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福島牝馬S

  • 2013年04月19日(金) 18時00分
 今年で10回目。まだ歴史の浅いローカル重賞だが、1月の京都牝馬S1600mを出発に、中山牝馬S1800m、阪神牝馬S1400m。そして5月のGI「ヴィクトリアマイル」1600mと続く春の古馬牝馬シリーズは、すっかり定着した。

 もう、同じ1800mの中山牝馬Sとの深い関連は知られる。過去9年、うち7回までの勝ち馬が3月の中山牝馬Sに出走していた馬。このシリーズが完全に定着した最近5年に限ると、連対馬10頭は、すべて中山牝馬Sに出走していた馬によって独占される。

 コースも斤量も微妙に異なるから、中山牝馬Sの結果がそのまま再現されるなどということはない。しかし、過去9年、中山牝馬Sを「1〜3着」に好走した直後にこのレースに出走してきた馬は[5-1-2-4]。荒れるのがパターンの牝馬限定重賞とすると信頼度は非常に高い。6歳のいま、意識的に少し体を絞って絶好調と思えるマイネイサベル(父テレグノシス)と、春になってまた今年も調子を上げてきた昨年の勝ち馬オールザットジャズ(父タニノギムレット)。強く結びついている中山牝馬Sを1着、3着してきたこの2頭の評価を下げるのは、賢明ではないだろう。

 伏兵は存在するが、別路線からの期待の注目馬アロマティコ(父キングカメハメハ)もとても凡走する力関係とは考えられない。この上位3頭をどういう順位付けにするかが、このレース最大のテーマだろう。ローカル福島の牝馬限定戦で、人気の3頭に傾斜するなど出発点からして間違っている危険もあるが、三つ巴戦としたい。

 主軸はオールザットジャズ。昨年のこのレースが444キロの馬体重で、行きたがるのをなだめるように進んで4コーナー先頭。1分46秒1。それを思い起こすと前回の中山牝馬Sの470キロは成長を考慮しても余裕残りだった。レース前からチャカついて、かなり行きたがりながら4コーナーすぎに先頭。1000m通過61秒3の流れは楽でも、道中のスタミナロスが大きかった気がする。

 うまくタメを利かせたマイネイサベルに一気にかわされ、0秒2差をつけられたが、今度はまず完調に近い状態で斤量は2キロ減の54キロ(昨年と同じ)。同じ56キロだったマイネイサベルは今回も56キロ。マイネイサベルのデキの良さも際だっているが、おそらくスローに近い流れの福島1800m。早めにスパートできる自在性で上回る。オールザットジャズを頭にする。

 マイネイサベルと、昨秋の秋華賞3着のアロマティコを互角評価の2番手。4歳アロマティコは初コースになるが、似たコース形態の小倉1800mは2戦2勝。上がりは33秒3と、33秒2だった。母のナスカは、オーバーザウォール(福島記念)、サンバレンティン(福島記念、七夕賞)、インティライミ(京都新聞杯、京都大賞典など重賞3勝)の妹。平坦一族として名高いレディチャッターのファミリーだから、福島が合わない理由などない。福永騎手はここを勝つと、JRAの10場での重賞制覇が達成される。だから、福島にきた。

 3連単。オールザットジャズから、相手をマイネイサベル、アロマティコの2頭に絞った2通りが本線。もう一枚、オールザットジャズから、2着をマイネとアロマティコの2頭。3着にアカンサス、トーセンベニサクラ、オメガハートランド、ミッドサマーフェアの4頭を入れた8点を少し追加し、馬連が押え馬券。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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