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種牡馬展示会始まる

  • 2014年02月12日(水) 18時00分


◆岡田繁幸氏「種付けをして頂いて誕生した産駒は極力買わせて頂くつもりですので、どうぞ配合をご検討頂きたい」

 2月中旬にさしかかった今週は、月曜日から各スタリオンステーションで種牡馬展示会が始まっている。10日(月)に晴天の下、新冠町明和のビッグレッドファームにて一連の展示会がスタートした。

ビッグレッドファーム種牡馬展示会

ビッグレッドファームで行われた種牡馬展示会(写真はアイルハヴアナザーと岡田繁幸氏)



 幸い空はよく晴れ、展示会の始まる11時には、日高を中心に各地から多くの生産者や関係者が集まった。ただ、今年ビッグレッドファームにはスウィフトカレントが新たに入厩したものの新種牡馬がいないことと、大将格のステイゴールドが日高町のブリーダーズスタリオンに移動していることなどから、人数は少なめであった。

 とはいえ、実績をあげているアグネスデジタルやロージズインメイ、ダートで産駒が堅実な成績を残しているタイムパラドックスなど、計9頭がお披露目された。最後に登場したのは今年初産駒が誕生するアイルハヴアナザー。いつものように“総帥”こと岡田繁幸氏がここでマイクを持ち、この種牡馬に寄せる期待の大きさについて一通り語った後、「種付けをして頂いて誕生した産駒は極力買わせて頂くつもりですので、どうぞ配合をご検討頂きたい」と締めくくった。

アイルハヴアナザー

岡田繁幸氏が大きな期待を寄せるアイルハヴアナザー



 近年は種牡馬展示会で記念品が配布されることがめっきり少なくなったが、ここでは未だにパンフレットの他、必ず何かが袋の中に収められている。因みに今年は、白地の特製タオルであった。

 余談だが、総帥と言えば、去る1月19日に京成杯を制したプレイアンドリアルの馬主としても注目されている。本稿とは直接関係のない話題だが、簡単に近況を。プレイアンドリアルは目下、コスモビューファームにて調整中で、連日、坂路で調教されている。今後のローテーションは詳らかにされていないが、このまま皐月賞へ直行する公算が強く、どんなレースぶりを見せてくれるかひじょうに気になるところだ。地方競馬から中央GIへ駒を進めたコスモバルク以来の期待馬で、善戦を期待したいと思う。

◆栗毛の馬体から漂う雰囲気は明らかに「王者」そのものだったオルフェーヴル

 その翌日。11日の建国記念日には社台スタリオンステーションの展示会が行われた。今年はノヴェリスト、ロードカナロア、エイシンフラッシュ、オルフェーヴルの4頭が新種牡馬で、これらを含め30頭が登場する豪華版となった。

ノヴェリスト

新種牡馬として最初に登場したノヴェリスト



 早くから「招待制」を実施している社台スタリオンだが、今年は当代きっての人気馬オルフェーヴルやロードカナロア、エイシンフラッシュが揃ってお披露目されるとあって、かなりの大混雑が予想された。案の定、開始の近づいた11時過ぎあたりから、何重にも人垣が出来て、カメラを持つ人の姿が目立った。生産者や関係者のみならず、ファンと思しき人も大勢来場している。また取材陣もかなりの数に上った。

ロードカナロア

安田隆行師、岩田康誠騎手が登場し紹介をしたロードカナロア



 最初にノヴェリストが登場し、たっぷり時間をかけて周回しながら戦績や血統などが説明されて行く。続いてロードカナロア。安田隆行調教師や岩田康誠騎手も駆けつけマイクを持つ。次にエイシンフラッシュが登場すると藤原英昭調教師が代わってマイクを握り、ゆかりの人々がこうして次々に肉声を披露する。

エイシンフラッシュ

藤原英昭師が紹介したエイシンフラッシュ



 圧巻は4番目に登場したオルフェーヴルが登場した時であった。栗毛の馬体から漂う雰囲気は明らかに「王者」そのもので、周回しながらも威風堂々と落ち着き払っており、時々、立ち止まってはじっと前方を凝視する。一種独特な雰囲気を持つ馬である。

 もちろん、オルフェーヴルが登場するや否や、一斉にあちこちからシャッター音が聞こえてくる。種牡馬展示会は間近で目当ての馬を撮影できるほとんど最後のチャンスとはいえ、カメラの数は大変なものあった。

オルフェーヴル

威風堂々と落ち着き払っていたオルフェーヴル



 この4頭だけで30分ほどの時間を費やし、その後は今年、初産駒が誕生するディープブリランテやスマートファルコンなど4頭、そして、今年度初産駒がデビュー予定のハービンジャー、キンシャサノキセキと続き、来年産駒がデビュー予定のワークフォース、カジノドライヴ、ダノンシャンティ、ドリームジャーニー、ヴィクトワールピサなど6頭がお披露目された。

 その後もゼンノロブロイ、ネオユニヴァース、ゴールドアリュール、シンボリクリスエスなどの面々が続々登場してくる。最後に、キングカメハメハ、そしてトリを務めるのはもちろんディープインパクトである。

ディープインパクト

種牡馬展示会のトリを務めるのはもちろんディープインパクト



 新種牡馬以外は目まぐるしく展示が入れ替わる。そうしなければとても時間通りに進まないからだが、1時間半ほどの間に出てきた30頭のラインナップは本当にため息しか出て来なかった。他の種馬場ならば間違いなくエース級の顔ぶれがズラリと顔を揃え、文字通り圧巻と言う他ない。競走成績を残した馬であればあるほど、まず社台スタリオンから種牡馬生活をスタートし、その後は日高の各種馬場に移動して行く流れが、すっかり定番になってしまった感がある。またそうすることで、種牡馬としての評価がより確かなものになって行くのも事実で、この傾向は当分揺るがないものと思われる。

 すべての展示が終了した後、改めて厩舎前で新種牡馬のみを再度展示し、記念撮影タイムが確保されたが、ここでも黒山の人だかりであった。

記念撮影タイム

黒山の人だかりとなった新種牡馬の記念撮影タイム



 なお、今年の記念品は、新種牡馬4頭のオリジナルマグカップセット。またこれとは別に来場者全員にこの4頭がデザインされたオリジナルチョコレート(キットカット)が1人1個ずつ配布された。一足早いバレンタインデーのプレゼントなのだそうである。心憎い演出であった。

記念品

記念品の新種牡馬4頭オリジナルマグカップセット



 なお、12日以降の展示会についてはまた次週に。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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