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【皐月賞特別企画】当事者が語るGI制覇の舞台裏〜アグネスタキオン・河内洋調教師Part1

  • 2014年04月16日(水) 18時00分
河内洋調教師

▲クロフネ、ジャングルポケットと激突したラジオたんぱ杯3歳S(撮影:下野雄規)

2001年の皐月賞。このレースを最後に、ターフを去った馬がいた。彼の名はアグネスタキオン。並み居る強豪に並ぶ間も与えなかった圧倒的な能力と、デビューから5か月後に突然訪れた引退。光のようにターフを駆け抜けたその馬は、命の灯が消えた今でも“幻の三冠馬”と語り継がれている。「もっと一緒に戦いたかった」と、引退から13年の月日が流れた今でも、主戦・河内洋に言わしめる伝説の名馬。光速の貴公子と呼ばれたアグネスタキオンの、あまりに短く、そして眩いほどの輝きに迫る。(取材・文:赤見千尋)


◆13年経っても忘れられない無念

 1998年生まれのサラブレッドは、ジャングルポケット、クロフネ、マンハッタンカフェらの活躍から、最強世代と呼ばれるほど傑出した活躍馬を輩出している。そのハイレベルな世代の中で、絶対的な能力を発揮し“幻の三冠馬”と言われるのが、アグネスタキオンだ。デビューから4戦4勝。無敗で皐月賞を制し、ダービー制覇に一番近い馬と言われながら、直前に屈腱炎を発症。夢の途中で突然の引退を余儀なくされた。

「あの時はショックでした。あの世代は本当に強かったですからね。ジャングルポケットがいて、クロフネがいて、マンハッタンカフェもいて、その中でデビューから負けてないですから。雨でも走ったし、距離を気にするタイプでもなかったし、能力は相当高かったと思います。もっと一緒に戦いたかったですね」

 アグネスタキオンの想い出を語った時、河内の口から一番最初に出た言葉は、共に掴んだ栄光の勝利ではなく、戦わずして消えた夢への無念だった。13年経った今でも忘れられないほど、アグネスタキオンの切れ味は特出していたという。

「新馬戦の時はまだ十分な仕上がりではなかったけれど、慌てずゆっくり行って、ゴーサインを出したらすごい反応で。上がってすぐに『ラジオたんぱ行きましょう』って言えるくらいの感触でした。次のラジオたんぱ杯3歳ステークスの時は、ゴーサインを出してからの反応があまりにもすごくて…。背筋がゾクゾクして、冷や汗を掻きました。これ以上速く走ったら壊れると思って、途中から追えなかったくらいです」

 この時の2着がジャングルポケット、3着がクロフネなのである。目一杯追うことなく、ジャングルポケットに2馬身半の差を付けた末脚は、驚異的な力であると同時に故障のリスクを伴う諸刃の剣だった。

「あの時、レースを見ていた伊藤雄二先生に言われましたよ。『加減

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