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「この夏は、岩田さんからたくさん学びました」〜川須栄彦騎手編(1)

  • 2013年10月02日(水) 18時00分
今月は、昨年3月の「あいうえおトーク!」以来となる、川須騎手の単独インタビューです。函館にフル参戦したこの夏には、初めての骨折に見舞われるアクシデントが。第1回は、そこで改めて感じた焦りや、夏競馬で学んだことなど、自身の今を赤裸々に語ります。
(取材・文/不破由妃子)

■小回りでスローの道悪…函館の競馬は難しかった

──今回は、久々の単独インタビューですが、ひと夏を越して、精悍な顔立ちになられたような。少し痩せましたか?

川須 痩せてないんですけど、最近、そう言っていただけることが多いんですよね。焼けたからじゃないですか(笑)。でも、うれしいです。ありがとうございます!

──この夏は初めて北海道にフル参戦されて。約3カ月の間、みっちり函館で騎乗されたわけですが、川須騎手にとってどんなシーズンでしたか?

川須 この夏は、初めての骨折がありました。それがもう…。

──調教中のアクシデントでしたよね。胸椎圧迫骨折でしたっけ?

最初はまさか折れているとは思わなかったんですけど…

最初はまさか折れているとは思わなかったんですけど…

川須 そうです。調教中に、お尻からドーンと落ちて、骨が潰れてしまったんですよね。最初はまさか折れているとは思わなかったんですけど、なかなか痛みが取れなかったので、これは変だなと。

──でも、あっという間に復帰されましたよね? たしか、騎乗停止と合わせて、競馬は2週しかお休みしてないような。

川須 そうですね。平日も合わせると、5日間だけ休みました。体は動くし、要は痛いだけなので、我慢すれば乗れたと思うんですよ。でも、“これはちょっと迷惑をかけてしまうな”って思うほどの痛みだったので、仕方なく休んだというか。

──きちんと治さないと、長引くこともありますからね。

川須 はい。先輩や周りの方にも言われました。ただ、滞在競馬は、普段調教をつけている馬にそのまま競馬でも乗るケースが多いから、休んでいる間にほかのジョッキーが乗って、そのまま戻ってこなくなったり…。だから、早く乗りたい!っていう気持ちでいっぱいでしたね。

──そう考えると、2週間のブランクというのは大きいですよね。

川須 ホントにそうです。ほかのジョッキーが乗って権利を取ったりしたら、もう戻ってきませんからね。ましてや今年は、馬房が少ない特殊な感じだったので、余計2週間の休みが大きな出来事に感じましたね。やっぱりジョッキーは体が資本だということを実感したし、ジョッキーにとって一番怖いのはケガだなって。

──そうですよね。痛みはすっかり良くなったんですか?

川須 まだ治療には通ってますけど、もう大丈夫です。痛みもなくなりましたし。

──ところで、この夏、函館にフル参戦されたのは、なにか理由があったのですか?

川須 とくにコレといった理由はなかったんですけど、今年は上位の方たちが各地に散らばったじゃないですか(北海道組では、横山典騎手、池添騎手が新潟に参戦)。とはいえ今年は馬房も少ないし、どうかなぁとは思うところもあったんですが、半面、期待もあったので。

──函館には昨年も参戦されましたが、やはり、小倉とは競馬が全然違う?

川須 小倉はペースが速くて忙しいですからね。洋芝と野芝では、時計も全然違いますし。小倉は、少々速いペースで行っても前が止まりづらいのと、マクってくる馬がいたりなどレース中の動きも激しいんですが、函館は基本的にはスローだから、隊列が決まりやすい。単調に見えるという方もいるでしょうが、それはそれですごく難しいんですよ。

──北海道の競馬はタイトだっていいますものね。

“「怖いなぁ」と思っていた時期もあったんですが岩田さんてお話しさせていただくと、すごく優しいんですよね

“怖いなぁ”と思っていた時期もあったんですが
岩田さんてすごく優しいんですよね…

川須 今年は長かったこともあって、すごく勉強になりました。馬場がすごく悪くて、軽い走りをするような馬には厳しい年だったと思うんですが、岩田さんとかの競馬を見ていると、馬場状態が悪い小回りのスローでも、きっちり捌いてくる。やっぱり岩田さんは巧いなぁと思って、ずっと見ていました。

──いろいろアドバイスなども受けたり?

川須 はい。プライベートでも食事に連れて行ってくださったりして、丸山(元気)先輩の次に、一緒にいる時間が長かったかもしれません。そういうなかで、競馬についても自分からいろいろお聞きしたり、岩田さんのほうから教えていただいたり。ずっと間近でレースを見ていたから、とにかく岩田さんの騎乗がすごく気になったんですよ。

──岩田さんて、本当に面倒見のいい方ですよね。

川須 はい。正直、“怖いなぁ”と思っていた時期もあったんですが(笑)、お話しさせていただくと、すごく優しいんですよね。僕のような後輩にも、まったく裏表なく接してくださるし。栗東だと、みなさんご家族がいらっしゃるから、簡単に「ご飯に行きましょう!」なんて言えませんからね。ケガもあったし、成績も全然満足できなかったけど、本当に勉強になった夏でした。

【次回のキシュトーーク! は?】
以前、「僕は考えて乗ってもいい結果が出るタイプではない」と話していた川須騎手。しかし、ここにきて、ジワジワと探求心が芽生えてきたそう。次回は、そんな自身の変化についてと、浜中騎手をゲストに迎えた「ご指名対談」後の心境の変化を語ります。

元祖「キシュトーーク」のレギュラー陣、国分恭介、国分優作、松山弘平、川須栄彦、高倉稜を中心に、栗東・美浦・地方からも幅広く、これからの競馬界を担うU25の若手ジョッキーたちが登場します!

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