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第31回 東スポの馬匠、熱く語る!の巻

  • 2013年08月12日(月) 18時00分
(30回までの超ざっくりとしたあらすじ)
臨時コーチの東スポ・渡辺薫氏

臨時コーチの東スポ・渡辺薫氏

「必勝法を見つけた!」という1通のメールがきっかけで始まった、ひとりのサラリーマンの泣き・笑い満載の馬券ドキュメント。当企画の主人公のオオヤブは、毎回ネット競馬のサイト『netkeiba.com』から馬券のヒントになるものを探し出し、それを元に手を変え品を変え、馬券を購入するという方法をとってきたが、春の青葉賞の会心ヒットを境に大スランプに突入。以降、オオヤブの買い方は迷走をはじめ、完全に自分を見失ってしまう。業を煮やした編集部はオオヤブにコーチをつけることを画策。6月の日刊競馬の看板評論家・柏木集保氏に続き、7月は東スポの渡辺薫氏を臨時コーチを迎え、馬券修行に臨むことになったのだが……。


日刊競馬の柏木集保氏に続き、オオヤブへの特別コーチとして招へいしたのは東スポの馬匠・渡辺薫氏。東スポで長年本紙予想を務めてきた超実力派、という説明をするのもおこがましい大物だ。けど、たかがオオヤブのためにここまでしてやることあったのかな。



◆予想のコツを聞く予定なのにいきなり人生相談かよ!?

『いやあ、東スポユーザーにとっては神、神セブンですよ、渡辺さんは。そんなまゆゆ、いやいや渡辺さんに馬券のコーチをしていただけるとは。僕は果報者です!』

 うれしいのはわかるが、冗談にもほどがあるっつーの。舐めとんのかっ!

「じゃあ、これから一杯やりながら、いろいろ話をしようか」

 という、優しい渡辺さんの一言で、女子高生まみれで完全に浮いた存在になっていた土浦駅ビルフードコートを離れて近くの居酒屋へ。行きの電車で男センを頭に擦り込んでいたオオヤブの目線が桜町(北関東有数の男の娯楽スポット)方向にチラッと向いたことはこの際置いといて、男と男の汗臭い「つゆだく」馬券教室がスタートした。

「オオヤブくんはさあ、ふだんの何を元にして予想をしてるの?」

『この企画(馬券100本ノック)ではnetkeiba.comのサイトを使っています。当該レースの出走メンバーの調教評価と厩舎コメントを参考に、あとはそのレース条件での各騎手の過去の成績を見て買う馬を決めます。結局、馬の調子と、レースと騎手の相性が予想のポイントでしょうか。でも、ホントにnetkeiba.comの情報って、すごく参考になるんですよ。あっ、これ宣伝でも何でもなくですねえ……』

「ふ〜ん、そうなんだ。でもそう君が言うんだからすごく使えるコンテンツなんだろうね」

『そうなんですけど、最近自分の予想に限界を感じてまして。その優良な素材を川越シェフのように、うまく料理できないんです。もっと当ててオオヤブ・スマイルといきたいんですが』

人生相談みたいに…

人生相談みたいに…

 まるで人生相談みたいになってるな。渡辺さんは「土浦の母」か!

「オオヤブくんの使っている新聞って東スポなんだろ。自分で言うのもなんだけど、東スポはかなり使える新聞だよ。まあ、どうせオオヤブくんは馬柱しか見てないだろうけど」

『でも、130円で全場全レースの馬柱が見られる東スポは、僕のような女房子持ちで小遣いを制限されている人間には強い味方なんですよ』

「そうそうそれも東スポのウリ。けど隅々まで読むと、予想の参考になる情報がギュッと詰まっているのも東スポ。それをこれから教えてあげるから、オオヤブくんの予想の役に立ててよ。絶対に参考になるよ」

 確かに、せっかく東スポを使っているんだから、出走表と男セン、芸能人イニシャルトークだけ見ていたらもったいない。それに、硬直したオオヤブの予想をほぐすためにも、予想する材料が増えるのはいいことだ。

◆これは必見! 馬券を当てたいなら東スポはこう使え!

 ガソリンを注入したふたりは絶好調。渡辺さんは、さっそく東スポの使い方をオオヤブにレクチャー。アツアツの唐揚げが気になるオオヤブだったが、お預けをくらった犬のようにヨダレを溜めながら、必死でメモを取りまくっている。

東スポの「調教情報」は信用していいぞ

東スポの「調教情報」は信用していいぞ

「東スポ競馬といったら「データBOX」、「馬券の急所」、そして「調教情報」は絶対に外せないBIG3だぞ。馬柱の横にあるデータBOXと馬券の急所は、そのまま見たり読んだりしてくれれば、それだけで予想の参考になる。馬柱の下の調教情報は時計の良し悪しがわからなければ採点を見ればいい。採点は6点が標準で、7点が優秀。ところがたまに8点という馬がいる。この8点の馬は抜群に調子がいいんだ。長年調教を見ている現場のプロが採点しているんだから、これは信用していいぞ」

『調教はnetkeiba.comでフォローしてきたので、あまり見てませんでした。調教で8点をとった馬ですね。これは覚えとこ』

「それと「対戦成績」も使えるぞ。出走各馬の過去の対戦成績がわかる便利な表で、相性や力関係などを計るのに便利。あと東スポには総勢28人の記者がいるけど、コラムならあれか、馬券野郎の虎石は勢いがあるし、人気もあるよなあ。それと平林による「逆襲・武豊」も、読んどいたほうがいいぞ。復活してきた武豊は、これから注意が必要だしな」

 黄色いガソリンを入れまくりで燃費の悪いふたりだが、いよいよ調子が乗ってきて、ここでハイオク(日本酒)にチェンジ。にしても、渡辺さん、ホント懇切丁寧にいろいろと教えてくれる。こりゃあ、今回の馬券100本ノックは、オオヤブだけじゃなく、東スポユーザー全員の参考にもなる。つーか、オオヤブも口のまわりを油まみれにしてないで、何か質問しといたら?

◆一度切れてしまった流れを取り戻すのは難しい……

『どの馬券で買えばいいのか柏木さんにも教わったんですが、渡辺さんはどの馬券を買えばいいと思います』

「君が単勝を3頭買うように、競馬ファンが単勝を買うのはすばらしいことだと思うよ。でも競馬はスポーツでもあるけどギャンブル。俺は3連単が発売されてからは、3連単が主流だな。これと決めた馬がいれば、その馬を1頭軸にしてフォーメーションやマルチで買う。でも紙上で無印にした馬は買わないよ。だって買えないと思ったから印を回さなかったんだし、それくらい自分の目には自信を持っているからな。レースでそうした馬が飛んでくることはあってもその理由がわからない(笑)」

 まあ、渡辺さんがそうできるのも、長年のキャリアで培った自信があるからこそで、青いケツの若輩者のオオヤブが渡辺さんの真似をしても火傷するだけかもなあ。

いい流れは切らないように!

いい流れは切らないように!

「一時、3連単は自分のために存在するんじゃないかと思うぐらい当たりまくったときがあってさ。もう何買っても当たるんだよ。ホントに蔵が建つと思ったよ、あの時は。でも絶対これ!って思っていた馬券を買い損ねて、それが案の定当たってたんだよ。それから流れがパッタリ。買えば外れる、買わなければ当たるでどうしようもなくなって、1年以上苦しんだ。だからいい流れは切らないようにしないとな。難しいけどさ」

『僕も昔、モテ期があったんですけど、ちょっといいなって思ってた子から告白されて断っちゃったんですよ。うぬぼれてたというか、もっと理想の子が現れると思って……。それからモテなくなったんですよ。そんな感じでしょうか?』

 そりゃ違うだろ。それはそもそもお前の人間性の問題だって。

「まあ、オオヤブくんはオリジナルの予想システムをこれからちゃんと作ることだね。俺は毎週全レース見て、インパクトのあるレースをした馬をチェックしてそれをパソコンにA〜C評価して打ち込んでいる。まあ、他にも打ち込む要素はいろいろあるんだけど、そういう自分なりのシステムを作っている。人の記憶なんて定かじゃないし、こうしていちいち打ち込んでいけば、馬の特性を忘れることもない」

『渡辺システムですね。僕も何か考えようかな。でも今週作ろうとしても無理なんで、渡辺さん、今週のオススメの一鞍教えてください。土曜日、連絡しますから!』

 と、酔っ払った勢いで、キャバ嬢並みのおねだりに出るオオヤブ。まったく厚かましいが、

「いいよ。責任重大だけど、出馬表が出た段階で今日イチ教えるよ。でも、俺最近予想の調子よくないんだよな」

 いい人だ。本当にイ〜イ人だ。そしてこのコーチングあり、競馬界の激アツトークありの濃密な時間はあっという間に過ぎた(約1時間半)。ホント、渡辺さんは競馬が大好きなのだ。そして自分の印に誇りとプライドを持っている。まさにプロ中のプロ。その渡辺さんは明日早くから仕事で、「残念ながらここでお開き」とのこと。そんなところもプロそのものである。で、オオヤブはというと、「じゃあ、僕はこれで。フフフ」という言葉を残し、妖しいネオンの中に消えていった。酒飲んで“朝まで生テレビ”とはいい度胸である。こんなことじゃ、オオヤブ・システムの完成はかなり先の事になりそうだ。週末の馬券代、ボッタくられんなよ!

渡辺さんの教えを活かせるのか!?

渡辺さんの教えを活かせるのか!?

【次回予告】
次回はいよいよ渡辺さんの教えを元に実戦に突入。東スポとnetkeiba.comをミクスチャーさせ、さらに渡辺さんのオススメ馬を聞いたオオヤブは自信満々だったが……。




【馬券100本ノックのルール】
・netkeiba.comのコンテンツを使って馬券を的中させれば『1本』。馬券の種類は問わない。
・万馬券であれば1本プラス、10万馬券ならば10本プラス。
・100本に到着するまで本企画は終わらない(不人気で連載終了の可能性は僅かにあり)。
・馬券を購入できるのは月に1日。どのレースを買ってもいいが、重賞は必ず買う。
・購入資金はオオヤブのお小遣い3万円以内。足りなくなったら・・・・・・

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【主役:オオヤブ】 妻子持ちの36歳。一応、雑誌・書籍の編集業に携わっている。若かりし頃にイギリス留学経験もあり、ニューマーケットで馬券の研さんを積んだ、なんてことはまったくない3度のメシより競馬好き。ギャンブル全般に造詣が深いと本人は思っているが、周囲の見方は単なる「下手の横好き」。

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