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トレーニングセール終了

  • 2003年05月26日(月) 17時59分
 前回紹介した日高軽種馬農協主催のトレーニングセールに続き、翌5月20日には浦河町西舍のJRA日高育成牧場を会場に「ひだかトレーニングセール」(主催、日高東農協)が開催された。対前年度比6%増の売却率となった前日に続き、こちらも69頭上場(牡37、牝32)中、30頭(牡19、牝11)が売却され、売却率43.48%。昨年のセールが130頭上場で47頭売却という数字だったことから考えると、対前年度比で7%強の売却率アップは一応の結果と言わねばなるまい。

 ただし、今年は、上場馬を厳選して、いわば「少数精鋭」で臨んだセールだったはず。その意味からすれば、価格的にも上下のアンバランスが目立ち、今後に課題を残したと思う。

 最高価格馬はサンデーサイレンス牝馬の「ノースオブダンジグの2001」で3800万円。本来ならば今の時期まで残っているはずのないサンデー産駒であり、この価格も無理のないところ。周知の通り、昨年急死したサンデーサイレンスの産駒は今年のクラシック戦線を文字通り席巻しており、とりわけ牝馬は桜花賞1着、オークスではワンツーを果たした。結局、このノースオブダンジグの2001一頭で、30頭の売却馬の平均価格を100万円以上押し上げた形となった。

 売り上げ合計は2億8765万円。対前年度比で約1億円近いマイナスとなったものの、このサンデー産駒のおかげで平均価格はむしろ140万円ほど上昇した。

 ところで、トレーニングセールの最大のセールスポイントは、やはり「即戦力」であるということだ。目の前で調教を見て、せりで購入できるということは、すなわち、かなり仕上がっている馬をそのまま厩舎に入れて早々にデビューさせられるということ。少なくとも、そのはずだった。

 しかし、どうにも、過去の実績を見る限り、即戦力とはいいながら、結果的に2歳デビューを果たすことができず、やむなく越年せざるを得ない馬が、とりわけ中央競馬に行くと目立っていた。北海道で行われた過去2年間のトレーニングセールで取引された馬の総数は、372頭。そのうち、中央競馬に登録されたのは258頭。ところが2歳時に出走した馬の数はというと、138頭。率にして約53%程度に過ぎない。因みに勝馬数は、さらに少なくなり、合計29頭である。もちろん、年が明けて3歳になって勝ち上がる馬も多いのでこれはさほど重要視すべきではないかもしれない。ただ2歳時の出走率だけは、トレーニングセール本来の意義というか目的からすれば、やはりもっと上げて行かねばなるまい。

 元々、トレーニングセールは、1歳で売却できなかった馬に付加価値をつけ、即戦力として販売することから始まった。来年以降、このセールがさらなる盛り上がりを見せるためには、今年取引された76頭(両方のセールを合わせて)の競走成績にかかっていると言っても過言ではないだろう。

 なお、昨年の取引馬からは、秋に東京スポーツ杯2歳Sを制したブルーイレヴンが誕生している。春の天皇賞を勝ったヒシミラクルもトレーニングセール出身馬だ。

 これらに続く馬の出現することを期待したい。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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