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「すべてのレースを次の1勝に」川田騎手ご指名対談〜国分恭介騎手編(2)

  • 2013年06月12日(水) 18時00分
競走馬の変化に伴い、鐙の長さをグッと伸ばしたという川田騎手。恭介騎手もまた、自分にとってのベストに出会うべく、いろいろと模索中だそうですが、「正解が見つからないんですよね…」と、少々行き詰まっている様子。そんな恭介騎手に川田騎手がおくった深〜いアドバイスとは!? 

■負けたレースから何を得るかが大事

──川田さんは、競走馬の変化に合わせて鐙を16〜17cm伸ばしたということですが、恭介くんは今、チャレンジしていることはありますか?

恭介 僕も年明けに少し、鐙を長くしたんです。それまでの長さでは、引っ張ったときにどうしても体が後ろにいってしまうので、どうしたらいいかといろいろと考えまして。鐙の形もいろいろあるので、ひとつひとつ試してみてはいるんですけど、コレっていう正解が見つからないんですよね。

川田 僕だって、何が正解かなんてまだわからないよ。悩みながらやってきた結果、今があるだけで、今のスタイルが絶対だと思ってやってきたわけじゃないからね。

恭介 そうなんですね。鐙の形ひとつをとっても、コレがいい!と思う日があったり、やっぱり違うな…と思う日があったり。

いろいろ試してみることも、すべて自分のためになる

いろいろ試してみることも、すべて自分のためになる

川田 それでいいんだよ。そうやって考えることも、いろいろ試してみることも、すべて自分のためになるんだから。馬は機械じゃないから、正解を出してはくれない。1頭1頭違うのはもちろん、同じ馬でもそのときによって違うわけだからね。何が正解かわからないからこそ、いろいろ試して模索して、引き出しを増やしておく。そうやって蓄積されたもののなから、無意識にベストな選択ができるようになれば、確実に勝利に近づけると思う。

恭介 なるほど…。実際の競馬でいろいろ試されてるんですか?

川田 僕たちの仕事って、1割勝てれば野球でいう3割バッターみたいなものでしょ? だからといって、最初から捨てているレースなんてひとつもないよ。でも、10回のうち1回しか勝てないなら、負けた9回で何を得るかが大事だと思うんだよね。すべてのレースを次の1勝に生かせるように。そのために、いろいろ試して、自分にとってのベストを探していく。

恭介 川田さんくらいになっても、そうやっていろいろ考えながら乗ってらっしゃるんですね…。僕の場合、正直、一戦一戦が必死なんですけど、僕らはそれ以上のことをしないと、絶対に追いつけませんね。今日、お話しさせていただいて痛感しました。

川田 なにしろ、あのユタカさんだって「巧くなりたい」っておっしゃってるんだからね。恭介はもちろん、僕たちももっともっと頑張らないと、まったく話にならないよ。

恭介 はい。もっと意識を高く持って乗ろうと思います。川田さんは、具体的にどんなことを意識して乗ってらっしゃるんですか?

川田 たとえば馬がバテて、フォームがバラバラになってしまったとする。でも、できるだけこっちに頼らせてあげて、もう少し頑張ってもらうにはどうすればいいかを模索する。ゴール前で接戦になったときに、それがハナ差にでもつながってくれればいいなって。ああ、これは勝てないわ…ってあきらめてしまったら、巧くなる機会を自分で捨てているということだから、すごくもったいないと思うんだよね。

恭介 すごいですね。常に進化を求めて乗ってこられたということですものね。川田さんは、僕から見ても人一倍負けず嫌い。人に対してだけではなく、自分に対してもそうなんでしょうね。

──みなさん負けず嫌いだと思いますが、そのなかでも川田さんはとくに?

恭介 一緒に競馬に乗っていたらわかります。競馬って、すごく性格が出ると思うので。たしかにみなさん負けず嫌いですが、なかでも川田さんは抜けてます(笑)。

川田 自分でもズバ抜けてると思う(笑)。着順にかかわらず、すぐそばにいる馬は絶対に捕まえてやろうと思う。ああ、もうダメだ…って、気を抜くことができないんだよね。自分の馬に手応えがなくなって、ズルズルと下がっていきながらも、絶対に後ろの馬にはかわされたくない(笑)。

──そういう川田さんの気持ちは、ファンにも伝わっていますよ。すごく大事なことだと思います。

お話を伺っていて思ったのは、川田さんは…

お話を伺っていて思ったのは、川田さんは…

川田 勝負の世界ですからね。ひとつでも着順を上げることが僕たちの仕事ですから。

恭介 今日、お話を伺っていて思ったのは、川田さんはすごく器用で、頭がいいです。僕、すごく不器用なんですよね…。何をするにもすごく悩むし、決断するまでに時間がかかるし。新しいことを覚えようと思っても、人一倍時間をかけないと覚えられないんです。川田さんはそういう経験ないですよね。

川田 僕も簡単に覚えられないことはたくさんあるよ。頭のなかでイメージできないことは、体でも表現できない。こういう動きをしたいっていうイメージを頭のなかに刷り込んでいって、その動きを頭で理解できるようになって初めて、体で表現することができる。だから、イメトレは、すごく大事なんだよね。

【次回のキシュトーーク! は?】
 トレーニングをして、過去のVTRを見て、またトレーニングをして……。そんな競馬漬けの毎日を送っているという恭介騎手が、「気になって仕方がない」という川田騎手のプライベートに迫ります!

元祖「キシュトーーク」のレギュラー陣、国分恭介、国分優作、松山弘平、川須栄彦、高倉稜を中心に、栗東・美浦・地方からも幅広く、これからの競馬界を担うU25の若手ジョッキーたちが登場します!

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