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ゴールドブレンド・赤ラベル

  • 2012年12月06日(木) 12時00分
勝ち馬には天使が微笑み、負け馬にはニギの神がほくそ笑む。

それが新装版・阪神ジュベナイルFではないか? と一昨年も去年もここで書いた。

天使とはもちろん春のクラシックでの勝利を導くことを意味し、ニギの神とは春のクラシックでの惜敗を意味するもので、新装版とは、コース改修された阪神のジュベナイルFを意味している。

このことは、特に1着馬については、もはや定番事項として、幅広く語られている。阪神ジュベナイルFの勝ち馬と東京2400の関連性についても語られているとおりだ。

東京2400から2歳の阪神1600を想うアプローチ。
そのことに異論などまったくない。微塵もない。

ただ少し気になることもある。

阪神が改修されて今年で7年目。春を見据える厩舎やその向こう側にいる巨大な司令塔の考え方にも少し変化が見られないか? そこがほんの少し気になる。

ディープインパクト産が登場して今年で3年目。

今年の桜花賞・オークス馬は阪神ジュベナイルFではなく、京都1600のシンザン記念勝ち馬(ジェンティルドンナ)から出た。去年の桜花賞馬もシンザン記念最先着牝馬(3着・マルセリーナ)から出た。

どちらもディープインパクト産だ。ダイワスカーレット(2着)の例もあるのでシンザン記念経由のクラシック牝馬が新しいとは思わないけれど、ディープインパクト産のデビューとともに連続して、クラシックホースが誕生となると無視できない。

12月の阪神ジュベナイルFをステップにするか、1月のシンザン記念をステップにするか。
今選択肢は2つに増えてないか? もしくは2歳で完成の馬は阪神JFへ、3歳春の逸材はシンザン記念へ、そんな使い分けはないか?

それはさておき。

去年も松田博厩舎のジョワドヴィーヴルが勝った。
これで松田博厩舎は改修後3勝。

で、改めて思う。やっぱり思う。
やっぱり阪神JFは松田博厩舎と角居厩舎と国枝厩舎で回ってるのではないかと。

06年
1着 ウオッカ 角居厩舎

07年
1着 トールポピー 角居厩舎
2着 レーヴダムール 松田博厩舎

08年 
1着 ブエナビスタ 松田博厩舎
2着 ダノンベルベール 国枝厩舎
3着 ミクロコスモス 角居厩舎

09年
1着 アパパネ 国枝厩舎
3着 ベストクルーズ 松田博厩舎

10年
1着 レーヴディソール 松田博厩舎

11年
1着 ジョワドヴィーヴル 松田博厩舎

ここからこう分類できる。

角居厩舎
1着 ウオッカ←黄菊賞2着
1着 トールポピー←黄菊賞2着
3着 ミクロコスモス←新馬1着

松田博厩舎
2着 レーヴダムール←新馬1着
1着 ブエナビスタ←未勝利1着
3着 ベストクルーズ←ファンタジーS2着
1着 レーヴディソール←デイリー杯1着
1着 ジョワドヴィーヴル←新馬1着

国枝厩舎
2着 ダノンベルベール←赤松賞
1着 アパパネ←赤松賞1着

つまりこうなる。やっぱりこうなる。
「角居厩舎は前走・黄菊賞2着」
「国枝厩舎は前走・赤松賞1着」(赤松賞はもうないけど)
「松田博厩舎は前走が新馬・未勝利でも通用する」

ちなみに黄菊賞から馬券になった馬は角居厩舎の馬しかいないし、赤松賞から馬券になった馬は国枝厩舎の馬しかいないし、新馬・未勝利から1着させた馬は松田博厩舎の馬しかいない。

去年、柴崎厩舎のトーセンベニザクラが赤松賞1着から挑んだので注目していたけど、10着に敗れてしまった。

では今年の御三家はどうなのか?

松田博厩舎・ディアマイベイビー 出走確定的(前走白菊賞1着)
角居厩舎・バリローチェ 回避予定(前走白菊賞6着)
国枝厩舎・レッドマニッシュ 抽選待ち(前走未勝利1着)

出走が確定してるのはディアマイベイビーのみ。しかし、仮に3厩舎すべてが出走してきたとしても、みんないつもと違うルーティンでの出走で、今年はさすがにちょっと違う気がする。
赤松賞がなくなったとはいえ、前走・未勝利では国枝厩舎の強い馬には該当しない気もする。強いてあげれば松田博厩舎のディアマイベイビーか。それだって3着っぽい。

で、改めてまとめてみる。
今年の想定メンバーなんぞを眺めながら、改めて整理してみる。

■御三家厩舎のメンツはちと弱い。
■今年は赤松賞がなくなって、新重賞アルテミスSが新設された。国枝しばりは解放された可能性もある。
■1月のシンザン記念を狙う牝馬がどのくらいいるのかわからないけれど、ここ2年の流れを考慮すれば、社台系のディープインパクト牝馬の逸材がそこに進むことは十分考えられる。
■事実、今や社台系の両輪のはずのサンデーR(ノーザンF)や社台RH(社台F)の馬が今年はいない。
■サンデーRや社台RHの牝馬はシンザン記念、それ以外は阪神JF、そんな新たなくくりがあるなんてことは……どうなんだ!?
■その流れを追うようにシンザン記念狙いの非社台系の厩舎や馬主が現れるなんてことは……どうなんだ!?
■そんなこんなでシンザン記念が牝馬限定戦になってしまうなんてことは……おっと、脱線!
■今年の社台系生産馬の馬主はGIレーシングや個人馬主やキャロットやシルク。今年はそちらに花を持たせるなんてことは……どうなんだ!?
■今年の社台系種牡馬はハーツクライが一番多くて6頭登録、ディープインパクト産は4頭登録。
■もしかしてハーツクライ産は阪神JF、ディープ産の逸材はシンザン記念、そんな新たなくくりがあるなんてことは…どうなんだ!?
■であるならば(すべての項目ひっくるめて、であるならば)、今年は例年より小粒の可能性はないか? ほんの少し全体的に小粒なんてことは……どうなんだ!?

で、思うわけです。
「→」今年はハーツクライ産から買うべきか。右に行くか!
「←」今年もディープインパクト産から買うべきか。左に行くか!

もちろん自分が進みたい方向は「↓」。下!!

なんでもいい! 今年はオールカマー!! そんな「↓」。

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秋山騎手は「違いのわかる男・秋山真一郎」になっているか?
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ローブティサージュはGIジョッキー秋山真一郎騎手が騎乗する。

某騎手曰く、GIホースの背中を何頭も知ってる騎手とGIホースの背中をまったく知らない騎手では馬の見方がぜんぜん違うのだとか。普通系騎手がメチャクチャ強い!春が楽しみだ! と感じる馬がいても、GI常連騎手の評価は「まあまあ」だったりもするそうだ。

なんとなくわかる。
レベル5まで知ってる騎手とレベル3までしか知らない騎手がレベル4の馬に騎乗したら、5の騎手にとってはまあまあだろうし、3までの騎手にとっては自分史上最高!だろうし…。

つまり、
今年GIを勝って、違いのわかる男に仲間入りしたはずの秋山真一郎騎手の今年の2歳馬のコメントは、
去年までとは違って、ゴールドブレンドで赤ラベルなコメントになっているのではないか?

しかも秋山騎手の場合はカレンブラックヒルだけじゃない。
後の二冠ホースのゴールドシップや後のGI・1番人気ホースのグランデッツァの背中も去年同時に知った。ここはデカイはず! 
栴檀は双葉より芳しい! 大成する馬はデビューから並外れているはず!
GIホースだけでなく、2頭のGIクラスのデビュー戦に騎乗した男の馬上感は劇的に飛躍した可能性あり!

というわけで、眺めてみる。
違いのわかる男のレース後コメントを拝見してみる!

まずはNHKマイルC馬カレンブラックヒルの新馬1着コメント
「スタートはひと息だったけど、二の脚が速かったので抑えずに前に行った。稽古からいいと思っていた馬。その通りに走ってくれたし、無事に育ってくれれば。」(週刊競馬ブックより引用)

無事に育ってくれれば、のあとにはきっと「GIも勝てる」が隠されていたのではないか…そんな含みのあるコメントだった。

皐月賞・菊花賞二冠馬のゴールドシップの新馬1着コメント
「稽古ではまだピンとこなかったけど、実戦では勢いがついてから長くいい脚が使えましたね。大柄な馬だけに、使っての上積みは大きいでしょうし、距離が延びればさらに良さそうな馬。先々が楽しみですよ」(週刊競馬ブックより引用)

このレースは芝1800だった。「長くいい脚」をデビュー戦から使っていたのがわかるし、「距離が延びれば」もまさにそのとおり!

皐月賞1番人気・グランデッツァの新馬2着コメント
「1〜2角で前の馬が膨れてきて外々へ振られてしまいました。あれがなければ際どいレースになっていましたね。かなりの能力を感じますし、この馬は走ってきますよ。」(週刊競馬ブックより引用)

「走ってきますよ」に秋山騎手のキャラを超えた力強さを感じる!

で、ローブティサージュ。

ローブティサージュの新馬1着コメント
「小柄だけど、バネの利いた走りをする馬。きょうはきついレースになったけど、最後は力でねじ伏せてくれた。テンションが上がることなく、このまま無事にいってくれれば、かなりの活躍が見込めそうですよ」(週刊Gallopより引用)

出た!「このまま無事にいってくれれば」コメント!→カレンブラックヒルと同等だ!
できればこのあとは「……」的な含み系コメントがよかったけど、「かなりの活躍が見込めそうですよ」も秋山騎手のキャラ的には強い表現だ。ただグランデッツァの「走ってきますよ!」よりはちょっと弱いか。

ローブティサージュの2戦目・ファンタジーS2着コメント
「条件は厳しかったけど、克服できる能力はあると思っていました。ラストは外からいい脚を見せていたように素質は高いですね。ただ、距離はもっと長い方がいいと思います」(週刊競馬ブックより引用)

出た!「距離はもっと長い方がいい」コメント!→ゴールドシップと同等だ!
問題はゴールドシップは2000の皐月賞も勝ったけど、底知れぬ強さは3000の菊花賞で魅せた馬。どうなんだろう? ローブティサージュへの「もっと長い」はどのくらいを意味しているのだろう?

ローブティサージュの新馬は1800だった。
やや出負けして大外を回って、楽勝した。
2戦目のファンタジーは1400。
中団やや後方から外を回って、2着。

字面からは距離はデビュー戦を楽勝した1800くらいがピッタリと言ってるようにも思える。
ただそういうことを理解した上で、厩舎も休み明けに忙しい1400を使ってきたのではないか?
1600の阪神JFを見据えた上でのファンタジー参戦。だとしたら、道中9−8−8の位置取りから差して2着は1600で期待の持てそうな走りにも思える。

ウォーエンブレム産って差し馬というより、先行して駆け抜ける馬のイメージもある。けれどこの馬は2戦ともに差せた。
もしかしてその部分が新馬での心配コメント「テンションが上がることなく」につながっているのかもしれない。だけど,今は抑えが利いている。ならば抑えが利いているうちに!!!!!

ミスプロ系は改修後も改修前も適度に、ちょーどいい感じで、馬券圏内に顔を出している。
改修後
10年 ライステラス 3着
09年 アパパネ 1着
07年 エイムアットビップ 3着
改修前
05年 シークレットコード 2着
04年 ラインクラフト 3着
02年 ヤマカツリリー 2着

勝つというよりは2着3着する感じだ。

うむ、ちょーどいい!
自分もハナから1着は狙っていない。
違いのわかる男のコメントを冷静に分析すれば、GIを勝つというよりは、GIでもいい勝負になりそう的なものだろう。
秋山騎手だし、自分的にはワイドで十分だ。

現在の予想人気は6番人気。
前走のファンタジーSが4番人気で2着だった。2着したのに今回6番人気に下がっていたら、これまたちょーどいい!

週の真ん中水曜日。
抽選組が多くて、気になる馬いっぱいの木曜日。
だけど、今は違いのわかる男の赤ラベルに期待だ。

阪神JF 
赤ラベル・ローブティサージュ
黒ラベル・カラフルブラッサム

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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