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第34回 競馬界の大魔王現る!の巻

  • 2013年09月02日(月) 18時00分
(第33回までの超ざっくりとしたあらすじ)
大敗を喫す

大敗を喫す

「必勝法を見つけた!」という1通のメールがきっかけで始まった、ひとりのサラリーマンの泣き・笑い満載の馬券ドキュメント。当企画の主人公のオオヤブは、毎回ネット競馬のサイト『netkeiba.com』から馬券のヒントになるものを探し出し、それを元に手を変え品を変え、馬券を購入するという方法をとってきたが、春の青葉賞の会心ヒットを境に大スランプに突入。以降、オオヤブの買い方は迷走をはじめ、完全に自分を見失ってしまう。業を煮やした編集部はオオヤブにコーチをつけることを画策。6月の日刊競馬の看板評論家・柏木集保氏に続き、7月は東スポの渡辺薫氏を臨時コーチに迎えて馬券修行に励んだものの、大敗を喫してしまったオオヤブであった。


大物臨時コーチを次々と招聘して馬券特訓するものの、なかなか結果が出せないオオヤブ。でもまあ、今が一皮むけるチャンスだし、秋競馬に向けて夏場は特訓あるのみ! 仏の顔も三度まで、二度あることは三度ある、三度目の正直、ってなわけで、8月は3人目の大物競馬評論家を急きょ招聘してみました!


◆猛暑の中で過酷な私生活を営むオオヤブはヘロヘロ

 8月某日、世の中はお盆休みに突入してバカンスモードだというのに、本日は年がら年中脳ミソがバカンスモードのオオヤブと次回の「馬券100本ノック」の打ち合わせ。だが、外はうだるような暑さ。大汗をかいて現れたオオヤブは顔に生気がないし、覇気もまるで感じられない。まさか熱中症!?

『6月は日刊競馬の柏木さん、7月は東スポの渡辺さんから特訓を受けたじゃないですか。でも、まったく結果が出なくって、これで100本ノックは5月から3連敗。一応、お二人の教えは身になっているとは思っていますが、うまく消化しきれていないというか、生みの苦しみといいますか……。何かきっかけがあれば、僕、スーパーサイヤ人級に大化けすると思うんですよね』

 スーパーサイヤ人というより、ミスターサタン級のハッタリのようにも思えるが、己がこれまで作り上げてきた馬券術と、柏木・渡辺両氏の予想術との「フュージョン」にどうやら相当苦しんでいるようである。

「もういろいろ考えちゃって、ついでに世界陸上の織田裕二が今年もキタァ〜! で、陸上(裕二?)も気になっちゃって夜も眠れません。しかも、僕の馬券が当たらないせいで家が緊縮財政に突入しまして……これから電気代も上がるというんで、夜は子供部屋だけエアコンを付けて、僕だけうちわか扇風機のみ。嫁にナチュラルサウナでダイエットだねっていわれても、寝汗かいた分を水分補給でビア、ビア、ビアのまたビア〜。痩せるわけねーし、寝られるかっ! ホント死ぬわ!」

 なかなか刺激的だよな、お前んち。でもまあ、馬券の当たらないお父さんの過酷さはよ〜くわかった。つっても、この猛暑の中、毎日がビールと扇風機と織田裕二のルーチンじゃバカンスモードというより、熱中症発症→天国モード一直線。というわけで、8月もまたまた臨時コーチ用意してまっせ。競馬予想界ナンバーワンのダンディ坂野、いやいやダンディな、毎日新聞本紙予想担当にしてPOG大魔王の丹下日出夫大先生を招聘しといたんで、馬券のコツをゲッツしてきなさい!

今回のコーチは丹下日出夫大先生!

今回のコーチは丹下日出夫大先生!

『うおっ、今回は丹下さんがキタァ〜! POGをやらない僕でも丹下さんはよく知ってますよ。かの井崎さんと師弟関係にあたるお方じゃないですか。しかも同郷の大先輩ですよ!』

 へぇ〜、お前と丹下さんって同郷だったっけ? そりゃ、ますます都合いいじゃん。話も合いそうだし。とりあえず、いつでもどうぞってことだったんで、今度の金曜日に府中にある丹下さん馴染みの飲み屋で「丹下日出夫の馬券虎の穴」開催決めといたから。なわけで、いってらっしゃ〜い!

『あざぁ〜す! 会場が飲み屋なんで、思いっ切り寝汗かいて、水分補給態勢バッチリ作ってクルゥ〜〜〜』


◆丹下さんとオオヤブの男二人の熱苦しい夜がスタート!

 当日、指定された虎の穴ならぬ飲み屋に行くと、そこにはテレビで見るのと変わらぬダンディな丹下さんが「おひとりさま」でさっそく一杯やっている。

よろしくお願いします!

よろしくお願いします!

「もしかして君がオオヤブくん? どうもはじめまして丹下です。なかなか楽しい企画やってるようだね。馬券100本キック、いや違うな、フックだっけ?」

『こちらこそはじめましてオオヤブです。ちなみにキックでもフックでもなく、馬券100本ノックです。横山ノックのノックです』

「あ〜あ〜そうだった。100本ノック! いやね、今回の話があったから、そのコラム読ませてもらったよ。いやはや読むも涙、語るも涙だったね。アハハハハ。で、君の予想、完全にスランプにハマってるよね」

『そうなんですよ。現状は500万で2ケタ着順続きの頭打ち状態の馬のようです。6月は日刊競馬の柏木さん、7月は東スポの渡辺さんに予想の何たるかを教えてもらって、チョコチョコは当たったんですが、派手に「キタァ〜〜!」とはならず……。今日は丹下さんにしごいてもらって、明日の100本ノック実戦に生かそうかと』

「まあまあ、教えるのはゆっくりゆっくり、まだ時間はたっぷりあるから。とりあえず飲んで、飲んで!」

 その丹下さんの優しい言葉に甘え、冷たいビアで喉を潤すオオヤブだったが、それからしばらくは馬券講義などせずに、飲んでダベってただの飲み会状態!? しかも、グラスが空になるペースが、ブロードアピールもビックリの超速ピッチ走法。「虎の穴」ならぬ「蛇(うわばみ)の穴」の様相を呈してきた。あの〜、そろそろ予想の話をしないと、このままグダグダになりそうなんですけど……。

「そうだったよね。そうそう。でもこれはこれで楽しいし、オオヤブくん同郷だし、このままただの飲み会でもいいよ。ハハハハハって、マズイかそれも。で、オオヤブくんは何が聞きたいんだっけ?」

『僕は今、netkeiba.comのコンテンツをフル活用して予想を組み立てて馬券を買っているんですけど、丹下さんの予想は何が根本になっているんですか? まずはそれが聞きたいなあ』

井崎先生が「ラップ分析してみたら?」と…

井崎先生が「ラップ分析してみたら?」と…

「昔、伊藤友康さんって人が“ラップ理論”ていうのを考案したんだけど、それが今でも予想の基本になっているかな。馬社の頃に本紙予想をすることになってさ、まあ予想なんて能書きみたいなもんだからさ、それをいうための理屈が欲しかったんだよね。で、何がいいかって考えていたら、我が社の井崎先生が『ラップ理論が一番正確だよ。丹下君もそれやれば、研究してみれば』って言うんだよ。じゃあ先生やらないの? って返したら『俺は忙しいから』って(笑)」

『それがきっかけでラップ理論を研究されたんですね』

「馬ってさ、強いとか弱いとかいうけど、それって漠然とした印象でしかないでしょ。確かな数字の裏付けとかないとダメなんだよね。誰でもわかりやすいものが記録であり、数字だから、それで予想を組み立てないと誰も納得しないし、予想にも行き詰っちゃうんだよ、たぶん」

『なるほど、数字の裏付けかあ。調教タイムやコメントを基本に予想してもダメかあ。確かに行き詰っちゃっているしなあ……。で、ちなみにラップ理論を研究する前って、どうやって予想してたんですか?』

「そりゃあカンだろ! 俺は馬を見る天才だ! ってそれだけ。ハハハハハ」

 こうして暑く(熱く?)長い丹下ナイトはまだまだ続いていくのだった――。

現在の馬券的中数 59本
ゴールまで残り 41本

翌日が実践なのだが…

翌日が実践なのだが…

【次回予告】
府中での丹下ナイトも絶好調! 丹下さんとオオヤブの白熱の予想談義はとどまることを知らず、ついには終電時間を過ぎ、もはや泥沼の様相を呈してきた。明日(今日)予定されている8月実戦にも暗雲が立ち込めていく……。




【馬券100本ノックのルール】
・netkeiba.comのコンテンツを使って馬券を的中させれば『1本』。馬券の種類は問わない。
・万馬券であれば1本プラス、10万馬券ならば10本プラス。
・100本に到着するまで本企画は終わらない(不人気で連載終了の可能性は僅かにあり)。
・馬券を購入できるのは月に1日。どのレースを買ってもいいが、重賞は必ず買う。
・購入資金はオオヤブのお小遣い3万円以内。足りなくなったら・・・・・・

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【主役:オオヤブ】 妻子持ちの36歳。一応、雑誌・書籍の編集業に携わっている。若かりし頃にイギリス留学経験もあり、ニューマーケットで馬券の研さんを積んだ、なんてことはまったくない3度のメシより競馬好き。ギャンブル全般に造詣が深いと本人は思っているが、周囲の見方は単なる「下手の横好き」。

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