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日本馬が参戦しないドバイワールドCナイトのサラブレッド4競走見どころ

  • 2014年03月19日(水) 12時00分


◆日本馬が参戦しないレースにも、ぜひご注目をしていただきたい

 ドバイワールドCナイトの開催が、来週末に迫っている。

 大挙8頭で挑む日本馬が出走するG1ドバイワールドC(AW2000m)、G1ドバイデューティーフリー(芝1800m)、G1ドバイシーマクラシック(芝2410m)、G2ゴドルフィンマイル(AW1600m)の4競走については、各メディアがこぞって展望してくれそうなので、ここではそれ以外のサラブレッド4競走について見どころを御紹介していきたい。

 まず、北半球産3歳と、半年生まれの早い南半球産の3歳が相まみえるG2UAEダービー(AW1900m)から。

 北半球勢の代表格が、スーパーサタデーのLRアルバスタキヤ(AW1900m)を6馬身差で圧勝したバーレーン調教馬のアスマー(牡3、父ケイプクロス)だ。

 G1BCフィリー&メアターフ勝ち馬ザゴラの半弟にあたるアスマーは、12年のアルカナ・ドーヴィル8月セールにて23万ユーロで購買され、今年1月にメイダンでデビュー。3着を2度続けた後、格上のG2UAE2000ギニー(AW1600m)に挑んで5着に敗退。続いて出走したLRアルバスタキヤで、好位追走から早めに先頭に立ち、後続をグイグイと引き離して初勝利を挙げた。ここで見せた一気の変わり身は、距離延長が追い風となった面もあるものの、やはり良血のなせる業であろう。

 そのアスマーが5着に敗れたG2UAE2000ギニーで、アスマーの7.3/4馬身前にいたのが、南半球産の代表格ロングジョン(牡3、父ストリートクライ)である。

 ダーレーのオーストラリアにおける生産馬で、2歳時は祖国でシェイク・モハメド個人の所有馬として走り、8戦5勝。3歳春にG1コーフィールドギニーズ(芝1600m)を制している。その後ゴドルフィン入りし、ピーター・スノウデン厩舎からチャーリー・アップルビー厩舎に転厩して迎えた初戦がG2UAE2000ギニーで、前半後方から徐々に進出して直線で抜け出す横綱相撲で快勝。レース経験の豊富さが、本番でもアドバンテージになりそうだ。

 2月27日のG3UAEオークス(AW1900m)を10馬身差で快勝し、2月6日の準重賞UAE1000ギニー(AW1600m)に続く2冠を達成したイーティマル(牝3、父シャマーダル)が、ここへ向かってくれば牝馬と言えども侮れない存在と思っていたのだが、どうやら回避の模様で、そうなると3番手評価は、昨秋のG1BCジュヴェナイルターフ(芝8F)2着馬で、ダンドークのオ−ルウェザーで2戦2勝の成績を残しているジョヴァンニボルディーニ(牡3、父ウォーフロント)になろうか。

 続いて、長距離戦のG2ドバイゴールドC(芝3200m)。

 ここは、昨年に続くこのレース連覇を狙うカヴァルリーマン(牡8、父ホーリング)が軸となりそうだ。

 3歳時に、G1パリ大賞(芝2400m)を制し、G1凱旋門賞(芝2400m)で3着になるなどの活躍を見せたものの、4歳時、5歳時は低迷した同馬。6歳春からようやく緩やかな復調を見せ、昨年のG3ドバイゴールドCで3年半振りの重賞制覇をマーク。その後欧州で走った3戦は未勝利に終わったが、今季初戦となった前走G3ナドアルシバトロフィー(芝2810m)を5馬身半差で快勝し、ここへきっちりと照準を合わせて来たことを窺わせた。

 昨年のG1アスコットゴールドC(芝4000m)2着馬シメノン(セン7、父マージュ)、G1カナディアン国際(芝12F)3度優勝のジョシュアツリー(牡7、父モンジュー)というグローブトロッター2頭が、それぞれ早々にドバイ入りし、前者はG3ナドアルシバトロフィーで5着、後者がG1アルマクトゥームチャレンジラウンド3(AW2000m)で6着と、ひと叩きされて本番に臨む。ともに、今季2戦目となるここは、争覇圏に入ってくるはずだ。

 昨年のG3カラC(芝14F)を5馬身差で快勝した実績のあるアーネストヘミングウェイ(牡5、父ガリレオ)も、走れる状態に仕上がっていれば出番のありそうな馬である。

 続いて、芝の短距離戦G1アルクオーツスプリント(芝1000m)。

 ここも中心は、前年に続く連覇を狙うシェイシェイ(セン6、父ナショナルエンブレム)で間違いなさそうだ。

 南アフリカ産馬で、祖国でもこの路線のG1・2勝の実績を誇る同馬。昨年のドバイで、LRメイダンスプリントを制した後、G1アルクオーツスプリントをレコード勝ち。その後は英国でも、G1キングズスタンドS(芝5F)、G1ジュライ(芝6F)、G1ナンソープS(芝5F)というスプリント路線の王道を歩み、2着、4着、2着の成績を残した。そして再びドバイに帰って来た今年、前哨戦のG3メイダンスプリントをきっちりと勝って本番へ向かって来る。

 相手は、この路線の水準が高い香港から遠征する2頭、ジョイアンドファン(セン10、父カレン)と、アンバースカイ(セン4、父エクシードアンドエクセル)か。

 このレース4度目の参戦となるジョイアンドファンは、10年が優勝し、12年が3着、13年が2着と、抜群の相性を示している。今季は、12月のG1香港スプリント(芝1200m)1戦しかしておらず、しかも13着という大敗だったが、稀代の一発屋だけに、出て来る以上はノーマークにはしづらい。

 馬主が俳優のサモハンキンポーという点も話題となっているアンバースカイは、1月26日にシャティンで行なわれた香港G1センテナリースプリントC(芝1000m)が重賞初制覇だったという上がり馬だ。直線1000mは大好きな舞台だけに、勢いに乗じての世界制覇が視野に入っている。

 最後に、オールウェザー1200mのG1ドバイゴールデンシャヒーン。

 3月8日に行なわれた前哨戦のG3マハブアルシマール(AW1200m)を制したのは、早めに現地入りしていた香港調教馬リッチタペストリー(セン6、父ホーリーローマンエンペラー)だった。

 愛国産馬で、祖国で走っていた時代はG3バリーサックスS(芝10F)で入着するなど、マイル以上の距離を主戦場としていたリッチタペストリー。香港に移籍したのは11〜12年シーズンからで、ここでも当初は1600m戦や1800m戦を使われていたが、短距離路線に転向して出世の糸口をつかみ、昨年4月に香港G2スプリントC(芝1200m)を制して重賞初制覇。今季の大目標だったG1香港スプリントは6着に敗れたが、その後ドバイ入りしてG3マハブアルシマールで2度目の重賞制覇を飾っている。愛国で走っていた時代にダンドークのメイドン(AW1600m)を制しており、高いオールウェザー適性を持った馬のようである。

 G3マハブアルシマールで2着となった、昨年のG1ドバイゴールデンシャヒーン勝ち馬レイノルドザウィザード(セン8、父スパイツタウン)も、当然争覇圏に入って来る馬だろう。

 香港から遠征するもう1頭、この路線の重賞3勝馬スターリングシティ(セン5、父ナディーム)も、オールウェザー適性があれば上位に食い込んでくるはずだ。

 今年のグリーンチャンネルで生中継されるドバイワールドCナイト。日本馬が参戦しないレースにも、ぜひご注目をいただきたい。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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