スマートフォン版へ

芦毛伝説の継承者(ビワハヤヒデ)

  • 2014年03月03日(月) 12時00分
名馬



◆絶えることなく受け継がれる芦毛伝説

 白馬、ホワイトホースと呼ばれるのは一般に芦毛馬のことで、生まれたときは白ではなく黒っぽい毛色をしている。それが2歳ぐらいになると灰色になり、年齢を重ねるとともに徐々に白くなっていく。

 たまに生まれつきの白毛もいるが、これは突然変異の一種で、私たちが映画や絵画でよく見かける白馬のほとんどは芦毛だ。黒、灰、白と変化していったものである。

 1980〜1990年代は「芦毛の名馬」の時代だった。年度代表馬に輝いたタマモクロス、未曾有の競馬ブームを巻き起こしたオグリキャップ、父子3代の天皇賞制覇を成し遂げたメジロマックイーン…。この時代は芦毛の大物が次々と誕生している。

 白い芦毛馬は希少で、サラブレッドの1割にも満たない。それなのに、この時代に強くなっていく馬は、みんな芦毛馬だった。しかし1992年を迎えると、すでにタマモクロス、オグリキャップは引退。残るメジロマックイーンも5歳となり、そろそろ芦毛の時代も終わりといった雰囲気が漂い始めていた。

 だが、その秋の2歳戦に、新たな大物伝承者が登場する。ビワハヤヒデである。その戦いぶりは衝撃の連続だった。9月のデビュー戦が10馬身の圧勝、続くもみじSもレコード勝ち。3戦目の重賞初挑戦、デイリー杯3歳S(現2歳S)に至っては、2歳レコードを1秒2も短縮する驚きの勝利を飾った。

 しかし、暮れの朝日杯3歳S(現朝日杯フューチュリティS)で、ハナ差負けを喫してからどうも雲行きが怪しくなる。明けて3歳の共同通信杯4歳S(現共同通信杯)も2着。続く三冠クラシック第1弾、皐月賞もナリタタイシンの2着。さらに第2弾の日本ダービーも2着に敗れてしまう。

 2歳戦をレコードに次ぐレコードで圧勝していた馬が、結局、タイトルは1つも取れないで終わった。ビワハヤヒデに早熟説が流れ始めたのはこのころからである。2歳戦で天才的な走りを見せた馬が、3歳になった途端に伸び悩んで消えていくことは多い。

 早熟なのか、それとも巻き返しがあるのか。秋の初戦、神戸新聞杯は注目の1戦となった。だらしないレースをすれば、おそらくこのまま消えていくだろう。だが、ビワハヤヒデはここで早熟説をみごとに一掃する。最後の直線でムチを使うことなく抜け出し、余裕の勝利を収めたのだ。

 迎えたクラシック第3弾の菊花賞。ビワハヤヒデは無冠馬にもかかわらず、日本ダービー優勝馬のウイニングチケットを抑えて1番人気に支持された。春と違ってレースぶりは堂々たるもので、最終コーナーで早々と先頭に立つと、直線は後続を引き離すばかり。3分4秒7の日本レコード(当時)で、初GI制覇のゴールを駆け抜けていた。

 暮れの有馬記念は2着に敗れるが、明けて5歳になると再び快進撃が始まる。春の天皇賞を勝って2つ目のタイトルを奪取。続く宝塚記念でまたも日本レコードで勝利して、3つ目のタイトルを奪取した。

 秋の天皇賞で屈腱炎を発症して5着に敗れ、ついに引退が決まったが、デビュー戦から前走のオールカマーまで15戦10勝(2着5回)。3着以下は一度もなく、うちレコード勝ちが4回。芦毛の伝承者、芦毛の名馬と呼ぶにふさわしい優秀な内容を残していた。

 そのビワハヤヒデも引退し、とうとう芦毛の時代も終わりかと思えた。しかし2000年代に入ると、新たに芦毛の怪物クロフネが登場。ビワハヤヒデが引き継いだ芦毛伝説は、今も絶えることなく息づいている。(吉沢譲治)

名馬

◆レース詳細
1994年6月12日
第35回 宝塚記念(GI) 阪神/芝右 2200m/天候:小雨/芝:良

1着 ビワハヤヒデ    牡5 56 岡部幸雄
2着 アイルトンシンボリ 牡6 57 藤田伸二
3着 ダンシングサーパス 牡5 56 熊沢重文

◆競走馬のプロフィール
ビワハヤヒデ(牡5)
父:シャルード
母:パシフィカス
騎 手:岡部幸雄
調教師:浜田光正(栗東)
馬 主:ビワ
生産牧場:早田牧場新冠支場
※年齢は当時の旧年齢表記

■1994年 宝塚記念

1994年 宝塚記念 映像


●70万DL突破!伝説の名馬に挑め!
ダウンロードページ


70万DL突破!伝説の名馬に挑め!

70万DL突破!伝説の名馬に挑め!

 爽快!競馬パズルゲーム「パズルダービー」、70万DL突破!伝説の名馬に挑め!

「パズルダービー」はマッチ3形式(同じ色を3つ揃えるブロック消し)のパズルと競馬が融合し、伝説の名馬のシナリオに挑戦する競馬パズルゲームです。レースでは、ディープインパクトやオルフェーヴルなど名馬のシナリオを完全再現。競馬ファンなら感動再び、競馬を知らない方はパズルを楽しみながら、競馬の魅力を知っていただけます。

 登場する名馬は700頭以上。また、週末に開催される中央競馬とのリアル連動イベントや各種キャンペーンも満載です。この機会に是非お楽しみください!

「嗚呼、愛しき名馬たち〜netkeiba 名馬列伝〜」では、記録と記憶に残る伝説の名馬の足跡をプレイバック。名馬たちが繰り広げた伝説の数々が蘇ります!

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング