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2012年の主役たち!JRA賞授賞式に潜入

  • 2013年01月29日(火) 18時00分
 28日、都内ホテルにて毎年恒例のJRA賞授賞式が華々しく開催されました。2012年の競馬界を彩った人馬の表彰は、昨年一年間の数々の名場面を思い起こさせてくれました。残念ながら主役の競走馬たちは会場に来れないけれど、それぞれの関係者の喜びの声をお届けします!

2012年度JRA賞授賞式が開催

2012年度JRA賞授賞式が開催

ジェンティルドンナの関係者ら

ジェンティルドンナの関係者ら

【年度代表馬&最優秀3歳牝馬:ジェンティルドンナ】
◆(有)サンデーレーシング代表 吉田俊介氏
「牝馬三冠を獲ることはもの凄いことなのに、さらにその後に古馬牡馬に挑戦して素晴らしいレースを見せてくれて…。とても感動しました。大変血統のいい馬ですし、生まれた時から素晴らしい馬でしたね。2歳の春頃にはだいぶ成長していたし、夏になって動きが変わりました。早い時期から相当走ると思いました。今季初戦はドバイシーマクラシックを予定しています。その後の予定はハッキリとは決めてないですけど、国内外を問わず僕たちを素晴らしい舞台に連れて行ってくれると思っています」

◆石坂正調教師
「ジェンティルドンナに初めて会いに行ったのは、生まれたばかりの頃、当歳のまだ寒い時期でした。姉のドナウブルーも手掛けさせてもらっていますが、全姉妹ですがまたタイプが違うんですよ。ジェンティルは筋肉がよく発達しているなと感じました。昨年一番印象に残っているレースは…最終的には三冠が懸かって勝たなければならなかった秋華賞ですね。レースを見ていて、勝ったと思って応援していたけど、最後は際どくなって…本当に疲れました(苦笑)。勝つのはこんなに難しいのかと改めて思いましたね。

 先週の金曜日に放牧先のノーザンファームしがらきに会いに行ってきたんですが、あんなに激しいレースをしたとは思えないほど可愛らしくて。僕が行ったらすぐに寄って来てくれたし、本当に可愛い目をしているんです。いいリフレッシュが出来ているようだし、この後はドバイに向けて頑張りたいです」

◆岩田康誠騎手
「いつも素晴らしいレースをしてくれますが、ジャパンカップで初めて彼女の本気の走りを感じることが出来て嬉しかったですね。僕にとってはパートナーというか…彼女です(照)。今年の目標は、まずはドバイで素晴らしいレースをすることです。今後も無事にいってくれればいいなと思います」

◆井上泰平調教助手
「ジェンティルに初めて乗った時は、今まで乗ったことがないような乗り味の良さを感じました。この後は…ドバイで勝ちたいです!」

◆日迫真吾調教助手
「無事にここまで来れただけで、胸がいっぱいです。レース前は岩田騎手を振り落したりしてお転婆なところもあるんですけど、レースではとても素直で、そこが凄いと思います。あれだけのレースをしてくれますが、ご飯を食べるときは女の子らしくて可愛いですよ。僕の立場は、とにかく無事にレースに出すことなので、今年もそれに精進したいです」

◆ノーザンファーム代表 吉田勝己氏
「本当に素晴らしいレースをしてくれましたね。血統も素晴らしいし、生まれた時からいい馬でみんな期待していました。1つ1つレースを絞って調教を積んで、どんどん強くなっていった印象です。今年の目標はドバイ! いつも行くんですけど、なかなか勝てないんですよねぇ(苦笑)。今年はぜひ頑張って欲しいです」

オルフェーヴルの関係者ら

オルフェーヴルの関係者ら

【最優秀4歳以上牡馬:オルフェーヴル】
◆(有)サンデーレーシング代表 吉田俊介氏
「昨年は最初の2戦で少し自信を失いましたが、その後宝塚記念を勝ってくれたし、凱旋門賞でもいい経験をさせてもらいました。強い馬だということはみんな認めてくれてると思いますが、想像出来ないことをしてくれる馬で…ハラハラドキドキさせられますね(笑)。今年も現役続行で、秋は凱旋門賞を最大の目標にしています。そこまでは国内で戦う予定で、とにかく凱旋門賞でいい状態に持って行けるようにしたいです」

◆池江泰寿調教師
「宝塚記念の前の2走はみなさんにご迷惑を掛けてしまって、申し訳なかったです。でも宝塚ではベストの状態じゃないけどしっかり結果が出せて良かったですね。現役最強馬ということを証明したかったですから。ジャパンカップの後は、放牧して英気を養っています。今年は大阪杯からまずは始動する予定です」

【最優秀4歳以上牝馬:カレンチャン】
◆鈴木隆司オーナー
「先週は引退式をしていただいて、今週はJRA賞をいただいて…この上ない引退の花道を飾れました。ありがとうございます。生まれた時から可愛くて可愛くて仕方なかったんですけど、そのカレンチャンが男馬の中に入って激しいレースをするのでとても心配でした。早くレースが終わらないかな、早く無事引退して母になってくれないかな、ということばかり考えてましたね。本当に無事に引退出来てホッとしています。たくさんのファンの方々に応援していただいたので、いつか2世がターフに戻って来て恩返し出来たらと思います」

◆安田隆行調教師
「本当に素敵な馬です。馬でありながら、本当に可愛いんですよ! 2年連続でこのJRA賞の舞台に連れて来てくれて、とても感謝しています。いつかカレンチャンの仔で、またこのステージに立ちたいですね」

ゴールドシップの関係者ら

ゴールドシップの関係者ら

【最優秀3歳牡馬:ゴールドシップ】
◆小林英一オーナーのご子息 小林正和氏
「父は25年の馬主人生で、ゴールドシップで初めてGIを獲ることが出来ました。ハイレベルと言われた昨年の3歳勢の中で、今回の賞を頂くことが出来て、大変名誉なことと思います。支えてくれた関係者のみなさん、応援してくれたファンの方々と、この喜びを分かち合いたいです。ゴールドシップは、父が最初に所有した馬(パストラリズム)の孫なんです。父がいなければゴールドシップもこの世に生を受けていないので、本当に想い入れが強いですね。今後も内田騎手と共に、豪快なマクリを決めてくれると信じています!」

◆須貝尚介調教師
「本当に頑張ってくれる馬ですね。どうやってゴールドシップを褒めたかって? レース後チューしました(笑)。今年は明け4歳なので日本でローテーションを組んで走らせるつもりです。阪神大賞典から始動したいですね。もう少し古馬になったら海外も…と思ってます」

【最優秀2歳牡馬:ロゴタイプ】
◆吉田照哉オーナー
「みなさんから言っていただいてるんですけど、ローエングリンの仔でGIを勝てて本当に嬉しいです。ローエングリンは種付け頭数自体少ないんですが、信じて種付けした甲斐がありました。感慨もひとしおです。今後ですが、スプリングSから皐月賞を目指す予定でいます。馬は順調なので楽しみですね」

◆田中剛調教師
「レース前には、勇気と感動をみんなに与えてくれたデムーロくんに託しました。ゴール前はなんとか我慢してくれるんじゃないか、と思って見ていましたが、勝った時はとても嬉しかったです。ロゴタイプは、デビュー前の段階からクビを一生懸命使って走る馬で、1戦1戦強く成長してくれました。なんだか、自分の子供を見ているようです。今年の目標は、やはりクラシックですね」

【最優秀2歳牝馬:ローブティサージュ】
◆有限会社シルク 阿部善武氏
「阪神JFでは、上位人気ではありましたがそこまで上じゃなかったので、勝った時は頭の中が真っ白になりました。その後表彰式があると思ってかなり緊張したことを覚えています。今後は先生の方でローテーションを考えて下さっていますので、この馬は480人会員がいるとても人気のある馬ですから、会員さんたちと一緒に応援したいです」

◆須貝尚介調教師
「同じレースにもう1頭うちの馬が出ていたので、2頭とも応援しながら見ていました。僕のジョッキー時代から秋山くんと仲良くしていたので、その秋山くんとGIを獲れてとても嬉しいです。ローブティサージュは、肉体的にも精神的にもまだまだこれからの馬。ウォーエンブレム産駒ですし、あんまり無理せずじっくりと育てていきたいと思っています。桜の時期に、みなさんに走りを見せられたらいいですね」

【最優秀短距離馬:ロードカナロア】
◆(株)ロードホースクラブ 中村智幸氏
「昨年はこの馬にとって素晴らしい一年になりました。安田厩舎をはじめ、ロードカナロアに関わってくれたすべての方のお陰です。とりあえずは今後も怪我のないよう、昨年のようなパフォーマンスを見せてくれたらと思います」

◆安田隆行調教師
「怪我なく一年間いい走りが出来ました。本当に強くなって、安心してレースを見ていられるようになりましたね。この後はオーナーとじっくり相談して決めますが、オーシャンSか阪急杯からスタートしたいと思っています」

【最優秀ダート馬:ニホンピロアワーズ】
◆小林百太郎オーナー(※都合により出席出来ず、ステージではご本人からのメッセージが読まれました)
「関係者の努力により、最優秀ダート馬を受賞出来て大変光栄に思います。馬主生活数十年、1985年にニホンピロウィナーでマイルCSを勝って以来、27年ぶりにGIを勝つことが出来て感無量であり、とても幸せです。今後も競馬発展のため、引き続き尽力したいと思います」

◆オーナーの親戚である、小林保治氏
「これからも、怪我のないように走ってくれたら嬉しいです!」

◆大橋勇樹調教師
「初のGIをプレゼントしてくれて、アワーズという名前の通り、オーナーや関係者だけでなく、みんなの馬ですね。今後は特にここからとは決めていないですが、馬の状態を見ながら決めようと思います」

【最優秀障害馬:マジェスティバイオ】
◆バイオ(株) 門田孝三郎氏
「関係者の努力と、みなさんの応援のお陰でこのような賞を頂くことが出来ました。本当にありがとうございます。2年連続で受賞させて頂いているので、今年は3年連続を目指したいです」

◆田中剛調教師
「春秋連覇の夢は叶わなかったけど、JRA賞を受賞出来てとても嬉しいです。今後は、前哨戦から中山グランドJを予定しています」

〜ここからは個人表彰部門です〜
横山典弘騎手ら個人受賞者

横山典弘騎手ら個人受賞者

【最多勝利調教師:角居勝彦調教師】
「たくさん勝たせてもらって、本当にありがたいです。昨年1番印象に残っているのは…ルーラーシップが有馬記念のゲートで立ち上がったことですね。ゲートの中で種馬の練習をしないで欲しいです(苦笑)」

【最高勝率調教師&優秀技術調教師:須貝尚介調教師】
「ゴールドシップやローブティサージュはじめ、携わっているみんなに本当に感謝しています。とにかくこんな若造調教師の言うことをスタッフが忠実に聞いてくれて…。一生懸命馬を愛して、責任を持って仕事してくれるんです。2頭の馬のお陰でこの場所にこれましたが、自分自身の賞ももらえて感謝しています。この結果に甘んじず、今年も頑張ります」

【最多賞金獲得調教師:池江泰寿調教師】
「2年連続この賞をいただけたことは、馬主、牧場関係者はじめたくさんの方々のお陰です。特に昨年は、夏ごろからフランスやアメリカへ行くことが多かったですから、スタッフが本当によく頑張ってくれました。昨年の想い出はいっぱいありますが…やっぱり阪神大賞典が1番ですね。今年の目標は、オルフェーヴルとダノンバラードを真っ直ぐ走らせることです(苦笑)」

【最多勝利騎手&最多賞金獲得騎手:岩田康誠騎手】
「JRAのリーディングを浜中騎手にもっていかれたことだけが悔しいですね。素晴らしい成績を挙げることが出来て、周りの方々に感謝しています。それに…2012年最多審議の対象騎手だと思うので…。迷惑を掛けてしまったこと、とても反省しています。今年の抱負は、斜行・蛇行しないで馬たちをゴールまでエスコートすることです!!」

【最高勝率騎手:横山典弘騎手】
「一昨年もこの賞をいただいたんですが、その時は風邪で授賞式に出られなかったので…。今回はこの場所に立てて良かったです(笑)。いつも馬を大事に、馬の気持ちになって乗っているので、その結果が出て良かったです。馬事文化賞で表彰された71歳の法華津さんのように、長く乗れるように馬と一緒にレースを楽しめたらと思います」

【最多勝利障害騎手:北沢伸也騎手】
「2年前に1勝差で獲れなかったので、今回受賞出来て嬉しいです。障害の面白さは、調教から自分で馬を育てて、長い時間を一緒に過ごして…レースでは命預けて死にもの狂いで乗っているとこが魅力じゃないですかね。今年の抱負は、次のJRA賞で最優秀障害馬と一緒にダブル受賞出来るように頑張ります」

【馬事文化賞:NHKメディアテクノロジー及び平成24年度相馬野馬追執行委員会】
『疾走!相馬野馬追〜東日本大震災を越えて〜』(記録映像)

◆NHKメディアテクノロジー社長 西山博一氏
「栄えある賞を頂き、ありがとうございます。NHKメディアテクノロジーは3Dの立体映像を20数年制作しているんですが、震災後、1か月、半年、1年と3Dで記録して、それがこれからの防災に繋がればと考えていました。昨年、野馬追を例年通り行うと聞いて、それぞれの馬や人を追いたいと思ったことが、この作品を制作したキッカケです。野馬追は1000年の歴史ある行事であり、これに懸ける人々の熱い想い、相馬の人たち1人1人の表情を見ていただきたいですね。それに、震災では100頭の馬たちも犠牲になりました…。馬も1頭1頭表情があって、この野馬追の勢いが、復興への大きな足掛かりになってくれればと思います。馬の駆け抜けるスピード感で、復興へと繋げたいです」

◆演出担当、今野勉氏
「このお話を頂いた時、私は仙台の東北大学出身なんで野馬追を見たことがあったんですけど、その地域の人たちが守って来た文化や、今どう復興しているか知らせることでお手伝いが出来たらと思いました。さらに、3Dで制作することにも魅力を感じました。一番印象に残っているのは、神旗争奪戦です。何百年の間、馬の文化を守って来た人たちの姿は、本当に胸に響きました。馬というのは、1頭飼うだけでも大変なことです。厩舎や馬場が必要だし、野馬追に参加するためには甲冑や陣羽織も必要です。そんな中、馬と共に生きている家が何百もあって、それが何百年も続いているとは…。私自身、あまりに知らなかったですし、そのことを伝えたかったです。野馬追がもともと持っていたお祭りの意義は、野生の馬の中で一番いい馬を神に献上して、五穀豊穣と繁栄などの祈りを込めたものです。それは、今1番必要なことだと思いました」

絢爛な陣羽織で…相馬野馬追関係者

絢爛な陣羽織で…相馬野馬追関係者

◆平成24年度相馬野馬追執行委員会 本田信夫氏
「今日は野馬追で実際に使用した陣羽織を着て参りました。東日本大震災では、本当にたくさんの方が犠牲になり、馬たちにも多くの犠牲が出てしまいました。そんな中、昨年は例年通りに野馬追をやろうと決めた時、鎮魂と復興の旗印にしたいと考えました。野馬追は祭りですから、もちろん賛否両論もありました。出来る範囲で取り組もうと考え、例年は500頭が参加するんですが、半分くらいかなと思っていたんです。でも結果的には400頭くらい参加して、例年の約80%の規模まで回復することが出来ました。1000年の歴史と伝統を絶やしてはいけないという想いで、震災後も2年連続で実施することが出来、被災した方々を勇気づけられたかなと思います。全国から大変な義援をいただきまして、歴史を継続することが出来て、とても感謝しています。ありがとうございました」

【馬事文化賞功労賞:法華津寛氏】
◆法華津元子氏(※都合により出席出来なかった法華津寛さんの代わりに、奥様の元子さんが出席されました)
「私自身は、夫を支えるなんてとんでもない。足を引っ張らないようにするだけで、何も協力してません(笑)。主人はただ馬が好きで好きで、馬がいなければ死んだ方がいいという人です。馬に乗り続けるためなら、どんな犠牲を払っても健康を保ちたいと思っているようですね。一時期、転勤でスイスにいたことがあったのですが、そこで馬場馬術が面白いと思ったんです。それまでは障害の方でした。定年退職するのを指折り数えて、退職後は念願のドイツ留学をしました。現在のパートナーであるウィスパーは、一言で申して『女そのもの』です(笑)。やきもち焼きで甘えん坊で…。主人はこれまで牝馬はイヤだといっていて、ウィスパーが初めての牝馬なんですけど、『何でこの年で女で苦労しなくちゃならないんだ…』なんて言いながら、すっかり心を掴まれてしまって、あまり家に帰ってこなくなりました(笑)」

 2012年のJRA賞を受賞された方々のコメントをたっぷりとお届けしました。2013年はどんな人馬がこの舞台にやって来るでしょうか。今年のドラマは、もう始まってます![取材:赤見千尋]

◆次回予告
次回の「競馬の職人」は、栗東から常石勝義さんがレポート。ディープインパクトの写真集でも有名な、カメラマンの久保吉輝さんを直撃します。公開は2/5(火)18時、お楽しみに。

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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