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ダイオライト記念展望&京浜盃回顧

  • 2014年03月18日(火) 18時00分


◆ダイオライト記念展望
(3月19日 船橋 サラ4歳以上 定量 JpnII 2400m)

 「ダイオライト記念」は平成8年、統一G移行。交流第1回覇者ホクトベガを皮切りに、アブクマポーロ、ヴァーミリアン、フリオーソ、スマートファルコン……実質GI級のダート王が、その存在を強烈にアピールしてきた。以前も書いたこと。同レースをなぜ「船橋記念」にしないのか(タイトル改称)、理解に苦しむ。現実の「船橋記念」は例年正月開催の地方所属馬限定、何やらソソクサ、味気なく終わってしまう1000m戦。近年ナイキマドリード3連覇などそれなりの価値、話題性は認めても、ごく客観的にみて船橋競馬の“名刺”にはふさわしくない。新規ファン開拓、自場の魅力(歴史)をわかりやすくPRする手段を考えるとすれば、なおさらそうだ。

 さておき同レースは明確な傾向が2つある。1つは2400mらしくパワーと持久力が明暗を分けること。例えば平成12年マイターン、13年リージェントブラフ、15年カネツフルーヴなど、今思えば典型的な馬力型で、その流れはヴァーミリアン、フリオーソ、スマートファルコンにも少なからず波及する。結果伏兵の大駆けという昨年オースミイチバン(単勝45.9倍)も、「兵庫CS」「名古屋GP」、中〜長距離で再三好走実績があり、単騎逃げ、展開だけの勝利ではけっしてなかった。もう1つは、長丁場のイメージとやや異なり、意外なほど上昇馬、成長株が強いこと。ヴァーミリアンしかり、フリオーソしかり、4歳春このレース圧勝で本物を証明し、そこから着々と頂点に昇りつめた。

 (1)…人気馬安定。1人気[5-2-0-3]、2人気[2-2-3-3]、3人気[2-1-3-4]。4人気以下の優勝は昨年オースミイチバン1例だけで、過去10年中5年まで馬単1000円以下に収まっている。軸を決めて絞るセオリー。

 (2)…JRA優勢。JRA=7勝、2着9回、3着7回と断然リード。船橋2勝はいずれもフリオーソで基準にしづらく、23年伏兵カキツバタロイヤル2着は展開の利、好騎乗が大きい。16年笠松ミツアキタービン優勝は少し遠い話になった。

 (3)…新勢力。4歳馬が驚異的に強く7勝、2着1回、3着2回。以後評価はともかく、19年キクノアロー、22年フサイチセブンも勝ちっぷり自体は素晴らしかった。6歳=2勝、2着2回、5歳=1勝、2着3回。7歳以上高齢馬はふるわない。

 (4)…先行型。逃げ=5、先行=7、差し=7、追込=1。例年スローで流れ、道中前々が絶対有利。4コーナー中団以降からの連対は20年ボンネビルレコード(8番手)だけで、昨年も逃げ→早め好位、機動力のあるタイプ同士で決着した。

 ※データ推奨馬
 ▲アウトジェネラル…昨春「羽田盃」圧勝の4歳馬。父アドマイヤドン(JBCクラシック3連覇)、生粋の中〜長距離型と判断でき、近走ひと息ながら素質的にはっきり底が割れた感じもない。地元船橋GII。今回ノンプレッシャーの鞍上がどう捌くか。川島正行厩舎はこのレース現実に2勝。

       ☆       ☆

 ◎ムスカテール    56岩田
 ○ニホンピロアワーズ 56酒井学
 ▲トウショウフリーク 56武豊
 △ナイスミーチュー  56小牧太
 △アウトジェネラル  55御神本
 △サミットストーン  56石崎駿
 △ゴールドバシリスク 56的場文
  サイオン      56川島
  パワーストラグル  56後藤

 ムスカテールに期待する。前走GI「川崎記念」2着。3年ぶりのダート、しかも致命的な出遅れをひるまず追い上げ王者ホッコータルマエに1/2差接戦は正直心底驚かされた。もっともJRA6勝、中にGII「目黒記念」レコード勝ちからは、おそらく潜在能力(持っているもの)が並みではない。今回船橋2400m克服なら交流ダートG、一挙に頂点も考えられる。重心の低い馬体、キャンターに移りグッと沈む脚さばき。今回初コースでも地方Gを熟知する鞍上なら、まったく減点は浮かばない。

 一昨年JCダート馬・ニホンピロワアーズ。確かに格は断然で、中〜長距離適性もかつて金沢・名古屋で実証している。やや下り坂と思える近況を今回どう巻き返すか。同馬の場合本質的に軽い馬場がよさそうだ。トウショウクリークは典型的な逃げ気性で、スピード、スタミナは互角だが、それ以上となると鞍上・武豊マジックが必要になってくる。アウトジェネラルは、ひとまず能力全国レベルにあるナイスミーチューあたりに、今回どこまで食い下がれるか。道中前々を積極的に進んで能力を確認したい。サミットストーンも昨秋「白山大賞典」5着からは交流G通用のステイヤー。南関東転入後、意外な中〜長距離適性をみせてきたゴールドバシリスクが大穴。

◆京浜盃回顧
(3月12日 サラ3歳 定量 南関東SII 1700m良)

 ◎(1)ハッピースプリント  1分47秒6
 ○(2)ドラゴンエアル      1.3/4
 △(3)サーモピレー        首
 △(4)ファイト          頭
  (5)パンパカパーティ      2
 ………………
 △(6)ファイヤープリンス
 △(7)レガルスイ
 ▲(8)ダンスパフォーマー

  単110円  馬複880円  馬単930円  3連複3260円  3連単6550円

 ハッピースプリントが完璧な差し切りでクラシックに前進した。道中外目5〜6番手。初コース、長い直線を意識したか、前2走(重賞連覇)よりワンテンポ慎重な仕掛けとみえたが、それでいてあと1ハロン、馬場の真ん中を瞬時に突き抜け、最後セーブする余裕があった。「追い切りに乗って凄い馬だとは感じていたけど正直なところホッとしてます(単1.1倍)。道中うまく折り合えたし、次へつながる競馬ができたことが何より大きい」(吉原寛人騎手)。コメント通りと納得する。なるほど同馬は2歳にして、昨年“NAR年度代表馬”タイトルを獲得。ただし今回は転厩初戦、初コンビ、ごく客観的にさまざまハードルは低くなかった。それを人馬とも当然のようにクリアしている。

 ハッピースプリントは、アッミラーレ×マーゴーン(デイジュール)の鹿毛3歳。その最大の特徴は、とにかく気性が実戦向きということだろう。デビュー時の評価は案外地味で(新馬=3人気)、しかし現実にダート通算6戦6勝。JRA2戦、函館芝5、5着も、直線勝負に徹したレースぶりなど、内容自体は十分な中身があった。「転厩初戦をいい感じでスタートできた。ひとまず責任は果たせたけれど、まだまだこれから。心肺機能など、さらに鍛えて臨みます」(森下淳平調教師)。いずれにせよ高い競走能力と気持ちの強さは実証済み。あとは1800→2000mの適応性と、成長していく相手との力関係がどう変わる(詰まる)か。記者個人、かすかに死角と思えるのは“距離”の方だ。

 2着ドラゴンエアルは大外から上がり35秒8、道中スロー(1000m通過63秒8)にせよ驚異的な脚を使った。父タイムパラドックスは昨季ソルテ、インサイドザパークでブレイクしたが、同馬は少し個性が違う。ゲート難など粗削りな反面、いったんエンジンがかかって目を見張る爆発力。今後距離延長は間違いなくプラスととれる。3着サーモピレー、4着ファイトは、ともに先行馬ペース(1000m通過63秒8)に乗って理想的なレースができた。この2頭、マイラーの印象もあり、1800m〜2000mの本番は展開ひとつ、流れひとつの評価としたい。むしろ5着パンパカパーティ、6着ファイヤープリンス、浦和・小久保厩舎勢が、折り合いに苦労しながら結果的に収穫の大きい競馬とみえた。ダンスパフォーマーは中団のまま末脚不発。パドックの馬体、雰囲気など絶好とみえただけに、あるいは底が割れたかもしれない。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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