同じマイルのG1マイルチャンピオンシップと比較し、安田記念のほうがずっと難解で、波乱の結果が多いことで知られるが、それにしても近年の波乱は、もう素晴らしいというしかない。
最近10年、1番人気馬の成績は【1-0-1-8】。勝った(連対した)のは、08年のウオッカただ1頭。発売されて過去8年の3連単は、5ケタの万馬券はわずか2回だけで、10万円〜40万円台の難しい結果が、6回を占めている。
人気馬の信頼性が乏しいとかではなく、1分32秒前後の、厳しくみんな苦しい東京1600mのG1になると、ちょっと苦戦と思われた伏兵まで、多くの馬が必死で1分32秒前後で乗り切ってしまうのである。
非常に厳しい内容のレースになってしまうためか、スピードレースでは断然優位とされる4歳の勝ち馬も、5歳のそれも、最近10年間ではそれぞれたった1頭ずつ。3歳馬が1頭。
ほかの平地G1ではありえないことだが、【6〜7歳】のベテラン組の成績が断然いい。6〜7歳の勝ち馬が計7頭もいるのである。さらには、過去10年、馬券に関係した30頭のうち、半分の15頭までが6〜7歳馬。それも、手が出ない超人気薄の伏兵が激走するのではなく、ちょうど取捨ボーダーの5〜9番人気くらいの伏兵が揃って快走するから、結果として、難しい買いにくい組み合わせが成立してしまうのだろう。この波乱のパターンを信じるなら、したたかな6〜7歳馬を再評価したほうがいい。今年、6〜7歳馬はわずか4頭しかいない。2ケタ人気の伏兵は台頭していないので、別に人気が走るわけではないが、波乱のパターンを取り入れるなら、要注意はダークシャドウと、グロリアスデイズとなる。
厳しい東京のマイル戦。少し距離が短いのではないかと思わせる、1800〜2000mに好内容を持つ馬が怖い。ショウナンマイティから入りたい。初の1600mのわりにちょっと売れ過ぎの気もするが、前回の大阪杯の内容は光る。スローでレースバランスは【61秒5-57秒5】=1分59秒0。後半1000mは勝ったオルフェーヴル以下みんなが猛烈に加速したが、最高の加速をみせたのは、ショウナンマイティ。推定【56秒9-44秒3-32秒9-11秒1】だった。
瞬間の切れ味で上回ったとかではなく、珍しく前面に押し出したスピード能力と考えたい。ファミリーに必ずしもスピード色が濃いわけではないから、このところ、アユサンの母の父、キズナの母の父として日本での評価を取り戻しているストームキャットの影響力かもしれない。昨年の宝塚記念3着は総合力。鳴尾記念の上がりも32秒9だった。マイルは初めてだが、距離1800mは【2-2-0-0】。総合スピードで対応できると期待したい。
グランプリボスの評価は下げる理由がなく、連の軸となるのは昨年2着、人気のグランプリボスだろうが、なぜか1番人気馬は魅入られたように凡走が多い。ショウナンマイティと互角評価は、マイル戦が初めてのもう1頭、前出のダークシャドウ。こちらは、東京の秋の天皇賞2000mの1分56秒2が光る。トップスピードに乗る際の反応がちょっとにぶいが、追い出しての迫力はこの組み合わせなら、最上位ランクである。続いて、
小柄な馬体に58キロはちょっと心配でも、デキの良さが光るダイワマッジョーレ。ダノンシャーク、サダムパテック。
押さえに、ロードカナロア、カレンブラックヒルとしたい。