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フジキセキからまた1頭クラシック候補が誕生

  • 2014年03月28日(金) 12時00分


◆フジキセキ産駒の台頭は全体のレベルが落ちた結果?

 フジキセキ産駒がまた1頭、クラシックに名乗りをあげた。イスラボニータが共同通信杯を勝って有力候補となっているが、新たに今度はロサギガンティアだ。

 過去5年、スプリングSの勝ち馬はアンライバルド、オルフェーヴル、ロゴタイプの3頭が皐月賞を勝っている。フジキセキ産駒にクラシック馬はいないが、皐月賞2着馬はダイタクリーヴァ、ドリームパスポートの2頭がいる。ロサギガンティアの勝利を重く受けとめなければならない。

 現3歳世代はフジキセキの16世代目になる。18歳となった2010年の配合シーズンを最後に種付けを休止したが、この年も203頭の繁殖牝馬を相手にするタフネスぶりだった。翌2011年に生まれたのが現3歳世代である。

 フジキセキは22歳になった今年も種付けしておらず、復帰の予定もなさそうだ。現3歳世代がおそらくラスト世代となるだろう。最後の狂い咲きと言っては失礼だが、そう表現したくなるほどイスラボニータ、ロサギガンティアの資質は高い。

 サンデーサイレンスの後継種牡馬は、アグネスタキオン、アドマイヤベガらがすでに死亡。他の中期までの後継種牡馬も多くが影響力を失っている。しかし、フジキセキだけはこうして高齢になっても、逸材を送り出している。立派の一語に尽きる。

 ただし、次の仮説も成り立つ。フジキセキ産駒のレベルは昔も今も変わらない。全体のレベルが落ちた結果、単に産駒が浮上しているにすぎない、と。確かにサンデーサイレンス、トニービン、ブライアンズタイムの「御三家種牡馬」が覇を競った1990年代から2000年の初めに比べると、最近は何頭かの傑出した馬以外は、なんだか全体に頼りない。

 サンデーサイレンスの血が入った日本を代表する名繁殖牝馬群が、新たな異系の大物種牡馬に恵まれず、全体のレベルダウンを招いているのは事実だ。一方、サンデーサイレンス系の種牡馬は、ディープインパクトのみに頼る危険さが、老いぼれフジキセキと、捨て子ステイゴールドの逆襲を生んでいる。

 もっとも、まだ皐月賞、日本ダービーは終わっていない。ここ一番に強いのがディープインパクト産駒だ。終わってみれば、「やっぱりディープだった」ということになるのかもしれない。

血統評論家。月刊誌、週刊誌の記者を経てフリーに。著書「競馬の血統学〜サラブレッドの進化と限界」で1998年JRA馬事文化賞を受賞。「最強の血統学」、「競馬の血統学2〜母のちから」、「サラブレッド血統事典」など著書多数。

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