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石橋守騎手が登場!ダービー&ドバイ参戦、28年間の騎手生活に迫る

  • 2013年02月26日(火) 18時00分
 メイショウサムソンとのコンビでダービージョッキーになった石橋守騎手が、28年の騎手生活にピリオドをうち、調教師に転身する胸の内を話してくれました。

調教師へ転身する石橋守騎手

調教師へ転身する石橋守騎手

常石 :調教師試験合格おめでとうございます。

石橋 :ハイ。ありがとうございます。まだ実感がわきませんがね(笑)。

常石 :騎手時代は大活躍されていますよね。調教師になられても活躍が楽しみです。競馬学校の1期生だったんですね。大先輩だ。

石橋 :同期に須貝先生がいますよ。同じ騎手から調教師になって、去年はGIを4勝と大活躍しているでしょう。すごいよね。同じ釜の飯を食った仲なんですが、そんなことは言えない大きな存在ですよね。開業予定はまだまだ先でスタートラインにも立っていないので、これからいろんなこと勉強していかないとと思ってますね。大先輩を見習って頑張ります。騎手とは違って勉強することが山積みだから、何から手をつけていいのか。でも、周りに良い先輩がいっぱいいてくれるので助かります。河内先生もアドバイスをしてくれるので嬉しいです。

現在は河内厩舎で調教の手伝い

現在は河内厩舎で調教の手伝い

常石 :そうそう、今は河内厩舎の調教の手伝いをしているんですね。河内先生からもお祝いのメッセージを頂いています。

「安心したわ。これからは調教師としてのスタートやから面倒なことや気苦労などいっぱいあると思うけど、騎手時代にいっぱい経験や苦労もしているので大丈夫でしょう。俺んとこはぼちぼちやからあまり見習ったらあかんけどな(笑)」

とおしゃっていました。大ベテランに応援してもらうのは心強いですね。これからどんな馬を作って行きたいですか?

石橋 :まだはっきり実感はわいてないなぁ。騎手の仕事を最後まできちんとやりたいしね(取材時)。僕がメイショウサムソンのような良い馬にめぐり合って、皐月賞やダービーを勝て二冠できたことも糧になると思うし、第1回のドバイに連れて行ってくれたライブリマウントも印象に残っている。マカオにも行ったな。マカオジョッキーシリーズでGIIIのオータムトロフィーを勝ち、海外重賞を初制覇しました。

いろんな経験をさせてくれたので、僕もファンが注目してくれるような個性的で魅力のある馬を作って行きたいですね。同じ馬でもその時々で変化してくるでしょう。そこを見逃さないようにチェックしないとね。1頭1頭違って個性があるから難しいけど、28年の騎手生活の経験を生かせたらいいなと思っています。

でも馬って難しいよな。同じってことは絶対にないからね。とにかく僕一人で頑張ったって何もできない。今までも馬に関わった人みんなに感謝したし、良い経験をさせてもらったことに対し、これからはそれに応えていけたらいいなと思ってます。河内先生には、騎手時代も数え切れんくらい教えてもらったし、これからもお世話になると思う。尊敬する大先輩ですね。先輩だけではなく、若い騎手の良いところや同年代の仲間の良いところも吸収していきたいと思ってます。

常石 :ワー、すごいですね。第1回ドバイワールドカップに出場しているんですか? もうすぐありますよね。今年はジェンティルドンナが出走予定ですよね。ドバイでは確か11頭立ての6着でしたよね。どんな感じでしたか?

石橋 :今みたいにきれいじゃなかったな。ダート2000mの競馬でしたよ。ドバイへ行くのも時間がかかったね。大きな経験をさせてもらいました。行きたくてもなかなか行けないもんね。あの時に勝ったJ.ベイリー騎手はドバイで4回も優勝しているすごい騎手なんですよ。世界の壁はまだまだ分厚いです。

あの馬、ライブリマウントは1995年度JRA賞最優秀ダートホースに選ばれたんですよ。この間のフェブラリーS(GII時代)も帝王賞も勝っています。ダートでは強かったな。確かまだ元気で乗馬クラブにいると聞いているんだが?

常石 :ハイ。にいかっぷホロシリ乗馬クラブに元気でいるそうです。1996年に日本で始めてドバイへ行った騎手と馬ですから、歴史を作ったすごい長寿馬ですね。

ダービーのウイニングラン

ダービーのウイニングラン

石橋 :まあぁ(照笑)。すごいことはないと思うけど、良い経験をさせてもらいましたね。馬が元気でいてくれるのは嬉しいです。メイショウサムソンもそうですね。母は未勝利馬だったので地味な目立たないタイプでした。3歳になってからスプリングSで重賞初制覇したことから皐月賞の出走権を手に入れ、持ち味の粘り腰でクラシックの栄冠を手に入れられたんですよね。

騎手22年目にしてやっとGIを勝つことができましたね。もう騎手では無理かと思ってました。さすがにダービーを勝った時は、感無量やったな。この歳でダービージョッキーになれるとは思ってもみなかったことですしね。三冠をかけた菊花賞は残念でしたが、春の天皇賞も勝つことができ、メイショウサムソンには騎手として最高の思いをさせてもらいましたね。

また、瀬戸口先生にも感謝しています。境先生にもお世話になりましたね。同じ厩舎からは藤田騎手がいます。あいつは昔から研究熱心で上手く乗っていたので活躍すると思いましたね。

常石 :騎手を志したきっかけは?

石橋 :父が厩務員をしていたので、自然と馬といつも一緒の生活をしていました。でも父は特に騎手になれとも言わなかったし乗馬はいつでもできるからと言って、ちょっと体が弱かった僕に水泳を勧めてくれたんです。水泳では県大会まで行きましたよ。騎手になりたい思いはあったので競馬学校に入ったんです。同期は、さっきも言ったけど須貝先生と柴田善臣騎手もいて、みんなすごい人ばかりですね。

常石 :調教師になられてこだわっていくことってありますか?

石橋 :騎手の時もやっていたんだけど、道具を大事にしてきました。ものを大事にすることは全てにつながると思うんです。鞭もだけど、馬も大事な持ち物と言うか、預かりものなんですよね。だからものを大事にすることは大切に扱うことになる。そんな厩舎作りをしたいと思っています。

常石 :すごい! それって基本ですよね。そこから全て始まると思います。でも今の僕には耳が痛いですよ。自慢にしてはいけないんですが、大事なものでもすぐに置き忘れてしまうのでいつも反省です。ぼくも石橋さんを見習ってものを大事にしていきたいと思います。

石橋 :調教に行って山に馬忘れてきたら大変やな(爆笑)、つねちゃん。

常石 :ハ、ハイ(笑)。ちょっとしたことがつながっていくんですよね。厩舎カラーってもう考えているんですか?

武豊騎手とのツーショット

武豊騎手とのツーショット

石橋 :いえいえ、まだそんなところへ行き着いてませんね。

常石 :石橋さんと言えば調教の時に茶色とオレンジカラーのジャンパーを着ていて、茶色とオレンジのコントラストのイメージがあるんですが、よく似合っていますよね。僕からのお願いですが、そんなカラーにしてください。そうしたら調教の時もすぐに見つけられます!

石橋 :まー、考えとくわ(笑)。

常石 :ありがとうございました。貴重なお話をいっぱい聞けて勉強になりました。開業の時はまた取材をお願いします。今度はステキな奥さんとお嬢さんのことも教えてくださいね。

 第1回ドバイか…すごい体験をされていますよね。豊さんも尊敬する騎手とおしゃっていましたからね。石橋騎手の偉大さを(今頃?)改めて実感…反省です。常石勝義ことつねかつでした。[取材:常石勝義/栗東]

◆次回予告
次回のゲストは、戸崎圭太騎手と共に地方から中央に移籍した岡田祥嗣騎手。JRA騎手試験9度目の挑戦で晴れて合格した、41歳のルーキー。その念願のデビュー週に、赤見千尋さんが直撃します。JRA騎手になったお気持ちと、3月いっぱいで廃止が決まっている地元福山競馬への思いとは。公開は3/5(火)18時、ご期待ください!

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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