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オルフェーヴル、ジンクスを打ち破れるか!?

  • 2012年10月06日(土) 12時00分
 いよいよ凱旋門賞。はたしてオルフェーヴルは勝てるでしょうか?

 先々週の当コラムにも書いたように、フォア賞の勝ち馬は1985年以降、凱旋門賞を勝っていません。オルフェーヴルが日本馬初の快挙を達成するには、この“ジンクス”を打ち破らなければならないわけです。

 話はガラッと変わりますが、先日、プロ野球・楽天の試合を実況したときに、これは“ジンクス”かな、というようなデータを発見しました。その試合の先発はエースの田中将大投手。ご存知のように、高校卒業後、プロに入ってすぐに好成績を残してきたピッチャーです。プロ5年目の去年は自己最多の19勝を挙げましたが、6年目の今年はその試合までにまだ8勝と、前年の半分にも満たない勝ち星にとどまっていました。

 そこで、過去に高卒後1年目から活躍したエース級ピッチャーの、5年目と6年目の成績を調べてみたんです。すると、田中投手と同じようなパターンになっていた選手が見つかりました。

*松坂大輔
5年目=16勝7敗、奪三振215
6年目=10勝6敗、奪三振127

*ダルビッシュ有
5年目=15勝5敗、WHIP(1イニングあたりの平均被安打+与四球数)0.896
6年目=12勝8敗、WHIP1.015

*堀内恒夫
5年目=18勝10敗、防御率2.07
6年目=14勝8敗、防御率3.11

 いずれも、6年目の成績が前年に比べて悪くなっています。これって、“高卒大物投手6年目のジンクス”なんでしょうか?

 高卒6年目は、年齢で言えば24歳になる年。身体的成長がほぼ止まり、新人の年から活躍してきたことによる蓄積疲労がそろそろ表面化しやすい時期とも考えられます。そこに、相手球団による厳しいマークや、前年の好成績から求められる期待の高さなどが重なると、思わぬ落とし穴にはまってしまうケースがあるのかもしれません。

 つまり、“ジンクス”には“訳”がある、ってことです。

 フォア賞の勝ち馬が凱旋門賞に勝てない、という“ジンクス”にも“訳”はあると思います。凱旋門賞は3歳馬に有利で、古馬の前哨戦フォア賞の勝ち馬には厳しい(だから、ニエル賞勝ち馬がよく勝っている。また、カーネギーもモンジューもフォア賞に勝った年の凱旋門賞では3歳馬に負けた)、G1ではないフォア賞はあくまでも前哨戦で、古馬の大物はキングジョージや愛チャンピオンS、バーデン大賞などを使ってフォア賞はパスしてしまう、といった“訳”です。

「この重賞は1番人気馬が勝てない」「このレースは休み明けの馬が健闘している」などなど、競馬にはいくつもの“ジンクス”があります。それには必ず“訳”もあるはず。オルフェーヴルが凱旋門賞に勝てば、その“訳”を覆す一大事と言えるでしょう。

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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