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道営ホッカイドウ競馬、旭川へ

  • 2003年06月30日(月) 19時43分
 4月に門別競馬場で開幕した道営ホッカイドウ競馬は、札幌開催がこのほど終了し、いよいよ今週から旭川競馬場へと舞台を移す。ナイター開催に売り上げ回復を賭けて、待ったなしの状況だ。

 今年度の道営ホッカイドウ競馬は、門別開催が4日間で3億2526万円(対目標額71.9%)、その後の札幌開催でも27日間で36億2278万円(対目標額94.0%)と、いずれも計画を下回っている。とりわけ、門別開催のつまづきが響いた形で、今年度売り上げ目標の111億2810万円に対し、現在のところ91,9%の成績に終っている。ただ、札幌開催になってからは、計画に対する売り上げ実績がかなり接近してきており、何とかこのまま旭川で盛り返したいというのが関係者の悲願でもある。

 去る6月26日には、札幌開催の最終日に合わせて静内町より240人が大型バス7台で応援ツァーを組み、札幌競馬場を訪れた。静内町や静内農協、町消費者協会など16団体で構成する実行委員会がこのツァーを企画。会費500円でお弁当とお茶、予想紙までついているお得なツァーだったというが、6割が女性で、しかも馬券の買い方を知らない人が少なからずいたことから、行きのバスの中ではスタッフが「競馬教室」を開いて参加者にレクチャーする場面もあったという。平日の昼間に開催する地方競馬の最大の泣き所がこういうところなのかもしれない。

 また、このツァーの募集は予めAコースとBコースに分かれており、Aコースは従来通りの競馬場直行、Bコースは札幌JRタワー見学後に競馬場へ赴くという二本立てだったそうである。その結果、応募は圧倒的に後者が多く、ほぼ2対8くらいの割合になったのだそうだ。

 これまで競馬とはまったく無縁だった人々を競馬場まで連れて行ったという点では評価できるかもしれない。スタッフが計20人も動員され、競馬場に到着してからも競馬場初体験の人々を様々な形でサポートし、何とか新たな道営ファンを掘り起こしたいという熱意は伝わってくる。ただ、果して実効がどれほどあったのかは今後の参加者たちの定着状況を見極めなければなるまい。

 「札幌JRタワー見学」という目玉商品につられて、「本当は競馬なんて何の興味も関心もないけど、参加費は安いし、お弁当も出るっていうから行くことにした」などという人が実は少なくなかったのではないか。北海道人にとって、札幌JRタワーは、現在のところもっとも新しい人気スポットである。そこに着目したのは素晴らしい発想だと賛辞を惜しまないが、あるいは競馬場よりもJRタワーの方により多くのお金が落ちていたかも知れないのだ。

 旭川開催は7月2日より9月18日までの間に計35日間。売り上げ目標は48億4293万円。一日あたり約1億3800万円あまり。この計画を達成するためには、これまでのマイナス分を含めて、平均で1億5000万円ずつは売りたいところだ。今年から登場の三連複、三連単、馬単の効果と、ミニ場外(浦河、小樽、滝川)新設の効果が本当に現れるのは、これからの旭川ナイター開催なのだろうか。これからが本当の意味での「正念場」である。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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