スマートフォン版へ

7日に開幕した「園田金曜ナイター」の課題

  • 2012年09月08日(土) 12時00分
 7日に開幕した「園田金曜ナイター(通称“その金”)」。私はテレビ観戦でした。当日の競馬場の様子に関しては、現地に行かれた方のレポートにお任せするとして、ここでは初日の開催成績から浮かび上がった課題について書かせていただきます。

 まずは入場人員。これが6700人にとどまりました。昼開催の5日は3000人強、6日は2600人余り。それに比べると倍以上の盛況と言えます。しかし、園田の場内実況を担当している竹之上次男アナウンサーは、某ブログに「競馬組合の予測は10000人」と書いていましたから、残念ながら大幅な見込み違いとなってしまいました。

 なぜ見込みが外れたのか。おそらく様々な理由が考えられるでしょう。ただ、1つには、園田が抱える根本的な問題があると思います。それは、東スポの私のコラムにも書いたのですが、最寄り駅との往復にバスを使わなければならない、ということです。阪神、京都の競馬場をはじめ、住之江、尼崎の競艇場や甲子園、京セラドーム、長居競技場はすべて“駅前の施設”。関西の人たちはこれに慣れています。その点からすると園田は“異端児”。アクセスの問題は、けっこう大きいような気がしてなりません。

 そして肝心の馬券売上げは1億8825万700円。今年4〜6月の1日平均1億8833万6000円にわずかながら届きませんでした。4〜6月は“11レース立て”の日がほとんどでしたが、7日は“10レース立て”。とはいうものの、メインには重賞競走を組んでいたわけですから、主催者からすると「もうちょっと売れてほしかった」はずです。

 場内の売上げは8115万2300円。5日は4692万6700円、6日は4343万6900円だったので、入場人員のように倍以上のプラスにはなりませんでした。また、5日、6日ともに4400万円余り(総売上の4分の1ほど)あったウインズ難波と神戸の売上げは、“その金”当日には両ウインズの場外発売が行われないため“ほぼゼロ”(摂津杯の前日=6日発売分が7日売上げとして計上)に。そして、5日に1100万円余り、6日に1200万円余りあった姫路競馬場での売上げも、ナイター開催中の同競馬場では夕方4時半で発売を終えてしまうため、約317万円に激減してしまいました。

 7日は川崎競馬場とジョイホース横浜、SPAT4でも園田の全レースが発売され、あわせて1300万円余りを売り上げました。インターネットや電話投票の売上げも増加。このへんは“ナイター効果”と言えそうですが、難波、神戸、姫路のマイナス分(ざっと計算して5000万円ほど)をカバーするところまでには達していません。

 こうした数字から“その金”の課題を挙げるとすれば、「本場にファンを呼び込み、馬券を買ってもらうこと」に尽きると思います。「ナイターさえやればすべてOK」というわけではなさそうです。

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング