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Dr.コパさん(4)『ラブミーチャンのオーナーとして失格です』

  • 2013年10月28日(月) 12時00分
おじゃ馬します!
今年6歳となったラブミーチャン。牝馬とは思えないほどの息の長い活躍で、元気に全国行脚中。その愛らしい姿と強さを、全国のファンの方々に披露しています。気になるのは今後のこと。金沢のJBC、来年の展開とは…? Dr.コパさんからビッグな情報が飛び出します!(10/21公開Part3の続き、聞き手:赤見千尋さん)


◆年内引退か…それとも

赤見 :もうすぐJBCですね。今年は金沢での開催で、JBCスプリントは1400mになります。

Dr.コパ :今年のラブミーチャンの目標の一つが、全場に行くということだったのでね。高知にも行って、あともう一つ、無事ならば金沢にも行きたいと。ただ、1400mというのはちょっと大変だろうというのはありますよね。(騎乗予定の)戸崎君になんとか上手に乗ってもらえたら…。

赤見 :地方でJBCを勝ったのがフジノウェーブ唯一だったので、JBCを勝った現役の地方馬はもういないんです。

Dr.コパ :いないんだ。やはり、JBCって特殊だもんね。

赤見 :毎年コースや距離が変わったりしますからね。それでもミーチャンなら! って、期待してしまいます。今年6歳で、「年内引退では」という声もありますが、その辺りはどうお考えですか?

Dr.コパ :う〜ん、状態が良ければドバイへ行こうと、密かに思っているんだ。

赤見 :本当ですか!? 来年ですか!? では、そこまでは引退は…!?

Dr.コパ :うん。年内引退というのも、できないんですよ。なぜかと言うと、2月の笠松のオッズパークグランプリ、そこに出るということになっているので。出ると出ないのとでは全然違うみたいだからね。やはり笠松のことを、僕たちも考えているので。

だから、それを浜ちゃん(浜口楠彦騎手)に乗ってもらって、引退レースにしようというふうには思っています。けど、分からないよ。僕が決断して「ドバイ!」って。ドバイとなれば、オッズパークグランプリは出られないかな。まあ、それは許してくれるだろうな。

赤見 :夢は膨らみますね。あれだけの馬ですから、周りからいろいろ言われませんか?

Dr.コパ :そうなの。僕はインタビューでも、時々ホラを吹くでしょ(笑)? そうすると、インターネットなんかにいろいろ書かれているんだよ。「調子に乗るな」「ラブミーチャンは好きだけどオーナーは嫌い」とかさ(苦笑)。でもね、そういうふうにこの先のことを考えているし、今年のJBCの結果次第では、来年の盛岡のJBCを使いたいなとも。

赤見 :えぇっ!? さらに現役続行で!

Dr.コパ :盛岡なら1200mだからね。僕はね、彼女が3歳の時に、船橋のJBCスプリントに出せなかったのをすごく悔やんでいるの。だって、ダートの1000mは日本一強いと思っているから。3歳なら斤量も軽いし、あの体調でも勝てたんじゃないかと未だに思っているんです。まあ、あまり人には言わないけど。ただ一つ、あそこに行けなかった理由は蹄が良くなかった。それもあってね…。

赤見 :迷われてしまった。

Dr.コパ :うん。2歳の時には「これ、これ、これ」と、直感を働かせて当ててきた自分が、なぜ3歳になってミーチャンの使い方をあんなに迷っちゃったんだろうと。それはやはり桜花賞のトライアルでの挫折ですよ。ミーチャンとオーナーが一緒に挫折しちゃったんだね。そういう状況のオーナーのアイディアというのは、裏目に出るわけですよ。あれはオーナーであるの僕の弱気作戦だったんですね。オーナーとして失格ですよ。

それを取り返してくれたのが、スーパースプリントシリーズですよ。船橋の1000mでは、どんなに中央の速い馬が来たって負けない、それは間違っていなかったと。それに、今年のクラスターカップを勝って、来年同じ盛岡でJBCがあるということなら、それはちょっと心が動くでしょう? それが理由なんだよ。

赤見 :ミーチャンの走る姿を見ていたいという気持ちもあります。

おじゃ馬します!

◆ラブミーチャンは神様からの頂き物

Dr.コパ :ラブミーチャンが引退しちゃったら、中央の馬に勝てる地方馬がいなくなっちゃうというのはね、これは問題だよね。このまま地方馬が中央の馬に何年も勝てないなんてなったらえらいこと。

赤見 :地方競馬全体のことも考えていらっしゃいますね。

Dr.コパ :だって、地方競馬が大好きだからね。地方競馬の売り上げがこんなに落ち込んではだめでしょう。そう思わない?

赤見 :だから、全国の競馬場で走らせて、ファンの皆さんに見てもらいたいという。

Dr.コパ :そう、走らせたい。そういう意味であの仔には、全国を回らせて大変な思いもさせてしまっているけれどもね。でも、福山や荒尾は廃止になってしまったけど、もしああいう馬がそれぞれの競馬場にいたら、なくなることはなかったはず。やはりスターホースがいれば、競馬って栄えるよね。

だったら地方からドバイへ行って、それでラブミーチャンがもし勝ち負けでもするのなら、最後に地方競馬を盛り上げて引退できるかなと、そういうふうにも考えたのね。各競馬場にラブミーチャンクラスの馬がいて、それがどこかでぶつかり、中央の馬にも勝てるという時代来るのが僕の夢なの。

赤見 :ラブミーチャンというのは、コパさんにとってどんな存在ですか?

Dr.コパ :神様からの頂き物ですよ。預かり物。だから、その預かっている間に僕が何をするのか、神様も見ているんだろうね。特別のオーナーにしてもらったわけだから、ちゃんとオーナーとしての仕事をしないといけないよね。

例えば年度代表馬に選ばれても、スポーツ新聞とかの扱いが小さいというのが悔しいなと思うよね。SNSを含めて、みんなが何か上手に地方競馬のことを書いてくれたりするといいなと思ったりする。

だから、JBCスプリントを獲って今年も年度代表馬になることが一番ありがたいことだし、彼女の仕事なんだろうと思うけど、その仕事をさせてあげられるオーナーになっていたいなと思うんだよね。僕らが考えた通りに彼女はレースに行って、走ってくれているわけだから。

赤見 :ラブミーチャンという存在は、今後の地方競馬にとってもすごく大きいですね。

Dr.コパ :ね。でも、ありがたいのはさ、浜ちゃんがああやって相変わらず調教に乗ってくれているでしょう? 浜ちゃん、体がすごく痛いんだと思うけど、その引退を延ばしたのはあの仔かなと思いますよ。今でも乗ってくれて、それはありがたいよね。

赤見 :いいパートナーですね。

Dr.コパ :うん。千尋ちゃんにもそういう馬がいたら、引退しなかったでしょう?

赤見 :絶対しないです。全国行っちゃいますし、海外も行きたいです。それに、そうしたら高崎も廃止にならなかったのかな…と。

Dr.コパ :そう、それを言いたいのよ。そういう馬が1頭でもいたら、競馬場は続くと思うわけ。だって、あの仔が走るときの笠松は、売り上げがすごいらしいよ。やはりそういう効果はあるよね。それは、南関で走ってたら賞金は違うもの。それ(移籍・転厩)は周りからも散々言われましたよ。

赤見 :賞金も高いし、レース体系も整っていますし。

Dr.コパ :でも、それをやってしまうと、多分壊れると思うんだ。あの仔が。やはり笠松でのんびりして、浜ちゃんと厩務員さんと、一日中しゃべっているおしゃべりな調教師と一緒にいるのがいいんだよね。(了)

東奈緒美 1983年1月2日生まれ、三重県出身。タレントとして関西圏を中心にテレビやCMで活躍中。グリーンチャンネル「トレセンリポート」のレギュラーリポーターを務めたことで、競馬に興味を抱き、また多くの競馬関係者との交流を深めている。

赤見千尋 1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミック」で連載した「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍。

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