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第63回桜花賞

  • 2003年04月14日(月) 11時22分
 三歳馬クラシック第一弾「桜花賞」はスティルインラブが好位から抜け出し優勝、幸騎手は初めてのG1ジョッキーとなり、またしてもサンデーサイレンス産駒の強さを見せつけられたレースだった。出遅れがなければ、アドマイヤグルーヴがおそらく勝っていたのではないか、と思わせる展開で、不利な位置取りからよくぞ盛り返したものと思う。

 レース回顧や分析などは、専門家に任せるとして、私が密かに注目していたのは、実はホッカイドウ競馬出身の2頭である。モンパルナスとヘイセイピカイチ。昨年のアローキャリー優勝のシーンなど思い出しながら、パドックから注目して見ていた。

 モンパルナスは、父サンダーガルチ、母エックスワイスキー。デビューは早く、昨年5月23日の札幌で初出走している。緒戦は4着。フレッシュチャレンジと名づけられたこの認定競走を勝ったのは、北海道2歳優駿(交流重賞)の優勝馬ブラックミラージュだった。その一週間後、2戦目の認定競走を勝ち上がり、この時点で中央入りの権利を獲得。道営在籍時の通算成績は7戦2勝である。

 もう一頭のヘイセイピカイチは、父オペラハウス、母チャリタブル(リファール)で、こちらはデビューが更に早く、何と4月24日の札幌。この馬も緒戦は2着と惜敗したものの、2戦目で無事に認定競走を勝ち上がった。道営での通算成績は10戦2勝。前述のブラックミラージュが勝った北海道2歳優駿にも出走(8着)し、シーズン最後まで北海道で走り続けている。

 この2頭に共通していることは、認定競走こそダートだが、共に9月の中央競馬札幌開催で、芝コースのいわゆる特指レースに遠征し、勝っている点だ。中でもモンパルナスなどは札幌芝1200mで後続を9馬身も引き離す圧勝劇を演じたという。おそらくここでそれぞれの芝適性が見極められたのであろうことは疑いなく、その後の中央転厩を大きく後押しすることになったのだろう。

 双方の中央転厩後の成績は割愛するが、道営時の戦績を含め、それぞれ出走回数はかなり多い。早いデビューに加え、その後の確実な成長力と耐久性のようなものが備わっていたということである。

 桜花賞本番での成績は、周知の通り、モンパルナスが掲示板に載り5着、ヘイセイピカイチは7着と、一応の結果を出したと思う。何より、今年も道営出身馬のレベルが決して低くないことを実証したと言っていい。

 さて、その道営ホッカイドウ競馬は先週紹介したように、門別開催からスタートした。初日は時折雨の降るあいにくの天気で、気温も低く、そのせいなのか、売り上げは伸び悩み、8千万円台に終った。年間700頭もの2歳馬がデビューするホッカイドウ競馬は、文字通り光る原石の宝庫でもある。しかし、残念ながら、そんな2歳馬のレベルの高さとは裏腹に、いかんせん馬券が売れない。牡馬ではタカラシャーディーが3月29日の毎日杯を制し、中央での成績を3戦2勝として注目を集めたばかり。いわば、こんな逸材がゴロゴロ転がっているのがホッカイドウ競馬なのだが、それが売り上げに直結しないことは何とも残念でならない。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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