカンねん!
──ファンの間でもすでに話題になっていますが、この夏は池江厩舎とのコンビがすごく増えましたよね。

小牧 うん、そうそう。池江厩舎の馬に限らず、人気の馬によう乗せてもらってますわ。池江厩舎の馬は、乗りやすくて背中がいい馬が多いから、自信を持って乗れるね。

この夏は池江厩舎の馬で大活躍

この夏は池江厩舎の馬で大活躍

──池江厩舎の騎乗数が増えたのは、なにかきっかけがあったのですか? やはり、ワールドエースのきさらぎ賞?

小牧 やっぱり、そういう馬できっちり勝ってきてるから、先生も見てくれてたんじゃないですか。小倉もね、池江厩舎の馬がずっと入っているみたいやし。

──そういった騎乗依頼は、エージェントさんを通じて?

小牧 そうです。先生と直接話したりはしないね。ただ、調教は毎週乗るようにしてますわ。

──橋口厩舎はもちろんですけど、そういった厩舎が増えるのは心強いですね。

小牧 そうやね。そのぶん、取りこぼされへんわね。力のある馬が多いし。

──そうはいっても、阪神で勝ったダノンウィスラーは、たしか9番人気でしたよね。

小牧 ああ、あれはすごかった。すごい脚やったね。ああいうレースがあったから、乗せてくれるようになったのかもね。

──あのレースもひとつのきっかけだったのかな…と、私も思いました。

小牧 先生も気持ちが良かったらしいですよ。あんなに切れる脚がある馬とは知らなかったっておっしゃってたから。

──馬の脚もたしかにすごかったですけど、小牧さんの騎乗も実に鮮やかでした。なにしろ、文字通り、馬群を縫ってきましたからね。

小牧 それは、馬の手応えがいいからですよ。手応えが良ければ、どこからでも行けるわけやから。やっぱり、強い馬に乗せてもらってるから勝てるわけで、ジョッキーは強い馬に乗らないと勝たれへん。それに、僕はやればできる子やからね(笑)。

──久々に出ましたね、“やればできる子”(笑)。小牧さんご自身も気持ちよかったのではないですか?

小牧 気持ち良かったです。最後、閉まりそうになったときは、さすがに声を出しましたわ。テン乗りだったんやけど、調教で乗って、ちょっと引っ掛かる馬だなと思って、自分なりにイメージしながら乗ったんですけどね。うまくハマりました、あれは。流れが速くなったからね。勝つときはそんなもんですよ。でも、キレる馬で勝つのは気持ちがいいね。

ダノンバラードで関ヶ原Sを快勝

ダノンバラードで関ヶ原Sを快勝

──そのあとのダノンバラードも、強い勝ち方でした。

小牧 あれもうまいこと乗りましたね。でも、あの馬は切れないです。だから、重賞でも惜敗が多いのかな…と思いましたわ。次も人気になるでしょうね。

──その後のタイキプレミアムもまた、ある意味、衝撃的な勝ち方というか。

小牧 あれも良かったね。でも僕、4コーナーでちょっと外に…。あれがねぇ。これじゃアカンな思いました。審議になって過怠金もらってね。ああいうことをしてたらアカンなと思いましたわ。

──馬をコントロールできなかったことに対して?

小牧 いや、あのね、馬がどうこうではなく、あれは“勝ちたい!”っていう欲が人間側に出てしまった結果やねん。それを出したらアカンねん。そういう欲を出すと、騎乗停止になったり、ケガをしたり…。わかってるんやけどね。

──では、あの騎乗は、どういった意図で?

小牧 外に寄せに行こうと思ってしまったんですわ。アッ! と思って、すぐに戻ったんやけど。まぁ欲を出したらアカンっていうことやね。でも、よう勝ってくれましたね。

──何度も外の馬に前に出られながら、それでも競り勝ったのは本当にすごいと思いました。

小牧 最後は外の馬も止まってた。あとはやっぱり、力がある馬やからできたことやね。でもホント、勝ってよかったですわ。

──以前、上村さんと初めて会ったのは、池江泰寿厩舎の初勝利のお祝いの場だったとおっしゃってましたよね。

小牧 そうそう。池江泰寿厩舎の初勝利って僕やねん。そこで上村くんと初めて会ってね。

──では、お付き合い自体は相当古いんですね。

小牧 お父さん(池江泰郎元調教師)の時代から乗せてもらってたからね。移籍して初めてのダービー、それから有馬記念も、池江厩舎のグレートジャーニーで出走させてもらったし。

──そうでしたね。池江泰寿師に限らず、最近は年下の調教師さんが増えましたね。

小牧 増えたねぇ(笑)。

──それに関して、ユーザーから「年下の調教師との仕事は、やりずらくないですか?」という質問がきています。

小牧 いや、全然やりずらくないよ。割り切ってるというか、もう、調教師と騎手という全然違う立場で仕事をしてるんでね。それ以前に、息子みたいなジョッキーたちと一緒に仕事してるやん。それですら、彼らと同じ立場、同じ気持ちでやっているつもりなんでね。あくまで僕はやけど、年齢はほとんど気にせんね。まぁ、僕はアホやからそう思えるんかな(笑)。

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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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