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フランス競馬観戦記

  • 2012年10月13日(土) 12時00分
 凱旋門賞を見てきました。最後の直線に向いた時には、オルフェーヴルが「勝っちゃうぞ!」と思いましたよ。みなさんもそうだったでしょう? 残念と言えば残念。でも、めったに見られないシーンが見られたという点では、とても貴重な体験をさせてもらったと感謝しています。

 あらためて考えれば当たり前の話ですが、やっぱりヨーロッパのビッグレースではヨーロッパの馬が強いわけです。これはもう仕方ないでしょう。私は、究極のところ馬や調教師、そして騎手もひっくるめて“チームジャパン”が海外の大レースで勝ってほしいと思っているのですが、今回のレースを見て、そこまで行くのはなかなかタイヘンだなぁと、あらためて痛感させられました。

 さて、先々週にご紹介したアラブのワールドカップ。凱旋門賞の次に行われたのが、そのレースでした。

 距離2000m、20頭立て。そのうち5頭がシェイク・モハメド・ビン・ハムド・ビン・カーリファ・アル・ターニ氏(カタールの第6王子)、4頭がシェイク・ジョアーン・ビン・ハムド・ビン・カーリファ・アル・ターニ氏(同第5王子)、2頭がシェイク・アブドゥラ・ビン・カーリファ・アル・ターニ氏(同第5、第6王子の叔父。現カタール首相)の持ち馬。

 そのほかシェイク・モハメド・ビン・ファレー・ビン・ナッセル・アル・ターニ氏とシェイク・カーリファ・ビン・モハメド・ビン・カーリファ・アル・ターニ氏の持ち馬が1頭ずつと、アル・ターニファミリーの方々の所有馬が13頭も出ていました。

 当然ながら、同じような勝負服だらけ。しかもなぜか芦毛の馬の割合が高く、遠い観客席から双眼鏡で凝視しても、何番の馬がどこを走っているのか、ほとんどわかりませんでした。ハッキリ言って、こういうレースは実況したくないですね。

 結果は、“5頭出し”の“第6王子”所有馬によるワンツーフィニッシュ。5着までがアル・ターニファミリーの持ち馬でした。

 勝ったのは、イギリスの実力派ジョッキー、ネイル・キャランが騎乗したMkeefaという4歳馬。イギリス生まれの牝馬で、去年12月にカタールダービー、今年7月に英ニューマーケットのUAE大統領杯(英国アラブダービー)、さらに先月23日には英ニューバリーのハッタインターナショナルSに勝っていました。これで通算6勝目。“第6王子”は、10、11年に続いて同レース3連覇を果たしました。

 2000m、重馬場の走破タイムは2分24秒03。サラブレッドに比べるとやや小さな馬格の純血アラブ馬にとっては、かなり過酷なレースだったようです。

 ちなみに、2〜4着の馬に騎乗していたのは、上から順にルメール、ペリエ、スミヨンの3人でした。成績の比較が難しそうな純血アラブのレース。だったらやっぱり、馬券は騎手で買え、ってことなんでしょうね。

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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