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思わぬ伏兵の台頭もあるか!?/毎日王冠

  • 2012年10月03日(水) 18時00分
■毎日王冠(G2・フルゲート18頭/登録20頭)
【コース基本情報】東京芝1800m Aコース使用
・コース回収率
 [低め] 単勝64%・複勝67% 10番人気以下馬はわずか4勝

・馬連万馬券出現率
 [激低] 5.0%(平均値▼7.0% 馬連平均配当4221円)

・枠番別連対率(16頭立て以上)
 [平均的] 内枠11.3%・中枠12.5%・外枠11.2%

・脚質別信頼度
 先行>差し>逃げ>追込 能力次第でどの脚質でも上位に食い込める

・推定ラップ&タイム
 [底力] 35.6-35.5-34.4=1.45.5 序盤〜中盤ミドルで上がり速い底力勝負

 コースデータを見て驚かされるのが、東京芝1800mにおける馬連万馬券出現率の異常なまでの低さである。全コースを対象とした平均値(12.0%)に対して、なんと7%も低い5.0%。当然ながら馬連平均配当は4221円と非常に低く、単勝10番人気以下馬の成績もトータル勝率0.4%、複勝率2.8%という超低水準。とにかく、堅く決着する傾向の強いコースなのである。

 その要因となっているのが、枠番や展開などに左右されないという、当コースのクセのなさ。枠番別に成績を比較しても差はほとんど見られず、脚質による有利・不利もまったくといっていいほど目立っていない。まさに「展開いらず」といった内容であり、地力上位馬がその能力をキッチリ発揮できる王道コースだといえる。

【レース基本情報】毎日王冠(G2) 東京過去9回
・レース平均配当
 単勝1419円 馬連4699円 3連複43623円

・1番人気馬成績
 [2-2-1-4] 連対率44.4%・複勝率55.6%

・3番人気以内馬成績
 [4-5-3-15] 連対率33.3%・複勝率44.4%

・10番人気以下馬成績
 [0-0-3-33] 連対率0%・複勝率8.3%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 11.1% [先行] 29.6% [差し] 40.7% [追込] 18.5%

・性別成績
 [牡馬・セン馬] 9-6-9-87 [牝馬] 0-3-0-3

・年齢別成績
 [3歳馬] 1-2-0-6 連対率33.3% 複勝率33.3%
 [4歳馬] 2-2-3-21 連対率14.3% 複勝率25.0%
 [5歳馬] 4-3-0-34 連対率17.1% 複勝率17.1%
 [6歳馬] 0-2-3-11 連対率12.5% 複勝率31.3%
 [7歳以上馬] 2-0-3-18 連対率8.7% 複勝率21.7%

・厩舎所属別成績
 [美浦] 6-5-4-41 連対率19.6% 複勝率26.8%
 [栗東] 3-4-5-45 連対率12.3% 複勝率21.1%

・注目出走パターン
 [買い] 前走G1を1秒0〜1秒9の着差で敗退(連対率33.3%)
 [買い] 前走1番人気1着馬(連対率42.9%)
 [不振] 札幌記念組をのぞく前走G1以外出走馬(連対率4.7%)
 [不振] 連闘〜中8週での出走(連対率5.6%)

 3番人気以内馬の成績は悪くないのだが、1番人気馬は[2-2-1-4]と信頼度イマイチ。3連複万馬券が4回も飛び出しているように、コースデータの傾向よりは格段に荒れるレースである。とはいえ、10番人気以下馬は[0-0-3-33]と連対ゼロで、複勝率も8.3%と低め。人気の盲点となりやすい4番人気〜9番人気あたりの「中穴」に、最も魅力を感じる。

 展開面では、シェアが40%以上もある差し馬が、やはり優勢。これなら「差し→先行」や「差し→差し」での決着に的を絞って買う手もありそうだ。馬齢や性別、厩舎所属などについてはめぼしい傾向は見当たないので、ここはローテ重視のスタンスが功を奏しそう。注目出走パターンの筆頭にあげた「前走G1を1秒0〜1秒9の着差で敗退」の該当馬は、信頼度だけではなく回収率も非常に高いので、人気薄でも絶対に要チェックである。今年の該当馬は、エイシンアポロン、エイシンフラッシュ、ジャスタウェイの3頭だ。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 開幕週につき絶好の馬場コンディション確定。速い走破タイムが出る前提で。

・天候予測
 水曜日〜木曜日に降雨があり日曜日も降水確率高め。当日の降雨量次第か。

・勝利数トップ種牡馬
 シンボリクリスエス 勝率10.4% 連対率20.9%

・著者の注目血統
 ディープインパクト産駒、ハーツクライ産駒

・瞬発力要求度
 49.0(基準値▼1.0)※注

 ディープインパクト、ハーツクライ、アグネスタキオンといったサンデー系の「王道」種牡馬が好成績をあげているコース。とくにディープ産駒は適性が高く、全体で連対率31.0%、複勝率44.8%というハイアベレージである。また、シンボリクリスエス産駒がトップとなる12勝をあげているというのも特徴的。サンデー系の特色である末脚のキレと、ロベルト系の持ち味である底力。その両方を兼ね備えたような配合に向くコースとだいえる。

 馬場に関しては開幕週なのでとくに触れないが、気になるのは降雨。金曜日〜土曜日は晴れるようだが、日曜日にまとまった雨が降る可能性がある点には留意しておきたい。

★総論×各論
 想定段階で人気を集めているのは、エイシンフラッシュにストロングリターン、トーセンレーヴなど。しかし、各種データから最も信頼度が高いと評価したのは、無敗の3歳馬であるカレンブラックヒルである。1800m以上戦に出走経験がないことや、古馬との初対決となることなど不安材料も多い一戦だが、「前走G1で1番人気1着→夏場を休養」での出走は、毎日王冠を勝ち負けする馬の王道パターン。懸念材料が多いことで人気を下げるのは大歓迎で、4番人気あたりに推されてくれると期待値はさらに高くなる。

 続いてエイシンフラッシュ、ストロングリターンと順当なところが高い評価となったが、それに次ぐ存在なのが人気薄となりそうなガルボ。ここまでを上位に評価して、以下エイシンアポロン、フェデラリスト、リアルインパクト、シルポートまでを「押さえ」評価とした。マイナス材料が目立つトーセンレーヴ、スマイルジャックなどは、積極的に消していきたいところ。こういった組み合わせから、ガルボ絡みやカレンブラックヒル絡みなど配当がつける買い目を抽出して、厚めに狙っていきたい。

■京都大賞典(G2・フルゲート18頭/登録15頭)
 格の高さは数あるG2の中でも最上位といえる、京都大賞典。今年は15頭がエントリーしているが、そのうち6頭がデータ的にはきわめて期待薄である、前走で重賞以外に出走している馬。実質、ここを除いた9頭によるレースと考えていいだろう。

 実績最上位は昨年の覇者でもあるローズキングダムだが、たとえ前走G1組とはいえ「前走10着以下馬」であるのは大きなマイナス材料。また、前走安田記念、ならびに前走芝1600m戦というのも京都大賞典とはリンクせず、不安が先に立つというのが正直なところだ。またオウケンブルースリも、このレースと相性が悪い「前走6番人気以下かつ6着以下馬」であり、7歳以上馬であるのもマイナス材料。ビートブラックも前述のマイナス材料を満たすのだが、こちらは前走がG1の宝塚記念であることから、オウケンブルースリよりも上に評価できる。

 となると、「前走G1に出走して5着以内(連対率78.6%)」というプラス材料を満たすギュスターヴクライが、ここでは断然の存在だ。割り引くべきファクターもとくに見当たらないし、距離適性や京都芝適性などについても問題なし。最も信頼できるプロフィルの持ち主だと断言しよう。以下、フミノイマージン、ビートブラックまでが、現時点で上位に評価できる馬。ひとひねりするなら、ギュスターヴクライから人気薄へと流す馬券で、高配当を狙ってみるのも面白い。

■デイリー杯2歳S(G2・フルゲート18頭/登録13頭)
 過去10年で1番人気[6-2-0-2]、3番人気以内馬[8-7-4-11]など、人気サイドの安定感が素晴らしいデイリー杯2歳S。まだ未完成な2歳馬によるレースで、つい意外な伏兵の台頭を期待してしまいたくなるのだが、6番人気以下馬はトータル[1-1-3-68]で連対率2.7%と低迷しており、かなり手を出しづらい。

 最も期待できるのが「前走芝1800m以上戦出走組」で、ここに限れば[5-4-4-14]で連対率33.3%、複勝回収率143%という高期待値。前走芝1600m以下組の連対率が12.9%、複勝回収率が44%なのだから、その優劣は明らかである。

 注意したいのが、人気を集める「前走重賞出走組」の扱い。該当馬は集計期間内に合計22頭が出走しているのだが、その成績は[1-2-4-15]とわずか1勝。連対率も13.6%と意外なほど低く、かなりリスキーな存在といえるのだ。狙うにしても「軸」ではなく「ヒモ」程度の評価が、データ的には妥当。前走で重賞を勝ち負けしている馬であっても、過信は禁物なのだ。

 あとは「前走2番人気以内」というのも、ここで勝ち負けする上での必要条件。こういった条件をすべて満たすのがダンツアトラスで、メイケイペガスター、スクワドロン、タイセイドリーム、マイネルエテルネルも悪くない。人気馬の信頼度が高いことを考えると、ダンツアトラス、メイケイペガスター、マイネルエテルネルの組み合わせから流す馬券を現時点では推奨しておきたい。

※コース&血統データは2009年以降、レースデータは2002年以降が集計対象

※注 特定の種牡馬成績を用いて、そのコースで要求されるものが「軽さ」や「瞬発力」なのか、それとも「重さ」や「持久力」であるのかを筆者がポイント化したもの。50を中央値として、低い数値になればなるほど持久力寄りの、高い数値になればなるほど瞬発力寄りのコースとなる。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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