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クラウンカップ展望&マリーンカップ回顧

  • 2014年04月15日(火) 18時00分


◆クラウンカップ展望
(4月16日 川崎 サラ3歳 別定 南関東SIII 1600m)

 「クラウンカップ」は平成10年、SIII昇格(4〜9年・準重賞として実施)。以後8年間、距離2000〜2100mで行われ、18年に現在の1600mに変更された。次週大井「羽田盃」が組まれている関係上、確かに顔ぶれはその時点の二線級だが、14年キングセイバー、21年サイレントスタメン、現実に優勝馬からダービーウィナーが出ているから、そう軽いレースでもない。何度か書いたこと。記者個人的にはクラウンカップ、距離2000m前後に確定してほしいと思う。東京ダービーTR(1〜2着馬に優先出走権)と銘打ちながら、内容がスピード優先のマイル戦では、番組整備の方向に大きな矛盾が生じてしまう。もう一つ、南関東重賞体系、とりわけ2〜3歳戦が極端なマイル偏重になっていること。「平和賞」から「クラウンカップ」まで、何と1600m戦が7つもあった(重賞総数11レース)。馬の能力、個性、さらに可能性を引き出す意味でも、ぜひ再考してほしいテーマではある。

 (1)…波乱が前提。1人気[2-2-2-4]、2人気[0-1-2-7]、3人気[2-0-2-6]。重賞とすると人気馬の信頼度がきわめて低く、常に波乱が前提となる。昨年は5→12→7人気の決着で、馬単275倍、3連単2150倍の大穴だった。

 (2)…川崎VS船橋。川崎=5勝、2着6回、3着5回と地元リード、ただ船橋=4勝、2着3回、3着5回もほとんど差がなく、昨年は船橋ワンツースリーの決着だった。大井も出走頭数のわりに健闘で、20年モエレラッキーが優勝している。

 (3)…成長株。過去10年、前走「京浜盃」組の連対6頭は意外なほど低調で、むしろ上昇馬の活躍が目立っている(重賞初挑戦馬が5勝、2着4回)。ただそのケースはやはり勢いが必須となり、直前3着以内が絶対条件。

 (4)…先行型。逃げ=5、先行=6、差し=6、追込=3。例年ハイペースで流れるものの、この時季3歳戦は先行型にやはり分がある。ジョッキー(今回出場)では、的場文騎手2勝、左海、吉原騎手がそれぞれ1勝。

 ※データ推奨馬
 ◎ワタリキングオー…岩手2勝から川崎転入。前走1600mのうぐいす特別を1分40秒1、古馬B級レベルの時計で圧勝した。半兄ブルーヒーローは21年クラウンカップ2着、続く東京ダービーも2着したオープン馬。先行してもうひと脚使うレースぶりなど、よく似たタイプと判断できる。このレースに相性がいい的場文騎手。

       ☆       ☆

 ◎サーモピレー    55御神本
 ○ワットロンクン   55真島
 ▲ジュリエットレター 55吉原
 △モデールノ     55石崎駿
 △ワタリキングオー  55的場文 
 △エイシンホクトセイ 55森
 △ビルス       55本橋
  ツルマルブルース  55矢野
  キョウエイアドニス 55町田
  ノブペイジ     55左海

 サーモピレーの実績と能力を素直に買う。道営デビュー2連勝、川島正行厩舎に転じて臨んだGI「全日本2歳優駿」3着。父クロフネらしいスピードとセンスが武器で、大型馬(510キロ超)ながら緩急自在、常に俊敏なレースをする。ハッピースプリント、ドラゴンエアル、先着2頭が強烈なパフォーマンスをみせた前走「京浜盃=1700m」も、自身上がり37秒9で小差3着だから内容は文句ない。現時点で1600mベスト。今回出走は、馬の個性、相手関係をじっくり見据えた戦略といえるだろう。コンビ3度目・御神本Jがきっちり決める。

 ワットロンクンは転入3連勝(2歳時・道営→岩手3戦2勝)。いずれも相手なり、余裕にあふれたレースぶりで時計以上の強さを感じる。こちらもセンス抜群のクロフネ産駒。今回初重賞だが、実戦の印象、インパクトからは逆転があって不思議ない。ジュリエットレターは道営時から一貫エリート路線を歩み、転入後ここ2戦6、2着。詰めの甘いレースぶりなど確かにまだ物足りないが、何より今回は鞍上・吉原Jに魅力がある。父ゴールドアリュールの社台ブランド。むろん“含み資産”は大きいはずだ。

 モデールノは、2歳時大井準重賞「ゴールドJ」勝ちを含め4戦して連対10割。今回およそ半年のブランクも放牧休養、ある意味“前向きな充電”と判断でき、父ゼンノロブロイなら初距離1600mも減点がない。データ欄推奨ワタリキングオーは、前述通り血統面、鞍上・的場文Jに期待感がある。エイシンホクトセイは、道営実績でサーモピレーを凌ぐが、現実に転入後ふっ切れないレースぶり。父シンボリクリスエス。パドックの馬体などは常にゆったりしなやかで、前走時(大井1800m5着)も気配はよかった。上昇馬ビルスが思い切りのいい本橋J、3〜4コーナー外々を捲り気味に動けると穴。

◆マリーンカップ回顧
(4月9日 船橋 サラ3歳以上牝馬 別定 JpnIII 1600m稍重)

 ◎(1)ワイルドフラッパー    1分39秒5
 ▲(2)アクティビューティ       7
 △(3)カイカヨソウ          1.1/2
 △(4)サマリーズ           1
  (5)トウホクビジン         3
 …………………
  (6)ママキジャ
 ○(7)サウンドリアーナ
  
  単120円  馬複260円  馬単300円  3連複1300円  3連単2110円

 ワイルドフラッパーが別格の強さをみせた。4コーナー、先行サマリーズ、アクティビューティの外に並び、そこから一気の7馬身差。道中スロー(1000m通過62秒2)に流れたぶん時計は案外平凡だったが(過去10年第6位)、それでも自身上がり36秒9、究極の切れをみせ、終いまだまだ余裕があった。「馬の気持ちを損ねないよう、それだけ気をつけて乗りました。凄いエンジンを持っている」(福永祐一騎手)。当日のパドック。前走「エンプレス杯」時以上に悠々堂々とした雰囲気があり、競走能力はもちろん、精神面も大きく成長したということだろう。文字通りの“絶対女王”だ。

 ワイルドフラッパーは、父ゴーストザッパー(BCクラシックなど米GI・4勝)、社台ブランドの5歳馬。デビューから一貫ダート路線を歩み、この日勝利を含め通算[7-4-0-5]とした。道中前々を動き、しかも追って圧倒的な爆発力。近年名牝、女傑とされるラヴェリータ、ミラクルレジェンド、メーデイアと較べても、ことスケールは最上位と断言できる。「期待通り完璧なレースをみせてくれた。ぎりぎりではなく自然体で調整したから、さらに上積みもあると思う」(松田国英調教師)。今後のステップ。記者個人的には「帝王賞」をめざしてほしい。本来中〜長距離型。実際、エンプレス杯の2100m=2分12秒1は、牝馬の域を大きく超える(川崎記念・ホッコータルマエ=2分13秒8)。

 アクティビューティ2着。フラッパーより前々…の鞍上作戦は正解で、しかし何とも相手が強すぎた。対メーデイア2着3度、対フラッパー2着2度。確かに不運だが、自身常に完全燃焼のタフさ、逞しさは評価できる。カイカヨソウが久々に存在感のある競馬をみせた。スタートひと息ながら反応よく巻き返しイン4番手。直線外を力強く伸び上がり38秒6なら合格点以上がつく。14キロ増の馬体が大きな進展。今後このリズムが維持できれば、交流牝馬Gでも改めて脈が出る。サマリーズはパワー上位2頭に早めに来られ終いバッタリ。明確な勝ちパターン(逃げ)を持つマイラーだが、展開優先の頼りなさは否めない。サウンドリアーナは末脚不発。このタイプに多い一過性のポカか、あるいは重い地方ダートが合わないか。パドックなどすっきりした馬体で気合乗りも悪くなかった。再び交流出走ならそこが正念場と考えたい。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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