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第30回 うれしはずかし土浦行きの巻

  • 2013年08月05日(月) 18時00分
(ここまでのざっくりとしたあらすじ)
柏木さんとの特訓

柏木さんとの特訓

「必勝法を見つけた!」という1通のメールがきっかけで始まった、ひとりのサラリーマンの泣き・笑い満載の馬券ドキュメント。当企画の主人公のオオヤブは、毎回ネット競馬のサイト『netkeiba.com』から馬券のヒントになるものを探し出し、それを元に手を変え品を変え、馬券を購入するという方法をとってきたが、春の青葉賞の会心ヒットを境に大スランプに突入。以降、オオヤブの買い方は迷走をはじめ、完全に自分を見失ってしまう。業を煮やした編集部はオオヤブにコーチをつけることを画策。6月は日刊競馬の看板評論家・柏木集保氏の協力もあり、久々のヒットを連発。リズムよく7月の実戦に挑むことになった。


6月の実戦で久々に的中本数を大幅に増やし、馬券100本ノックのノルマまであと半分となったオオヤブ。7月の実戦もこの調子で行ってほしいと、再び臨時コーチの投入を編集部が決断。コーチの特訓を受けるため、はるばる茨城くんだりまで足を伸ばすことになったオオヤブだったが……。


◆そもそもこの企画はオオヤブが勝てるっていうから始めたのに……

 ヤクルトのバレンティンや横浜のブランコのように大ホームランを連発してくれるならいいが、広島のランス(←古い?)のような大扇風機ぶり+川相の送りバントのような超堅い的中ばかりで、このところまったくいいところなしだったオオヤブ。というわけで、6月の実戦日には特別コーチとして日刊競馬の柏木集保氏を召喚。その威力たるやバハムート以上で、オオヤブは柏木さんのアドバイスによって複勝5000円超という馬券をゲットし、返す刀で最終レースも的中させ、「馬券100本ノック」としては久々に満足のいく結果に終わった。でも、そもそもこいつをここまで甘やかしてやることはないのだ。なんたって最初こいつは編集部に、

『netkeiba.comのコンテンツを使った必勝法をついに見つけてしまいました! この必勝法さえあれば、毎月3万円のお小遣いでも遊び放題ですよ、たぶん……フ・フ・フ』

 と、連絡してきた男なのだ。それが今やどうだ。牙を抜かれたライオン、借りてきた猫、情事に踏み込まれた矢○真理のように、まるで覇気が感じられない。結果が出なくて悔しがるのは競馬場でだけで、飲みに行けばまるで「ビッグダディ」のように、

『俺はこうだ。俺はこうだよ。俺はこういう人間だ。俺はこういう人間。これ以上のものもないし、これ以下でもない。俺はこういう人間!』

 な〜んて開き直る始末。一応、必勝法を考案して競馬に臨んでいる以上、馬券師の末席、というか立ち見席ぐらいのポジションにはいるんだから、そこはやっぱり忘れてほしくないもの。

『そうでした、そうでした。僕には最初必勝法が確かにあったんですよ。それがどういったものか、もう忘れてしまいましたが、それを使っていれば月3万円の小遣いで毎週馬券を買っていても大丈夫だったんですよ。あれ〜? 記憶が、記憶がぁ〜! 思い出そうとすると頭がガンガン痛む。ひぃ〜』

 って、お前はメロドラマの記憶喪失野郎か! つーか、もう何をすればいいのか、わからなくて迷走してるんだよな。でもそんなときこそ初心に返るという手もあるんだが。

『もうやり方まったく覚えてませ〜ん。バックナンバー読んでも思い出せませ〜ん』

 じゃあ、「馬券100本ノック」はこのまま「シロート馬券道場」でいるしかないのだろうか? このボタンの掛け違えをオオヤブに修正してもらわねば、うちとしてもチト困る。というわけで、オオヤブに目をバッチリと覚ましてもらおうと、2か月連続で特別コーチを用意することになった。

◆オオヤブの愛読新聞の超有名予想家を特別コーチとしてピックアップ!

 そういえばお前さあ、柏木さんに勝たせてもらったから、これから新聞は「日刊競馬」にするんだっけ?

『いやいやいや、日刊競馬は確かにいいですよ。でも僕はしがないサラリーマンですから、やっぱり東スポ。130円で全場の馬柱があるんですからオトク、オトク』

 やはりな。でも全場の馬柱というより、中面のカラーページが目当てのような気もするが。

『そりゃ、もちろんですよ! かの「男セン」は正々堂々と電車内で読むのが快感ですね。僕は周りの目は気にしませんし。ホント、あの街頭淫タビューは超傑作企画ですよ。事実はAVより奇なりですよ』

 というわけで、今月はその東スポから臨時コーチを召喚しといたから。

『ま、まさか男センの2代目酒乱記者ですか? それとも岩谷テンホー大先生?』

 競馬だよ、競馬。以前、東スポの本紙をしていた「馬匠」の渡辺薫さんだ。柏木さんからのテレフォンショッキングというか、渡辺さんも元日刊競馬で柏木さんと同じ昭和23年生まれ。コーチを快く引き受けてくれたよ。にしても、昭和23年ってのは競馬予想界では知る人ぞ知る黄金世代、「花の23年組」だって知ってた? 渡辺さんや柏木さんの他に、清水成駿、井崎脩五郎と、まさしくキラ星のようなラインナップなんだぞ。

土浦にやってきた

土浦にやってきた

『ひやあ渡辺さんですか。実は僕、独身時代からずっと東スポを使ってるんで、もちろん本紙だった渡辺さんはよく知ってます。僕には本紙なのにかなり攻めていたイメージがありますね。渡辺さんのぽっつん△は怖いとか。でも楽しみだなあ。今週末に一緒に実戦できるんですねえ』

 あっ、一緒に実戦は無理なんだわ。でも馬券のコツや、東スポの使い方は“これから”教えてくれるってさ。なんで、これからすぐに土浦まで行って、虎の穴へ飛び込んでおいでっ! 渡辺さん、厳しいって評判だから、しっかりと教わって、がんがんにアルコール漬けになってちょーだい。で、今回は鍛えてからひとりで実戦ね。

◆女子高生の大群に飛び込んでいくオジサンたち……目立ち過ぎだっ!!

 まだ夕方前だというのに、もうサキイカとアルコールと消毒液の匂いが充満している常磐線に揺られながらの土浦行。一応エチケットとして競馬開催前日でもないのに東スポを購入し、帰宅途中の女子高生がウジャウジャいる中で、男センを熟読しているオオヤブ。

『今日は虎の穴に飛び込むより、桜町にチン入したいっす』

東スポの渡辺さんだ!

東スポの渡辺さんだ!

 と、女子高生のお隣でセクハラ発言。土浦駅に着くと、待ち合わせ場所に馬匠・渡辺さんが颯爽と登場。でも「虎の穴(居酒屋)」に突入するには時間がまだ早い。ひとまず渡辺さんと共に駅ビルのフードコートへ。大勢の高校生の中で浮きまくっているふたりだが、渡辺さんは「麦」の前に「コーラ」で炭酸ウォーミングアップ。

「あらためて今日はよろしく。君が馬券のコツを聞きたがっているオオヤブくんか。へぇ〜、東スポしっかり持ってるねえ。柏木に聞いたけど、なかなか興味深い買い方をするらしいね? 単勝3頭買いだっけ?」

ダメ出しをいただく

ダメ出しをいただく

『はい。でも柏木さんに懺悔の神様のような大ダメ出しをいただきまして。新たな買い方を模索中です。というより、僕なりの必勝法を早く作り上げないといけないんです』

「うん、確かに単勝3頭買いはダメ。全然ダメ。柏木に何を聞いたかわからないけど、今日はみっちりと教えてあげるから。あっ、オオヤブくんって日本酒イケる口?」

『男センと日本酒は、何よりの大好物ですっ!』

死亡フラグ立ったな、オオヤブ……。

現在の馬券的中数 50本
ゴールまで残り 50本

「東スポの奥義」習得なるか!

「東スポの奥義」習得なるか!?

【次回予告】
 こうして土浦での濃密かつ長い夜がスタート。オオヤブは無事に東スポの奥義を習得することができるのか? それとも桜町で生まれたままの姿をさらすハメになるのか?




【馬券100本ノックのルール】
・netkeiba.comのコンテンツを使って馬券を的中させれば『1本』。馬券の種類は問わない。
・万馬券であれば1本プラス、10万馬券ならば10本プラス。
・100本に到着するまで本企画は終わらない(不人気で連載終了の可能性は僅かにあり)。
・馬券を購入できるのは月に1日。どのレースを買ってもいいが、重賞は必ず買う。
・購入資金はオオヤブのお小遣い3万円以内。足りなくなったら・・・・・・

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【主役:オオヤブ】 妻子持ちの36歳。一応、雑誌・書籍の編集業に携わっている。若かりし頃にイギリス留学経験もあり、ニューマーケットで馬券の研さんを積んだ、なんてことはまったくない3度のメシより競馬好き。ギャンブル全般に造詣が深いと本人は思っているが、周囲の見方は単なる「下手の横好き」。

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