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【有馬記念特別企画】当事者が語るGI制覇の舞台裏〜ダイユウサク・熊沢重文騎手Part1

  • 2013年12月17日(火) 12時00分
熊沢重文騎手
数々のドラマを生んできた有馬記念において、“世紀の番狂わせ”といえばダイユウサク。そのダイユウサクが12月8日、28年の生涯を終えた。「今でもジョッキーを続けていられているのは、あの馬のおかげ」と語るのは、主戦を務めた熊沢重文。今回の『GIドキュメント』では、決して平坦ではなかったダイユウサクの軌跡を振り返りつつ、史上最強といわれた“一発屋”の舞台裏に迫った。(取材・文:不破由妃子)


◆突然の訃報を聞いて北海道へ駆けつけ

 12月8日、91年の有馬記念で大番狂わせを演じたダイユウサクが、老衰により永眠した。28歳。人間に換算すると90歳をゆうに超えていた。種牡馬引退後は、北海道・浦川の観光施設『うらかわ優駿ビレッジ AERU(アエル)』で、のんびりと余生を送っていたダイユウサク。

「僕、一度も会いに行けていないんだよね。もう28歳だし、生きているうちに早く会いに行かないと…。近々行こうと思っています」

 熊沢重文がこう語ったのは、12月6日の金曜日。突然の訃報は、奇しくもこの『GIドキュメント』でダイユウサクを取り上げるべく、主戦の熊沢からたっぷりと話を聞いた矢先だったのだ。週明けの月曜日にニュースで知った筆者は、翌日、熊沢に電話を入れた。

筆者「お話をうかがった矢先に残念なニュースで…」

熊沢「ホントだよねぇ。この前、言ったように、早く会いに行かなくちゃと思っていた矢先だったから…。間に合わなかった。今ね、北海道にいるんです」

 普段は火曜日から金曜日まで、みっちり調教に騎乗している熊沢。この日は火曜日だったが、すべての調教を断って、北海道に駆け付けたという。

「昨日、携帯でニュースを見てね。やっぱりね…うん、会いに行かなくちゃと思って。さっきダイユウサクに手を合わせてきました。“ありがとう”ってね。もう感謝の言葉しかないね」

熊沢重文騎手

熊沢「ありがとうって、感謝の言葉しかない」


 91年の有馬記念は、圧倒的1番人気のメジロマックイーンを並ぶまもなく差し切ったばかりか、レコードを1秒1も更新しての勝利。しかし、その後は一度も掲示板に載ることなくターフを去ったことから、「世紀の一発屋」「史上最強の一発屋」といったキャッチフレーズとともに、今もなお、その偉業はファンの間で語り継がれている。

◆競走馬になれるかどうかのレベルだった

 ここからは、12月6日の取材をもとに、熊沢とダイユウサクの軌跡をたどっていこうと思う。

「一発屋っていわれてもいいんだけどね。ただ、

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