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道営ホッカイドウ競馬開幕

  • 2003年04月07日(月) 14時32分
 いよいよ今年度の道営ホッカイドウ競馬が4月9日(水)より開幕する。スタートは門別競馬場。2週にわたり計4日間の開催後、舞台を札幌競馬場に移し、今月末より新馬券の「3連単」と「3連複」「馬単」が登場する。

 毎年、「今年こそ正念場」という台詞を繰り返してきたホッカイドウ競馬だが、いよいよ本当に今年こそ間違いなく正念場である。累積赤字も170億円に達し、おそらくこれ以上はいくら馬産地競馬とはいえ道民が許容してくれまい。

 だが、開幕に向けて、いかなる売り上げ増大作戦を展開できているかというと、これまたかなり「お寒い」状況でもある。地理的なハンディキャップを背負う門別競馬場に何とか札幌周辺に住むファンを呼び込もうという意図は理解できる。そのために、今年も無料バスを運行する計画のようだが、事前に予約が必要であり、その受付も土日を除く午前9時から午後5時まで、と著しく限定されている。連絡先は道庁の出先機関である日高支庁。つまり、お役所仕事なのだ。しかも、札幌に住むファンがなぜ、160キロも離れた浦河に電話をかけなければならないのか。道営なのだから、道庁が動いたらどうか、と腹立たしく感じる。

 また9日の開幕日には、「オープニングプレゼント」と称して、門別競馬場及び、全道各地の場外発売所で先着計4000名に「オリジナル・マークカード・ホルダー」を配布するという。どんな代物なのか、まだ見ていないので何とも言いようがないのだが、少なくとも、「これは貰って良かった」と思える品物を配布しなければ、意味がない。そして、各地の地方競馬が過去に実施してきたプレゼント配布作戦が、いったいどれほどのファン層や売り上げ拡大に貢献してきたのかを考えたら、その効果のほどには、やや疑問が残る。言葉が過ぎるかも知れないが、「手垢にまみれた手法」なのである。

 同様に、北海道競馬運営改善対策室の主催による、クイズや抽選会、豚汁や石狩鍋のサービスなども開幕日より予定されているらしいが、こちらも、馬券を買わずに昼飯だけ食い逃げするような不届き者がいないことを祈るばかりだ。

 昨年の開幕日は、折りからの好天にも恵まれて、大変な人出であった。多くの友人知人の顔を門別競馬場で見かけた。だが、残念ながらその中には少なからず「動員」のかけられた人々も混じっていた。最初のうちこそ売り上げは順調に推移していたものの、やがて失速し、秋には目標額を下回ることが増えてついに昨年度は年間100億円の大台を割り込む結果に終った。「サポータークラブ」「スタリオンシリーズ」など、他の地方競馬では実施していない独自のメニューを持つホッカイドウ競馬だが、とりあえずファンのレベルで考えると、目玉商品となるのは新種の馬券だろうか。

 3連複と3連単。それぞれ組み合わせは膨大なものになる。加えて馬単。一日どうかすると一億円を切る売り上げの競馬場で、これだけの種類の馬券発売を実施すると、例えば午前のあまり売れないレースなどでは、人気薄の組み合わせになった場合、馬券の的中者が誰もいないなどということが起こってしまうのではないか、とやや心配である。もしそうなれば、これほど脱力感を味わう結果はないのだから…。

 ともあれ、今月下旬、待望の場外馬券売り場がこの浦河にもオープンするそうである。私も今年はせっせと売り上げに協力しなければ、と考えている。「生産者が自ら馬券を買って支える競馬とはいったい何なんか」と呟きながら。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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