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新生活が始まったオルフェーヴルの近況をうかがいました!

  • 2014年01月14日(火) 18時00分
競馬の職人


 皆さん、今年もよろしくお願いいたします。今年はうま年にちなんで、もっと馬のことを追求していきましょう!

 新年の始まりで、3月に開業予定の調教師が7名。その内栗東では、飯田祐史、石橋守、高橋康之、中内田充正、森田直行 の各調教師が着々と準備をしています。きっと飛躍されることでしょうね。各調教師の話題をいっぱい皆さんにお届けしたいと思っています。

 そして、有馬記念を有終の美で飾ったオルフェーヴル、ダービー馬のエイシンフラッシュ、日本代表馬に輝いたスプリント界の王者ロードカナロアたちが引退しました。とっても残念ですが、数年後には新しい命が宿って楽しませてくれるのかと思うと、ちょっと気が早いですがワクワクドキドキしますね。

 また、東西の金杯、春のクラシック戦線への登竜門となるシンザン記念と、早くも重賞が始まり、今年も楽しみな馬が出てきましたね。

 このシンザン記念にも出走し、ひとつひとつ積み上げてきたオルフェーヴルは、なんといっても話題いっぱいありましたね。あの強い馬は、走る時と走る時じゃない場合のスイッチの入り方が違うと言います。魅力あふれるオルフェーヴルの必話を厩舎スタッフに聞いてきました。

 担当の森澤厩務員は「いろんなことがありすぎて、何時間あっても話しきれないですね。無事に送り出せたことが一番嬉しいし正直ホッとしています。また楽しみもありますよね。どんな仔がやってくるのか・・・? 子供も是非やってみたいですよ。だからこの仕事は面白いんですよね」と語ってくれました。

 そして、川合助手にもお話を伺いました。

常石 :有馬記念おめでとうございます。これがオルフェーヴルだ! オレの本来の姿なんだ! と、堂々とした走りでしたね。

競馬の職人

川合 :強い走りを見せてくれたね。いつもそうだったらいいんだけど、なかなかのくせ者でしたね(笑)。

常石 :昨年の凱旋門賞や阪神大賞典など、インパクトのあるレースが多いですね。どちらも凄いレースでしたよね。2着で悔しかったですけど、オルフェーヴルの強さを証明したレースでしたね。凱旋門賞では思わずヤッター! って思いました。

川合 :それが競馬の醍醐味で、世界の壁の厚さを痛感したレースだったね。いろんなことをやってくれましたよ。

常石 :厩舎に入ってきた時は、どんな馬でしたか?

川合 :2008年5月に北海道の社台で生まれて、厩舎に来たときは優等生だったんです。気性面でも落ち着いていて、扱いやすい馬だなと思っていたんですよ。兄のドリームジャーニーより体のバランスも良くて、筋肉のつき方もいい具合でした。先生やスタッフも「ジャーニーのさらに上を行く馬になるね」と話していました。

常石 :僕が見せていただいた時は、そんなおとなしい馬ではなかったんですが?

川合 :2歳の夏に新潟競馬場の新馬戦で装鞍所に入った瞬間、入れ込み始めて、びっくりしました。鞍をつけるのも大変で、パドックでも入れ込みがきつくて2人で曳きました。先生が「スタミナがかなりロスしているので、今日は回ってくるだけでも仕方ないな」とおしゃっていたくらいだったんです。

レース中も、外側の手綱を引くと左のハミ管が口の中に入ってしまい騎手も制御ができなかったんです。それでも勝ったから、凄い馬やなと実感しましたね。かなりの能力ある馬やな。

常石 :ゴール後、(池添)謙一を振り落としてしまったんですよね。口取り写真も撮れなかったと言ってましたね。

川合 :デビュー戦は忘れられませんね。シンザン記念は2着で悔しいレースでしたが、目標はやっぱりダービーでした。

デビュー戦のときのような悪い癖をどうして直すか、元々持つ能力をどうしたら発揮できるかなど、先生はすごく考えていらっしゃいましたね。牧場の方や厩舎のスタッフや騎手と共に、いろいろやりました。ダービー制覇は関係者みんなの思いでしたからね。

常石 :2011年のダービー。オルフェーヴルらしく、力強く鋭い伸びで勝って、皐月賞と二冠達成。やっぱりすごい能力を持ってる馬でしたね。能力も凄いし、馬体も本当にきれいでしたね。

川合 :毛艶がいいね。流星も印象的だよね。鼻筋が真っ直ぐに通って、男前って感じ。

常石 :馬体のバランスも良かったけど、顔のバランスもいいですよね。時々馬面が長いなって思う馬もいますよね(笑)。

川合 :そうそう。僕みたいに長いのがね(笑)。

常石 :(爆笑)。池江先生も、いつも凄い仕事をされていますよね。「さすが池江先生、ここにあり」って感じでしょう。僕のピントの合わない絶妙な取材にも、きちんとピントを合わせてくれ答えていただき、助かっています。初めての凱旋門賞チャレンジの時も、ゆっくりいろんなことを教えていただきました。(感謝)

川合 :そこが先生の器の大きいところで、人間性の豊かなところなんですよ。だから厩舎スタッフも信頼しているし、牧場の方や馬主さんからも信頼されるところだと思う。

常石 :オルフェーヴルとは、いろんなドラマがありましたよね。一番印象に残っているレースは?

川合 :やっぱり凱旋門賞でしょう。直線から一気に抜け出したときの圧巻は「いける!!」と、握りこぶしをギュッと。悔しかったですね。2年続けて無念の2着でしたが、日本馬がこれだけ強くなったことを十分にアピールできたし、またチャレンジできる夢もできましたね。

 厩舎に入ってきた時から「こいつは走るな」と実感する馬に出あえたことが、この仕事をしていて良かった思います。今回は、凱旋門の後もゆっくりフランスで過ごして、オルフェーヴルも2度目ということがわかっていたようで、リフレッシュができてから有馬記念に臨めてよかったです。

 有馬記念の1週前に池添騎手が跨った時に一気に状態がアップし、そのままの状態を維持させるのが大変でした。調教の時に帯同馬との距離が開いていたため、最後までビッっと気を抜かずに走ることを覚えてくれていました。オルフェーヴルの最高の姿を見せることができて満足です。

 種牡馬になっていい仔をたくさん送り出してほしい。ディープインパクトの仔も素晴らしい活躍をしているので楽しみです。家族のようなもんですからね。オルフェの仔で凱旋門に再度チャレンジしたいです。先生をはじめ厩舎スタッフみんなの思いでしょう。

常石 :いろいろありがとうございました。ファンの皆さんも僕たちも同じ思いです。2年後が楽しみです。

 続いて、現在オルフェーヴルが繋養されている社台コーポレーションの徳武氏にオルフェーヴルの最近の状況をおききしました。

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常石 :北海道へ行って、オルフェはどうしていますか?

徳武 :有馬記念の後、ノーザンファームしがらきで少しリフレッシュして、12月25日のクリスマスに北海道の社台ファームに来ました。ステキな大きなクリスマスプレゼントです。

常石 :凄いな。いいですね。

徳武 :ここにはディープインパクトのような格のある凄い馬がたくさんいるので、あの気の強いオルフェでも少し気を遣っているようですよ。まだ本当の姿を見せていませんね。でも、広々としていて、レースも無いので、気分はゆったりできている感じです。2月からもう種つけが始まるので、失敗の無いように練習が始まります。

常石 :えー! そんな練習があるんですか?

徳武 :そう。これからが一番大事な仕事になりますからね。やっぱり本番で失敗しないように。いい仔を沢山送り出したいですからね。

常石 :楽しみが膨らんできますよね。

徳武 :緊張の連続ですよ。これから仔作りのGI競走の始まりです(笑)。

常石 :貴重なお話ありがとうございました。いい知らせを待っています。

徳武 :了解!

 ロードカナロアもこれから合流して、GI馬たちは北海道で競馬の話で盛り上がっていることでしょうね。そんな話を馬語で聞いてみたいな。どんなことはなしているんでしょうね。つねかつこと常石勝義でした。[取材:常石勝義/栗東]

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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